この記事を書いた人 - 池田 康希
この記事を書いた人
池田 康希 / Koki Ikeda
国家資格キャリアコンサルタント/転職支援事業責任者
全国約 3万社 の中から
「信頼できるエージェント14社」へ選出
日本最大手通信キャリアでの就業を経てAITAIDに参画。
転職支援サービス『MyStyle転職』の立ち上げを行い、事業推進に加えて自身もキャリアコンサルタントとして累計 1,000名以上 のキャリア支援に従事。
主に「未経験者」や「短期離職経験者」の支援を得意としている。
保有資格
- 国家資格キャリアコンサルタント
- メンタルヘルスマネジメントⅡ種
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この記事でわかること
- ✓内定後に給与交渉をしても失礼にならない理由と最適なタイミング
- ✓市場相場の調べ方と交渉の進め方の手順
- ✓そのまま使えるメールの切り出し方と具体的なフレーズ
- ✓断られた時の対処法とやってはいけないNG表現
こんな人に読んでほしい
- ✓内定は出たが提示された年収に納得できていない20代の方
- ✓給与交渉をしたいが、失礼にならないか不安で踏み出せない方
- ✓交渉が断られた場合にどう対応すればよいか知っておきたい方
「内定おめでとうございます。条件面について一点ご確認させていただきたいのですが」。このひと言がなかなか言えないまま、提示された年収を受け入れてしまった経験はないでしょうか。内定をもらえた安心感と、交渉したら印象が悪くなるのではという不安が同時に押し寄せると、多くの方が言葉を飲み込んでしまいます。
ただ、条件を曖昧にしたまま入社すると、その年収がその後の昇給の基準になり、後から見直すのは簡単ではありません。だからこそ、入社前のこのタイミングこそ、落ち着いて条件を確認しておきたい場面です。実際、適切な方法で行えば、内定後の給与交渉は失礼にはあたりません。
この記事では、転職支援実績を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、内定後の給与交渉が失礼にならない理由から、切り出し方や具体的なフレーズ、断られた時の対処法までを解説します。
内定後の給与交渉は失礼ではない
結論から述べると、内定後の給与交渉は、根拠を示しながら丁寧に進めれば失礼にはあたりません。むしろ条件を確認しないまま入社するほうが、後悔につながりやすいといえます。まずは、なぜ交渉が失礼にならないのか、その理由から見ていきましょう。
採用担当者は交渉をどう受け止めるか
交渉したら内定取り消しになるのではという不安は、多くの20代が抱える誤解です。採用担当者の立場からすると、給与交渉は候補者が自分の市場価値を理解しているサインとして受け取られることが少なくありません。何も確認せずに承諾するよりも、納得した上で入社してくれる人のほうが、入社後も長く活躍してくれると考える担当者もいます。とはいえ、伝え方を誤ると印象を損なうため、根拠と言い方を整えることが前提になります。
交渉が認められやすいケース
すべての状況で交渉が通るわけではありませんが、次のような場合は相手も検討しやすくなります。
このように、客観的な根拠があるほど交渉は前向きに受け止められます。逆に「もっと上げてほしい」という要望だけでは根拠が伝わりません。市場を調べた上で相談したいという姿勢であれば、誠実な確認として受け取られます。
交渉に最適なタイミング
交渉のタイミングは結果を左右します。最適なのは、内定通知を受けてから承諾するまでの期間です。一方で、いったん承諾した後の交渉は、合意を覆す印象を与えやすく、リスクが高まります。条件を見直したいと感じたら、承諾の返事をする前に立ち止まって整理しましょう。
給与交渉の進め方
ここからは、実際の進め方を順番に確認していきます。やみくもに希望を伝えるのではなく、相場の確認から回答待ちまでを段階的に踏むことで、交渉は通りやすくなります。
ステップ1 市場相場を調べる
「もう少し上げてほしい」だけでは根拠がなく、交渉力が生まれません。まずは客観的な相場を確認しましょう。職種や経験年数別の平均値を掲載した求人サイトの給与相場ツール、企業口コミサイトの年収データ、同業他社の求人票の給与帯などが参考になります。複数の情報を照らし合わせることで、提示額が相場と比べて妥当かどうかが見えてきます。
ステップ2 交渉の根拠を整理する
相場データに加えて、自分がなぜその金額を希望するのかを言語化します。次のような観点で整理しておくと、伝える際に説得力が増します。
ステップ3 メールまたは電話で切り出す
