この記事を書いた人 - 池田 康希

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キャリアコンサルタント

池田 康希 / Koki Ikeda

国家資格キャリアコンサルタント/転職支援事業責任者

全国約 3万社 の中から 「信頼できるエージェント14社」へ選出

日本最大手通信キャリアでの就業を経てAITAIDに参画。
転職支援サービス『MyStyle転職』の立ち上げを行い、事業推進に加えて自身もキャリアコンサルタントとして累計 1,000名以上 のキャリア支援に従事。
主に「未経験者」や「短期離職経験者」の支援を得意としている。

保有資格

  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • メンタルヘルスマネジメントⅡ種
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「転職したいけど、年収が下がったらどうしよう」——そう思って踏み出せていませんか。年収ダウンへの不安は、転職を検討する20代が最初にぶつかる壁のひとつです。しかしその不安を解消しないまま動かないことで、本来変えられたはずのキャリアが止まってしまいます。

国家資格キャリアコンサルタントとして1,000名以上のキャリア支援をしてきた私が、「年収ダウンをどう判断するか」「許容できる範囲はどこか」「下げ幅をどう最小化するか」を現場の実例をもとに解説します。

この記事でわかること

  • 転職で年収が下がる人の実際の割合と下がりやすいパターン
  • 年収ダウンを受け入れるべきか判断する3つの軸
  • 許容範囲の決め方と年収を下げずに転職する具体的な方法

こんな人に読んでほしい

  • 年収が下がるのが怖くて転職に踏み出せない20代
  • 未経験・異業種転職で年収ダウンが避けられるか知りたい人
  • 内定後の年収交渉をどうすればよいか悩んでいる人

転職で年収が下がる人はどれくらいいる?

転職で年収が下がることは、特別なことではありません。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によると、転職入職者の賃金変動は「増加」40.5%・「減少」29.4%・「変わらない」28.4%です。3人に1人近くが年収ダウンを経験しているのが現実です。

注目すべきは、20〜29歳では1割以上の賃金増加が38.2%と全体平均を大きく上回っている点です(厚生労働省 令和6年雇用動向調査)。20代は年収が上がりやすい年代であり、年収ダウンを恐れるあまり行動しないことが、むしろ機会損失になります。

20代の転職で年収が下がりやすいパターン4つ

年収が下がりやすい転職にはパターンがあります。自分に当てはまるか確認しておくと対策が打てます。

パターン1:未経験・異業種への転職

これまでの経験が直接評価されないため、入社時は低めのレンジからスタートしやすいです。ただしスキルを積んだ後の昇給が速い職種もあります。

パターン2:大企業から中小・ベンチャーへの転職

大手の賃金テーブルは業界全体でも高めに設定されていることが多く、移ると基本給が下がるケースがあります。

パターン3:残業代・各種手当が多い職場からの転職

前職で残業代が総支給の大きな割合を占めていた場合、同水準の基本給でも額面年収が下がることがあります。

パターン4:離職期間がある場合

転職活動中に離職していた期間が長いほど、採用企業からのオファー年収が下がりやすい傾向があります。在職中の転職活動が有利なのはこの点も理由のひとつです。

年収ダウンを受け入れるべきか?3つの判断軸

年収ダウンを受け入れるかどうかは「今いくら下がるか」だけで判断してはいけません。私が支援現場で使っている3つの判断軸を紹介します。

判断軸1:3年後の年収ポテンシャルで考える

転職直後の年収だけでなく、「3年後にどの水準まで上がるか」で判断することが重要です。確認すべき点は、昇給・昇格の頻度と幅、業界・職種の給与上限、そのスキルの市場価値の3点です。

今100万円下がっても3年で逆転できる見通しがあれば「一時的な投資」として許容できます。

判断軸2:手取りベースで生活への影響を試算する

「年収50万円ダウン」という数字は大きく聞こえますが、手取りベースでは月約3〜3.5万円の減少(社会保険料・所得税の変動を含む概算)です。月3万円の支出を見直すことで対応できるケースも多くあります。

転職後の想定手取り(年収×0.75〜0.8が目安)と現在の月間生活費を比較して、生活が成り立つかという最低ラインを確認してください。

判断軸3:年収以外の条件が揃っているか確認する

年収だけが転職の評価軸ではありません。残業の大幅な削減、精神的ストレスの解消、目指すキャリアへの近づき、通勤時間の短縮——これらが改善されるなら、年収ダウンを許容する理由になります。

「年収以外で得られるもの」を書き出して、天秤にかけてみてください。

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年収の「許容範囲」はどう決める?

