
フリーランスや個人事業主になったばかりで、次の案件が来るかどうか分からない不安や、誰にも相談できない孤独感を抱えている方は少なくありません。会社員時代のように毎月決まった給与が振り込まれるわけではないからこそ、収入の見通しが立てづらいことに戸惑いを感じるのは自然なことです。
フリーランス1年目は、実績や取引先とのつながりがまだ少なく、収入が波打ちやすい時期だといわれています。多くの方が同じような壁にぶつかりながら、少しずつ仕事の仕組みを整えて乗り越えている段階だと捉えておくと安心です。
この記事では、転職支援実績を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、フリーランス1年目に訪れやすい不安の正体と、収入を安定させるための具体的な進め方を解説します。
フリーランス1年目に収入が不安定になりやすいのには、いくつかの共通した理由があります。まずはその背景を整理していきましょう。
会社員であれば毎月の給与が保証されていますが、フリーランスは案件を受注してはじめて収入につながります。実績や信頼関係がまだ十分に築けていない立ち上げ期は、単発の案件が終わるたびに次の仕事を探し直す状態になりやすく、収入の波が大きくなりがちです。
加えて、取引先の数が少ないうちは、一社の発注状況に収入の大部分を左右されてしまう傾向があります。特定のクライアントに依存した状態は、そのクライアントの事情ひとつで収入が大きく変動するリスクを抱えることになります。
内閣官房日本経済再生総合事務局が実施した「フリーランス実態調査結果」(令和2年5月)でも、フリーランスとして働くうえでの課題として「収入が少ない・安定しない」を挙げた人は約6割にのぼっており、収入の不安定さは1年目に限らず多くのフリーランスが直面している共通の課題だとわかります。
こうした構造的な要因を理解しておくと、収入が不安定になるのは自分の実力不足だけが原因ではないと捉えられるようになり、必要以上に自分を責めずに対策へ意識を向けやすくなります。
収入面の不安だけでなく、フリーランスには相談相手が身近にいない孤独感がついて回ります。この感覚がどこから来るのか整理してみましょう。
会社員であれば、同僚や上司に日々の悩みを共有できる環境がありますが、フリーランスは基本的に一人で意思決定を重ねていく働き方です。案件が途切れたときの焦りや、この先やっていけるのかという不安を、誰かとリアルタイムに分かち合いにくいことが、孤独感を強める一因になっています。
ただし、この不安や孤独感は、フリーランスとして働く多くの人が1年目に経験する通過点でもあります。同じ立場の人とつながる場を持つだけでも、気持ちが軽くなることは珍しくありません。オンラインのコミュニティや勉強会など、同じフリーランス同士で情報交換できる場を探してみるのも一つの方法です。
1年目にやってしまいがちな行動と、意識しておきたい行動を整理しておきましょう。
NG例(フリーランス1年目にやりがちな行動)
収入が不安なあまり、相場より大幅に安い単価で仕事を引き受けてしまう
一つの取引先からの発注だけに頼り、他の営業活動を後回しにしてしまう
案件が途切れた期間を、何もせずに不安なまま過ごしてしまう
OK例(意識しておきたい行動)
自分の作業時間や専門性に見合った適正な単価を早めに設定する
複数の取引先や案件経路を並行して持ち、収入の窓口を分散させる
案件の合間の時間を、営業活動やスキルの棚卸しに充てる
ここからは、収入を安定させていくための具体的な進め方を4つのステップで紹介します。
一つの取引先やサービスだけに頼らず、案件の獲得経路を複数用意しておきましょう。クラウドソーシングサービス、知人からの紹介、SNSでの発信など、経路を分散させておくことで、一つの窓口が止まっても収入がゼロにならない状態を作れます。
新規の案件獲得も大切ですが、すでに信頼関係のある取引先からの継続案件は、収入の土台になりやすい存在です。納期や品質を丁寧に守り、次にもつながる関係を築いていくことを意識しましょう。
月によって収入が変動することを前提に、生活費や事業経費の見通しを立てておくと、案件が少ない時期でも焦らずに過ごせます。収入が多い月に余裕分を確保しておく習慣も、安定した経営には欠かせません。
案件が忙しい時期ほど、次の案件探しが後回しになりがちです。仕事が途切れてから動き出すのではなく、忙しい時期にも定期的に営業や情報発信の時間を確保しておくことが、収入の波を小さくすることにつながります。
収入面の対策とあわせて、孤独感との付き合い方も意識しておくと、1年目を乗り越えやすくなります。
同じフリーランスとして働く仲間とつながる場を持つことは、情報交換だけでなく気持ちの支えにもなります。オンラインコミュニティや交流イベントなど、無理のない範囲で人とつながる機会を作ってみましょう。
また、税理士や専門家など、事業に関わる相談相手を持っておくことも安心材料になります。フリーランスとして働き続けること自体に迷いが生じたときは、キャリアの専門家に相談しながら、自分に合った働き方を見直していくのも一つの選択肢です。
フリーランス1年目の収入の不安定さや孤独感は、多くの人が経験する通過点です。
収入が波打ちやすいのは実績・取引先の少なさによる構造的な要因が大きい
安い単価での受注や一社依存はNG、複数の窓口を持つことがOK行動
収入を安定させるには、窓口分散・関係構築・収支管理・営業時間確保の4ステップが有効
孤独感には、仲間や専門家とつながる場を持つことで向き合いやすくなる
一つひとつの壁を乗り越えていけば、フリーランスとしての基盤は少しずつ整っていくはずです。
Q. フリーランス1年目はいつ頃から収入が安定してきますか。
人によって差があり、一概にはいえません。ただ、取引先の数が増え、継続案件が積み重なってくるにつれて、収入の波が小さくなっていく傾向があります。焦らず、収入の窓口を増やす取り組みを続けていきましょう。
Q. 案件を探すのに特定のサービスだけを使っていて大丈夫でしょうか。
一つのサービスに依存すると、そのサービスの状況変化に収入が左右されやすくなります。複数の案件獲得経路を組み合わせておくと、収入の安定につながりやすいでしょう。
Q. 不安が強くてフリーランスを続けていく自信がありません。
その不安は決して珍しいものではありません。一人で抱え込まず、同じ立場の仲間や、キャリアの専門家に相談しながら、自分に合った働き方を一緒に整理していくことをおすすめします。
Q. 会社員に戻ることも選択肢に入れるべきでしょうか。
働き方に唯一の正解はなく、フリーランスを続けるか会社員に戻るかは、ご自身の状況や価値観次第です。今抱えている不安の原因を整理したうえで、自分にとって納得できる選択肢を検討してみましょう。
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