
「頑張っているのに、給料が全然上がらない。このまま続けても意味があるのだろうか」
そう感じているなら、あなたは今、とても重要な分岐点に立っています。「転職すべきか、もう少し待つべきか」という判断は、20代のうちに下すほど将来への影響が大きい決断です。
1,000名以上のキャリア支援をしてきた国家資格キャリアコンサルタントの私が、現場で見てきたリアルをもとに、給料が上がらない状況の正しい見極め方と、損しないための動き方をお伝えします。
まず、あなたが感じている「給料が上がらない」という不満は、ごく一般的な悩みです。悩んでいる自分を責める必要はありません。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によると、転職入職者が前職を辞めた理由として、男性では「給料等収入が少なかった」が主要な理由の一つとして挙がっています。給料への不満は、日本の職場においてごく普遍的な課題です。
また、同調査では転職後に賃金が「増加した」と答えた人は40.5%にのぼり、前年比で3.3ポイント増加しています。転職によって実際に収入が上がった人が4割以上いるというデータは、「転職すれば給料が上がる可能性は十分ある」という事実を示しています。
(出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html)
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、20代後半(25〜29歳)の月額賃金は学歴・雇用形態によって差があります。高卒では約24万円、大卒では約28万円程度が目安です。同年代でも業界・職種・企業規模によって賃金には大きな差があります。
重要なのは、20代は転職による賃金増加が最も起きやすい年代だという点です。若いほど「ポテンシャル採用」で評価されやすく、市場における選択肢の幅が広い。この時期に動くかどうかが、生涯収入に大きく影響します。
転職を検討する前に、まず「なぜ給料が上がらないのか」を正確に見極めることが必要です。原因によって打ち手がまったく異なるからです。
以下に当てはまる場合は、会社側の構造的な問題が原因である可能性が高いです。
業績の低迷や業界全体の縮小:会社の売上・利益が伸びていない、または業界そのものが縮小傾向にある場合、給与を上げる原資がありません。自分の頑張りだけでは解決できない問題です。
評価制度が年功序列:成果ではなく「在籍年数」で昇給が決まる会社では、若手がいくら成果を出しても給与は上がりにくい構造になっています。
業界の賃金水準が低い:業界全体の賃金水準が低い場合、どれだけ昇進しても上限が見えています。例えば、小売・飲食・介護などの一部業種は他業種と比べて賃金水準が低い傾向があります。
昇給制度が形骸化している:「頑張れば上がる」と言われているが、実際に大幅な昇給をしている先輩・同僚がいない場合は、制度が機能していないサインです。
一方、自分の行動に改善余地がある場合もあります。以下を正直に確認してみてください。
上司や評価者に、自分の成果を「具体的な数字」で伝えているか
社内で昇給・昇進した人と自分の行動・成果・コミュニケーションの違いを分析しているか
現職で求められているスキルを身につけているか、または習得しようとしているか
「評価してくれない」と思っているが、評価される成果を出しているかどうかを客観視できているか
これらに「No」が多い場合、会社を変える前に自分のアプローチを変えることで状況が改善する可能性があります。
2026年の転職相談で増えているパターンのひとつが、「評価されない」ことへの不満です。給料が上がらない原因が「会社の業績問題」なのか「評価制度の設計問題」なのかで、対策がまったく変わります。
特に20代は「頑張っているのに見てもらえていない」と感じやすい年代です。しかし私の相談経験上、評価制度そのものが機能していない会社では、昇給交渉や成果の見える化をしても改善しないことがほとんどです。制度の問題が根本にある場合、転職が最も合理的な選択肢になります。
転職を考える前に、現職でできることを整理しておくことは重要です。ただし、「可能性があるか」を見極めずに「もう少し待とう」を繰り返すことは危険です。
昇給交渉が通りやすいケースは以下の条件が揃っている場合です。
具体的な成果(売上数字・コスト削減・プロジェクト完遂など)が明確にある
上司が自分の仕事ぶりを適切に把握しており、信頼関係がある
会社の業績が安定または成長している
昇給した実例が社内に存在する(制度が機能している)
昇給交渉が通らないケースは構造的な問題がある場合です。
赤字・業績不振が続いている
昇給の基準が不透明または形式的
「頑張れば上がる」と言われて数年が経過している
先輩社員を見ても大きな昇給が起きていない
現職でスキルアップ・昇進を目指す選択肢が合う人の条件は次のとおりです。
昇進すれば給与が明確に上がる制度が存在する
昇進の見込みが1〜2年以内にある
会社の業界・事業への将来性を自分なりに確信できる
今の仕事を続けることで市場価値が高まると判断できる
これらの条件が揃っているなら、現職で実力をつけてから転職する「ステルス転職準備」も有効な戦略です。
最も簡単な確認方法は「5年先輩を見る」ことです。自分の5年後にあたる先輩の給与・役職・働き方を見て、「そこに自分は納得できるか」を問いかけてみてください。
納得できないなら、それはすでに「会社に居続けることへの不安」を感じているサインです。
「もう少し待つか、動くか」を決める具体的な基準をお伝えします。競合記事が「昇給の見込みがないなら転職を」という抽象的なアドバイスにとどまるのに対して、ここでは判断できる具体的な目安を示します。
目安として、入社から3年が経過した時点で年収増加が「10万円未満」の場合は危険信号です。
一般的に20代の賃金上昇は年間数万円程度とされていますが、それが「入社時とほぼ変わらない水準」にとどまっている場合は昇給制度が機能していないか、会社全体に余力がない状態を示しています。