年収ダウンを受け入れると決めたとき、次に必要なのは「どこまでなら許容できるか」という具体的な数字を持つことです。

一般的な目安は「現年収の1割以内」

転職支援の現場では、「現年収の1割以内のダウンなら許容範囲として検討できる」という目安がよく使われます。年収400万円なら40万円以内、年収350万円なら35万円以内が目安です。1割を超える場合は、3つの判断軸で「それを補う理由があるか」を丁寧に確認する必要があります。

20代が許容範囲を決める具体的な計算ステップ

ステップ1:月間の固定費+最低限の変動費を合計して「生活維持に必要な手取り額」を出す。

ステップ2:現在の月手取りから最低ラインを引いた差額が「削れる余裕」です。

ステップ3:転職後の想定手取りが最低ラインを上回るか確認する。上回った分が「許容できるダウン幅」です。

この3ステップを踏むことで、「何となく不安」から「この数字まで受け入れられる」という具体的な判断軸が生まれます。

池田 康希
池田 康希国家資格キャリアコンサルタント

相談に来る方の多くは「年収が下がるのが怖い」と言いながら、実は生活費を一度も計算したことがありません。数字を出してみると「月2万円の削減で対応できる」とわかり、それが行動のきっかけになることが多い。漠然とした不安を数字に変えるだけで、判断はずっとラクになります。

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年収ダウンを最小化する3つの方法

年収ダウンを受け入れるとしても、下げ幅を小さくする手はあります。現場で効果があった3つの方法を紹介します。

求人票の「みなし残業・諸手当」を正確に比較する

求人票の年収には「みなし残業代込み」が混在しています。基本給と固定残業代を分けて確認し、賞与・インセンティブの実績(「最大〇円」ではなく「昨年度実績」)まで聞くのが基本です。基本給ベースで比較するのが最も正確です。

内定後に年収交渉をするタイミングと言い方

年収交渉は「内定承諾の前」が唯一のタイミングです。シンプルに伝えるのが最も効果的です。

「ご内定をありがとうございます。一点ご相談があるのですが、年収について〇〇万円をご検討いただくことは可能でしょうか。現職の水準と、これまでの経験を踏まえてお伝えしております。」

根拠として有効なのは「現職の年収水準」「保有スキル・資格」「業界・職種の相場」の3つです。

採用担当が「交渉に応じやすい」ケースとは

採用側と対峙してきた経験から、交渉が通りやすい条件をお伝えします。

通りやすいのは、採用に時間がかかっていたポジション、候補者のスキルが採用基準を大きく上回っているケース、小規模な企業・ベンチャーで年収レンジに幅があるケースです。一方、給与テーブルが厳格な大手・公的機関、選考中に「固定〇〇万円」と明示されていた場合は交渉が通りにくいです。

断られたとしても評価が下がるわけではありません。丁寧に一度確認するだけで5〜20万円の差がつくことがあります。

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【体験談】年収ダウンで転職した2人のその後

年収ダウンを受け入れた人のその後には二極化するパターンがあります。

Aさん(26歳・IT営業 → Webマーケター)年収350万円 → 310万円

40万円ダウンを承諾して未経験でWebマーケターへ転職。「3年後のポテンシャル」を判断軸に入社先の成長性に賭けた選択でした。スキルを積み上げ、転職から2年後に昇格。3年目には年収400万円台を超え、前職水準を回復しました。「あの時ダウンを受け入れて正解だった」という言葉が印象に残っています。

Bさん(28歳・事務職 → 同業他社の事務職)年収320万円 → 290万円

「職場環境が辛くてとにかく逃げたい」という状態で転職を決め、条件確認が不十分なまま承諾しました。転職後も仕事内容は前職とほぼ変わらず、昇給は年1〜2%程度。年収を取り戻す見通しが立たず、後悔する声を聞かせてもらいました。

この2人の違いは「判断軸を持っていたかどうか」です。年収ダウンそのものが問題なのではなく、「何のためのダウンか」が明確かどうかが分かれ目になります。

池田 康希
池田 康希国家資格キャリアコンサルタント

採用担当者として面接に立ち会ってきた経験からいうと、年収交渉をしてくる候補者を「図々しい」と感じることはほとんどありません。自分の価値を正確に把握して交渉できる人は「仕事でも交渉力がある人材」として評価されることが多い。遠慮するより、丁寧に一度伝えることをお勧めします。

