
入社したばかり、あるいは転職したばかりの職場で、敬語や電話対応に自信が持てないと感じている方も多いのではないでしょうか。周囲の先輩が自然にこなしている対応を見て、自分だけうまくできていないのではと不安になることもあるのではないでしょうか。
ビジネスマナーは才能ではなく、知識と経験によって身につけられるものです。基本を一つずつ確認しながら実践を重ねれば、短期間でも周囲からの信頼を得やすくなります。
この記事では、転職支援実績を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、敬語・電話対応・言葉遣いといったビジネスマナーの基本を解説します。
ビジネスマナーの基本は、相手への敬意を形にしたものです。以下の5つの要素を意識するだけで、印象は大きく変わります。
相手の目を見てはっきりと挨拶すること、清潔感のある身だしなみ、明るい表情、丁寧な言葉遣い、誠実な態度。この5つは、どの業界でも共通して求められる基本です。
たとえば挨拶は、相手より先に自分から声をかけるだけで印象が大きく変わります。身だしなみは高価な服である必要はなく、シワや汚れがなく清潔感のある状態を保つことがポイントです。表情は口角を少し上げることを意識するだけで柔らかい印象になり、言葉遣いは基本の丁寧語をベースに、相手との関係性に応じて敬語の強さを調整します。態度については、指示を受けるときに相手の方へ体を向けて返事をするなど、小さな所作の積み重ねが誠実さとして伝わります。
新社会人がとくにつまずきやすいのは、緊張から表情がこわばったり声が小さくなったりすることです。慣れないうちは「いつもより口角を上げる」「語尾まではっきり発音する」など、一つの動作だけに意識を向けて練習すると、無理なく身についていきます。
出社直後は、始業前に余裕をもって身だしなみを整え、朝の挨拶を自分から行うことを意識しましょう。来客対応の場面では、立ち上がって笑顔で迎え、名刺交換の際は両手で丁寧に渡すなど、普段より一段丁寧な所作を心がけます。オンライン会議では表情や声のトーンが伝わりにくいぶん、いつもより少し大きめの相槌やはっきりとした発声を意識すると、誠実さが伝わりやすくなります。
敬語は尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類に分けられます。どの場面でどの敬語を使うかを知っておくと、自然に使い分けられるようになります。
尊敬語は相手の動作を高める表現で、謙譲語は自分の動作をへりくだって相手を立てる表現です。丁寧語は「です・ます」など丁寧に話す表現で、この3つを区別して使うことが大切です。
たとえば上司に「昼食は食べましたか」と尋ねる場合は、「お昼はお召し上がりになりましたか」のように尊敬語で表現します。一方、自分が資料を確認したことを伝える場合は「拝見しました」と謙譲語を使うのが自然です。主語が相手か自分かを意識するだけで、多くの場面で正しい敬語を選べるようになります。
NG例(敬語の使い方)
「ごらんになりますか」など、尊敬語と謙譲語を混ぜた二重敬語を使ってしまう
取引先や上司に対して「オッケーです」などのさばけた表現を使ってしまう
自社の人間に「ご存知ですか」など尊敬語を誤って使ってしまう
OK例(敬語の使い方)
「ご確認いただけますか」など、尊敬語と丁寧語を正しく組み合わせる
自社の人間の行動には「申し伝えます」など謙譲語を使う
相手の会社の人には「ご存知でしょうか」と尊敬語で尋ねる
敬語を選ぶときは、動作の主体が誰かを意識すると迷いにくくなります。
動作の主体が「相手」の場合は尊敬語を使う(例 お読みになる、いらっしゃる)
動作の主体が「自分・自社」の場合は謙譲語を使う(例 拝見する、伺う)
相手との関係性がまだはっきりしない場合は、まず丁寧語で対応しながら様子を見る
とっさに敬語が思い浮かばないときは、無理に難しい表現を使おうとせず、「です・ます」の丁寧語で言い切るだけでも失礼にはあたりません。慣れてきたら少しずつ尊敬語・謙譲語を織り交ぜていくとよいでしょう。敬語は日々の会話の中で使う頻度を増やすことでしか身につきません。最初は間違えても、周囲の先輩や上司に「言い方はこれで大丈夫でしょうか」と確認しながら使う経験を重ねることで、徐々に自然な言い回しが増えていきます。