具体的に確認する方法は、「手取りではなく税込み年収」を入社時と現在で比較することです。入社時の年収提示(オファーレター・源泉徴収票)と現在の年収を比較してみてください。
自分の給料が「市場平均より低いかどうか」を確認するには、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」が使えます。自分の年齢・業種・企業規模に近い区分の「所定内給与額」を確認することで、客観的な比較ができます。
目安として、同年代の同業種平均と比べて月額2万円以上の乖離がある場合、職場ではなく業界・職種の見直しも含めて検討する価値があります。
市場平均との乖離を把握するだけでも、「転職先候補の給与水準」をリアルに想像できるようになり、行動へのハードルが下がります。
5年先輩・10年先輩を見て、「給料がほとんど変わっていない」「役職はついているが残業が増えただけ」という状況であれば、そのまま居続けても状況は改善しません。
重要なのは、今の環境で「成長できているか」ではなく「報酬として返ってきているか」です。どれだけ仕事を覚えても報酬に反映されない環境は、長期的にモチベーションが維持できません。
多くの20代が不安に思う「転職理由を正直に話していいか」という問いに答えます。結論から言うと、「給料が理由」であることは隠す必要はありません。ただし、伝え方には工夫が必要です。
転職支援事業責任者として採用担当者と多く関わってきた経験から言うと、「給料が上がらないから転職したい」という動機そのものは、採用担当者にネガティブに受け取られません。
採用担当者が警戒するのは「給料が目的だから」ではなく、「なぜ今の会社で給料が上がらないのかを自己分析できていないから」です。
「給料が上がらない」という事実の背景に、「自分が何をやってきたか」「なぜその環境では評価されなかったのか」「次の環境では何を変えるのか」を言語化できている人は、採用担当者から「自己分析ができている人だ」と好印象を持たれます。
以下のポイントを押さえることで、「給料が理由」という動機を前向きに伝えられます。
ポイント1:給与水準だけでなく「成長への意欲」とセットにする
給料が目的であることは正直に認めつつ、その背景に「自分のスキル・貢献をきちんと評価してもらえる環境で成長したい」という動機をセットにします。
ポイント2:現職での経験・学びを肯定する
「今の会社では〇〇を学んだ。その経験を活かして、次の環境でより大きな成果を出したい」という流れにすることで、転職理由に一貫性が出ます。
例文(参考):
「現職では〇〇の業務を担当し、△△というスキルを身につけることができました。一方で、現状の評価制度では成果が給与に反映されにくい構造があり、自分の貢献をより適切に評価してもらえる環境に移りたいと考えるようになりました。御社のように成果連動型の評価制度がある環境で、さらに成長していきたいと思っています。」
これはあくまで参考例です。自分の実際の経験・状況に合わせてアレンジしてください。面接通過を「絶対に」保証するものではありません。
分類 | 例 | 採用担当者の受け止め |
|---|---|---|
NG | 「給料が低いので転職したいです」 | 動機が表面的。自己分析がない印象 |
NG | 「会社の評価制度が不満でした」 | 不満のみで、建設的な思考が見えない |
OK | 「成果を適切に評価してもらえる環境で、さらに成長したいと考えました」 | 前向きな動機として受け取れる |
OK | 「現職で〇〇を学んだ上で、成長に見合った報酬を得られる環境に移りたい」 | 自己分析ができており好印象 |
転職理由に関連した伝え方のコツは、残業が多いを転職理由にしていい?の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
早すぎることはありません。むしろ、20代のうちに動くことが最も選択肢が広い時期です。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」でも転職後に賃金が増加した人は40.5%にのぼっており、転職による収入改善は現実的な選択です。「まだ若いから我慢できる」という理由で先延ばしにし続けることが、30代以降のキャリアの幅を狭める最大のリスクです。
動機そのものはマイナスではありません。採用担当者が見ているのは「なぜ今の会社で上がらないのか」「次の職場で何を貢献するか」の自己分析の深さです。「給与が理由だから不合格」ということはなく、背景をきちんと言語化できているかどうかが合否を分けます。伝え方を丁寧に準備することで、十分に好印象を残せます。
「我慢の期間」に正解はありませんが、一つの目安として「入社から3年が経過しても年収増加が10万円未満」であれば、構造的な問題が起きている可能性があります。また、5年先輩・10年先輩を見て「あの給与・働き方で自分は納得できるか」を問いかけることが最もシンプルな判断基準です。我慢する期間を決めるより、判断基準を持つことが重要です。
給料が上がらない状況への対処は、まず「原因がどこにあるか」を見極めることから始まります。この記事でお伝えした重要ポイントを整理します。
原因の切り分けが最初の一歩:会社の構造的な問題(業績・評価制度・業界水準)なのか、自分側のアプローチの問題なのかを冷静に見極める
現職で上がる見込みがあるかを確認する:先輩社員のキャリアパスと、昇給制度が実際に機能しているかを確認する
3つのサインに当てはまるなら動く:3年で年収がほぼ変わっていない、市場平均と大きく乖離している、先輩を見ても未来が見えない、この3つが重なるなら転職が合理的な選択
面接では「給料が理由」を正直に、でも丁寧に伝える:動機そのものを隠す必要はない。自己分析の深さを見せることが大切
20代で動くことに迷わない:転職による収入増加の可能性が最も高い時期が今
転職を決断した後の具体的な進め方は、20代の転職で年収を上げる方法|成功するための戦略とステップや給料が低い20代の転職で年収を上げる方法もあわせてご覧ください。
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