口頭よりもメールのほうが、相手が社内で確認や承認を取りやすく、誠実な印象を与えます。次のテンプレートを参考にしてください。
件名 内定条件についてご相談がございます
○○採用担当者様
このたびは内定をいただき、誠にありがとうございます。入社に向けた意欲は変わらないのですが、一点ご相談がございます。
給与について、同業他社の市場水準や現職との比較を踏まえ、〇〇万円程度でご検討いただくことは可能でしょうか。ご事情により対応が難しい場合は、諸手当や賞与条件についてもお伺いできれば幸いです。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
ステップ4 回答を待ち、結果に応じて動く
交渉後は、数日から1週間程度で回答が来ることが一つの目安ですが、企業によって幅があります。あらかじめ「いつ頃ご回答いただけますか」と確認しておくと、待つ側の不安が減り、相手も対応しやすくなります。
NG・OK例で学ぶ伝え方
同じ交渉でも、言い方ひとつで印象は大きく変わります。ここでは場面別に、避けたい表現と望ましい表現を見比べてみましょう。
金額の伝え方
NG例(根拠のない要求に見える)
OK例(調査を踏まえた丁寧な依頼)
NG例は根拠がなく、単なる要求に映ります。OK例は調査をした上での依頼として伝わり、相手も社内で検討しやすくなります。
断られた時の返し方
NG例(カードを早く切りすぎる)
OK例(交渉の余地を残す)
即答での辞退は、交渉のカードを早く手放してしまう対応です。将来の見直しの可能性を確認することで、関係を保ちながら余地を残せます。
複数条件の交渉
NG例(一度に詰め込みすぎる)
OK例(軸をずらして相談する)
複数の条件を一度に求めると、印象が悪くなりがちです。一つが難しければ別の軸に移る「ずらし交渉」のほうが、合意点を見つけやすくなります。
希望額と注意点
希望額は、提示額から大きくかけ離れない範囲にとどめるのが現実的です。相場や自分の実績を踏まえて、無理のない金額を設定しましょう。相場を大きく超える希望は、相場を把握していないと受け取られるおそれがあります。逆に遠慮しすぎて根拠を伝えきれないと、交渉そのものが弱くなります。調べた相場と自分の根拠のあいだで、納得できる落としどころを見つけることが大切です。
自分一人で相場の判断や金額の調整が難しいと感じる場合は、転職エージェントに条件調整を依頼する方法もあります。企業との間に立って条件面のやり取りを代行してもらえるため、直接言い出しにくい交渉を任せられる利点があります。
まとめ
内定後の給与交渉は、根拠を添えて丁寧に進めれば失礼にはあたりません。後悔のない入社のために、承諾前のこのタイミングで条件を確認しておきましょう。
内定後の給与交渉は失礼ではなく、根拠ある交渉は誠実な姿勢として受け取られる
タイミングは内定通知後・承諾前が最適で、承諾後の交渉はリスクが高い
希望額は市場相場を調べ、提示額から大きく離れない範囲で根拠を添える
断られても即辞退せず、評価時の見直しや別条件へのシフトで交渉を続ける
交渉は一度きりの機会で、ここで決まった年収はその後の昇給の基準にもなります。この記事のフレーズを参考に、自分の市場価値を正しく伝える一歩を踏み出してみましょう。
よくある質問
Q. 内定後の給与交渉で内定取り消しになることはありますか?
適切な方法であれば、内定取り消しになることはほとんどありません。ただし、強引な要求や複数回の交渉、承諾後の要求は印象を大きく損なうため避けましょう。根拠を示しながら一度だけ丁寧に相談する形であれば、過度に心配する必要はありません。
Q. 交渉はメールと電話のどちらがよいですか?
メールが原則おすすめです。相手が社内で確認や承認を取りやすく、記録として残るため双方にとって安心です。面接時に口頭で条件を尋ねられた場合のみ、その場で答えても問題ありません。
Q. 希望額はどのくらい上乗せして提示すればよいですか?
提示額から大きくかけ離れない範囲にとどめるのが現実的です。相場や自分の実績を根拠に、無理のない金額を設定しましょう。あまりに高い希望は、相場を把握していないと判断されるおそれがあるため注意が必要です。
Q. 断られたら入社を辞退すべきですか?
即断は避けましょう。まずは半年後の評価時に再検討してもらえる可能性があるかを確認します。昇給のスケジュールや評価制度を聞いた上で、総合的に判断することをおすすめします。
相談に来られる20代の多くが「交渉なんてわがままに思われませんか」とおっしゃるんです。でもお話を聞くと、根拠はちゃんと持っていらっしゃる方がほとんどなんですよね。交渉は自分のキャリアに責任を持つ行動です。承諾の返事をする前に一度立ち止まって、希望を整理してみてくださいね。