電話対応は声だけで印象が決まるため、トーンや言い回しに一層の注意が必要です。
電話を受けるときは、3コール以内を目安に出るのが基本とされます。「お電話ありがとうございます、〇〇会社の〇〇でございます」のように会社名と自分の名前をセットで名乗ると、相手も安心して用件を話しやすくなります。担当者が不在の場合は、戻る時間の目安を伝えたうえで、折り返しが必要か、こちらからかけ直すかを確認しておくと、後の行き違いを防げます。
名乗りをして相手を確認し、用件を簡潔に伝えます。事前に伝えたい内容をメモにまとめておくと、落ち着いて話せるようになります。電話をかけるときは、始業直後や昼休み、終業間際など相手が忙しい時間帯をできるだけ避けるのが基本です。「お忙しいところ恐れ入ります」など一言添えてから本題に入ると、丁寧な印象を与えられます。用件は結論から話し、詳細は求められてから補足する形にすると、相手の時間を必要以上に取らずに済みます。
電話対応でよくある失敗としては、相手の会社名や名前を聞き取れないまま話を進めてしまう、担当者が不在のときに伝言内容があいまいなまま電話を切ってしまう、といったことが挙げられます。聞き取れなかった場合は「恐れ入りますが、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」と率直に確認するほうが、後々の行き違いを防げます。
基本を知ったあとは、日々の実践に落とし込むことで、少しずつ自信をもって行動できるようになります。
まずは、挨拶と返事をはっきりと行うことから始めましょう。小さな積み重ねが、周囲からの第一印象を左右します。たとえば朝、先輩より先に自分から「おはようございます」と声をかける、指示を受けたら「はい、承知しました」とはっきり返事をするなど、今日からすぐに実践できることばかりです。
自分の仕事でよく使うフレーズをいくつかメモしておき、声に出して練習すると、自然に出てくるようになります。たとえば「恐れ入りますが」「差し支えなければ」といったクッション言葉を用意しておくと、依頼や指摘をする場面でも角が立ちにくくなります。
最初は緊張しやすい電話対応も、回数を重ねることで落ち着いて対応できるようになっていきます。たとえば最初は取引先ではなく社内の内線電話から練習を始めるなど、失敗しても影響が出にくい場面から経験を積むと、緊張を減らしながら少しずつ慣れていくことができます。
周囲の先輩がどのように対応しているかを観察し、よいと感じた表現や対応を自分の中に取り入れていくと、自然に身についていきます。たとえば先輩が指摘を受けたときにどう言葉を返しているか、上司への報告をどのタイミングで行っているかを観察してメモしておくと、いざ同じ場面に直面したときに応用しやすくなります。
ビジネスマナーは、相手への敬意を形にしたものであり、一つずつの積み重ねが信頼につながります。
挨拶・身だしなみ・表情・言葉遣い・態度の5原則がすべての基本になる
敬語は尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを意識すると自然に使えるようになる
日々の実践と周囲の観察を続けることで、少しずつ自信をもって行動できるようになる
最初から完璧を目指す必要はありません。一つずつ積み重ねながら、自分のペースでビジネスマナーを身につけていきましょう。
Q. 敬語が苦手ですが転職先でやっていけますか。
最初から完璧な敬語を使える人はあまりいません。よく使う表現を少しずつ覚えていけば、自然と自信がついていきます。
Q. 電話対応で緊張してしまいます。対策はありますか。
伝えたい内容を事前にメモにまとめておくと、落ち着いて話せるようになります。何度か経験を重ねるうちに慣れていく方がほとんどです。
Q. 上司や先輩にマナーを指摘されたときはどうしたらいいですか。
指摘を自分への評価ではなく、改善のチャンスとして受け取ると、前向きに取り組めます。
Q. マナーの学び方にこれといった決まりはありますか。
本記事で紹介した基本を意識しながら、職場の先輩や研修などを参考にし、自分なりの実践を経験として積み重ねていくことが大切です。
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