
身体がだるい、朝起きられない、職場に向かう気力がない……そんな状態が続いているのに「自分はまだ大丈夫」「休むほどでもないかも」と自分に言い聞かせながら毎日を過ごしている20代の方は少なくありません。
厚生労働省の労働安全衛生調査でも、メンタルヘルス不調で1か月以上休業した労働者がいる事業所は一定の割合にのぼっています。同じように悩み、休職せざるを得ない状況に至る人は決して珍しくありません。
この記事では、転職支援実績を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、メンタル不調を抱える20代が休職か転職かを判断するための考え方とステップを解説します。
「自分だけが追い詰められているのでは」と感じている方も多いですが、データを見ると職場でのメンタル不調は決して特別な出来事ではないことがわかります。
厚生労働省の労働安全衛生調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した、または退職した労働者がいた事業所は一定の割合にのぼっています。
また、職場のストレスが原因の精神障害として労災認定される件数は、近年増加傾向にあります(厚生労働省の公表データより)。年を追うごとに、職場のストレスによる不調が深刻化している現実があります。
さらに、メンタルヘルス対策に取り組む事業所はまだ全体の一部にとどまっており、対策が十分でない職場も少なくありません。「職場環境が改善されない」「相談できる窓口がない」と感じている方が一定数いるのが実情です。
自分の体と心が限界に近い状態を感じているなら、それは重要なSOSのサインです。「まだ大丈夫」と我慢し続けることが、最善の選択ではない場合もあります。
休職と転職はどちらも現状を変えるための選択肢ですが、仕組みや目的、リスクは大きく異なります。自分の状況と照らし合わせながら確認してください。
比較項目 | 休職 | 転職 |
|---|---|---|
収入 | 傷病手当金(最大18か月)で収入の一定割合を確保できる | 転職先が決まれば継続・増加の可能性あり。無職期間は収入なし |
社会保険 | 在職中のため継続される | 退職後は国民健康保険・国民年金への切り替えが必要 |
回復のための時間 | 療養に専念できる | 転職活動中は回復の時間を確保しにくい |
原因への対処 | 職場環境が変わらないため、復職後に再発リスクがある | 環境が変わり、根本原因を解消できる可能性がある |
精神的な負担 | 「休んでいる」という焦りが生じることもある | 転職活動そのものがストレスになる場合がある |
履歴書への影響 | 在籍が続くため、退職の空白期間が生じない | 転職先次第でキャリアが大きく広がる可能性がある |
どちらが正解かは状況によって異なります。大切なのは「今の自分にとって何が最も必要か」を正直に見極めることです。
「どちらを選べばいいかわからない」と感じる方は、以下のステップで状況を整理してみましょう。答えを急がず、一つずつ向き合うことが大切です。
まず「何がつらいのか」を書き出してみましょう。職場の人間関係・業務量・職種との相性・会社の方針・通勤環境など、思い当たることを羅列します。
原因が「職場環境・人間関係・会社の風土」である場合は、転職により環境を変えることで改善できる可能性があります。一方、「身体・心の疲弊が先にある」場合は、まず休職で回復に専念することが先決です。
原因の特定ができない、または複数の原因が絡み合っていると感じる場合は、専門家に相談しながら整理することをおすすめします。
転職活動には体力と気力が必要です。職務経歴書の作成・応募・面接対応・企業研究を続けられる状態かどうかを正直に評価してみましょう。
「今すぐ動くのがつらい」「書類を作る気力もない」「面接に向かえる状態にない」という状況であれば、まず休職を選んで心身を回復させてから転職活動を始めるほうが、結果として早く前進できます。無理に転職活動を進めることで、かえって回復が遅れる場合もあります。
一人で考えていると、同じ考えをぐるぐると繰り返して疲弊しがちです。産業医・カウンセラー・キャリアコンサルタントなど、立場の違う専門家に話すことで、自分では気づけなかった視点が得られます。
転職を視野に入れているなら、転職エージェントに相談することで「今の状態で転職活動を進められるか」「どのような職場環境を選ぶべきか」を一緒に整理できます。相談は無料の場合がほとんどであり、相談するだけで転職を決める必要はありません。
どちらを選ぶかで迷ったとき、状況別の判断基準を参考にしてください。
休職を先に選ぶとよい状況
身体的な症状(不眠・頭痛・食欲不振・倦怠感)が続いている
「職場に行けない・行きたくない」という状態が2週間以上続いている
医師・産業医・カウンセラーから休養を勧められている
転職活動を進める体力・気力が今はない
転職を先に検討するとよい状況
不調の原因が職場環境・人間関係・職種の不一致であることが明確
心身の回復に一定の余力がある
復職しても状況が変わらないと合理的に見込める
ハラスメント・劣悪な労働条件など、職場環境に構造的な問題がある
どちらの状況にも当てはまらない、または両方に当てはまると感じる場合は、専門家への相談を起点にしましょう。状況を言語化するだけで、自分に必要な選択が見えやすくなります。
メンタル不調を抱えながら、休職か転職かを一人で決めることは簡単ではありません。データが示す通り、同じ状況に置かれている方は多く、あなたが特別に弱いわけではありません。
厚労省調査でも一定数の事業所でメンタル不調による休業者が発生しており、職場でのメンタル不調は珍しいことではない
休職は心身を回復させる時間を確保できる選択、転職は職場環境を根本的に変える選択
どちらを選ぶかは「今の自分に何が最も必要か」によって変わる
まず不調の原因を特定し、体力を確認し、専門家に相談する3ステップで整理しましょう
一人で抱え込まず、専門家や転職エージェントに話してみることが最初の一歩になります。
Q. 休職中に転職活動はできますか?
法的には禁止されていませんが、在職中の会社との就業規則を確認する必要があります。休職の目的は「療養・回復」であるため、転職活動の可否は会社によって異なります。体調が回復したうえで主治医とも相談しながら進めることをおすすめします。
Q. 休職中の収入はどうなりますか?
健康保険の「傷病手当金」を受給できる場合があります。支給額は標準報酬日額の3分の2相当で、支給期間は最長1年6か月です。詳しくは加入している健康保険組合または協会けんぽに確認してください。
Q. メンタル不調の経歴を転職先に伝える必要がありますか?
法律上、精神疾患の告知義務は原則ありません。ただし、業務上の配慮を求める場合は伝えるほうがスムーズなこともあります。開示・非開示の方針については、転職エージェントに事前に相談することで一緒に整理できます。
Q. 休職せずに転職活動を始めるのはリスクがありますか?
在職中に転職活動を進めること自体はリスクではありませんが、心身が消耗した状態では判断力が落ちることがあります。「とにかく早く職場から離れたい」という焦りで転職先を選んでしまうと、同じ状況に陥る可能性があります。体調の見極めが転職活動の質にも影響します。
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