よくある質問

Q. 転職で年収が100万円下がっても大丈夫ですか?

手取りベースに換算すると月約6〜7万円の減少になります。現在の生活費と比較して赤字にならないかを確認することが最初のステップです。また、転職先での昇給見込み・スキル習得の機会・業界の将来性を「3年後に逆転できるか」という視点で評価してください。100万円ダウンでも3年で取り戻せる根拠がある転職と、見通しのない転職とでは判断が変わります。一人で結論を出す前に、キャリアの専門家に相談することをお勧めします。

Q. 20代で年収ダウンの転職は後悔しますか?

後悔するかどうかは、転職の目的と判断の根拠が明確かどうかで決まります。「今の仕事から逃げたい」だけを理由に条件を確認せず転職した場合は後悔しやすく、「3年後にこのスキルを積みたい」という軸を持って転職した場合は後悔が少ない傾向があります。厚生労働省 令和6年雇用動向調査では、20〜29歳の転職者の38.2%が1割以上の賃金増加を経験しており、他の年代より高い水準です。年収ダウンを恐れて転職しないこと自体が後悔につながるケースもあります。

Q. 転職後に年収を元に戻すことはできますか?

可能です。入社後の昇給・昇格を積み重ねること、スキルを積んだ後に再転職してより高い水準を狙うこと、副業・資格取得により市場価値を高めること——この3つが主な方法です。特に20代は在職期間が短くても経験次第で市場評価が上がりやすく、2〜3年で年収を逆転させる事例は珍しくありません。転職先を選ぶ際に「昇給の仕組みが明確かどうか」を確認しておくことが、年収回復への近道になります。

Q. 未経験転職だと必ず年収が下がりますか?

必ずしも下がるわけではありません。需要が高いIT・Web・DX関連職種では、未経験でもポテンシャル採用として現職水準近くのオファーが出るケースがあります。前職の営業・マネジメント経験を評価してくれる企業であれば、大幅なダウンなく転職できる場合もあります。求人を1社に絞らず複数比較することで、より条件のよいオファーを得られる可能性が高まります。

Q. 転職エージェントに年収交渉を任せても大丈夫ですか?

基本的には問題ありませんが、任せきりにするのではなく自分でも希望年収を明確に伝えることが重要です。「最低でも〇〇万円は必要」「〇〇万円が希望だが〇〇万円でも検討できる」というように、最低ラインと希望ラインをセットでエージェントに伝えておくと交渉がスムーズです。交渉結果に納得できない場合は、内定後に採用担当者に直接確認することも選択肢のひとつです。

Q. 年収交渉で断られたら内定を辞退すべきですか?

必ずしもそうではありません。交渉が通らなかった場合でも、他の条件(入社日・業務内容・配属先)を確認した上で最終判断することをお勧めします。年収交渉を断った企業がその候補者を不採用にするケースは少なく、企業側も「確認してくれた誠実な人」として受け取ることがほとんどです。複数の内定を持った状態で比較判断できると、より冷静に選択できます。

まとめ

転職で年収ダウンが不安になる気持ちは自然です。しかし、厚生労働省のデータが示すとおり、20〜29歳の転職者の38.2%が1割以上の賃金増加を経験しています。「転職 = 年収が下がる」ではありません。

この記事の要点を整理します。

  • 転職入職者の約29.4%が年収減少を経験。一方、20〜29歳では38.2%が1割以上の賃金増加(厚生労働省 令和6年雇用動向調査)

  • 年収ダウンの判断は「3年後のポテンシャル」「手取りベースの生活影響」「年収以外の条件」の3軸で行う

  • 許容範囲の目安は現年収の1割以内。生活費を計算して最低ラインを数字で把握する

  • 年収を下げない・下げ幅を減らすには「みなし残業の正確な比較」「内定後の丁寧な交渉」が有効

  • 年収ダウンそのものより「何のためのダウンか」が明確かどうかが後悔を分ける

受け入れるか・受け入れないかは、情報と数字を揃えてから判断してください。一人で抱え込まず、状況を整理したいときはキャリアの専門家に話を聞いてもらうのが最も近道です。

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