この記事を書いた人 - 池田 康希
この記事を書いた人
池田 康希 / Koki Ikeda
国家資格キャリアコンサルタント/転職支援事業責任者
全国約 3万社 の中から
「信頼できるエージェント14社」へ選出
日本最大手通信キャリアでの就業を経てAITAIDに参画。
転職支援サービス『MyStyle転職』の立ち上げを行い、事業推進に加えて自身もキャリアコンサルタントとして累計 1,000名以上 のキャリア支援に従事。
主に「未経験者」や「短期離職経験者」の支援を得意としている。
保有資格
- 国家資格キャリアコンサルタント
- メンタルヘルスマネジメントⅡ種
この人に相談する(無料)
自分に合う仕事が見つかる!適職診断はこちら▼
この記事でわかること
- ✓面接官が退職理由から判断している3つの評価ポイント
- ✓20代に多い退職理由7パターンのNG例→OK例ビフォーアフター
- ✓ネガティブな退職理由をポジティブに変換する3ステップ
- ✓退職理由・志望動機・逆質問を一本のストーリーにする方法
こんな人に読んでほしい
- ✓面接で退職理由をどう伝えればいいか分からず不安な20代
- ✓短期離職やアルバイト経験しかなく、退職理由でマイナス評価されないか心配な方
- ✓退職理由と志望動機のつなげ方が分からず面接対策に行き詰まっている方
転職の面接では、ほぼ確実に「前職を辞めた理由」を聞かれます。このとき、退職理由をそのまま伝えてしまうと、面接官にネガティブな印象を与えてしまうことがあります。ただし、嘘をつく必要はありません。大切なのは、過去の不満を「これからどうしたいか」という前向きな言葉に変換することです。
この記事では、厚生労働省のデータをもとに面接官が退職理由で何を評価しているかを解説したうえで、20代に多い退職理由7パターンについてNG例とOK例を具体的に紹介していきます。
面接官が退職理由から判断している3つのポイント
面接官は退職理由そのものの良し悪しだけを見ているわけではありません。回答の内容と伝え方から、入社後に活躍できる人材かどうかを判断しています。ここでは、面接官が退職理由を通じて確認している3つの評価軸を解説します。
同じ理由でまた辞めないか(定着性)
面接官がもっとも気にしているのは「同じ理由でうちも辞めるのではないか」という点です。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」によると、企業が若年労働者の採用選考にあたり重視するポイントは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」が79.3%で最多となっています。つまり、退職理由を話す際には「環境が合わなかった」で終わらせず、次の職場でどう定着し貢献していくかという意欲まで伝える必要があります。
不満を自分で改善しようとした人か(主体性)
「残業が多かった」「人間関係が合わなかった」という退職理由は、20代の転職では珍しくありません。しかし、不満があったときに自分なりに行動を起こしたかどうかで、面接官の印象は大きく変わります。同調査では「コミュニケーション能力」を重視する企業が74.8%にのぼっており、問題に対して周囲と連携しながら動ける姿勢が評価されるといえます。
転職の目的と志望動機がつながっているか(一貫性)
退職理由と志望動機がかみ合っていないと、面接官は「本当の理由を隠しているのではないか」と疑問を持ちます。「前の会社は残業が多かったから辞めた」と言いながら、志望動機で「成長できる環境に身を置きたい」と話すと、矛盾しているように聞こえます。退職理由で語った課題が、志望先でどう解決されるのかまで一本の線でつなげることが重要です。
20代が退職する理由と企業が採用で重視する項目のギャップ
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、20〜24歳の転職者が前職を辞めた理由の上位は「労働条件(賃金以外)が良くなかった」が28.4%、「満足のいく仕事内容でなかった」が26.0%、「賃金が低かった」が23.8%です。一方、前述の「令和5年若年者雇用実態調査」で企業側が採用時に重視する項目を見ると、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」79.3%、「コミュニケーション能力」74.8%、「マナー・社会常識」58.6%が上位を占めています。
ここに大きなギャップがあります。求職者が伝えたい退職理由の多くは「条件面の不満」ですが、企業が聞きたいのは「この人は意欲を持って長く働いてくれるか」という情報です。このギャップを埋めるために、条件面の不満を「意欲」や「成長志向」の言葉に変換して伝える技術が必要になります。
退職理由をポジティブに言い換える3ステップ
退職理由の言い換えは、テンプレートを丸暗記しても面接官には見抜かれます。ここでは、自分の言葉で語れるようになるための3ステップを紹介します。
ステップ1 本音の退職理由を一文で書き出す
まずは取り繕わず、本音の退職理由を一文で書き出してください。「上司と合わなかった」「給料が安すぎた」「毎日終電だった」など、どんな内容でも構いません。ここで大切なのは正直に言語化することです。本音を把握しないまま言い換えようとすると、面接で深掘りされたときに言葉に詰まってしまいます。
ステップ2 裏側にある「本当はこうしたかった」を言語化する
書き出した不満の裏側には「本当はこうしたかった」という願望が隠れています。「上司と合わなかった」の裏には「チームで協力しながら成果を出したかった」、「給料が安すぎた」の裏には「成果が正当に評価される環境で働きたかった」という本音があるはずです。この「裏側の願望」が、言い換えの核になります。
ステップ3 志望動機につながる表現に変換する
ステップ2で出てきた願望を、志望先の企業で実現できる形に落とし込みます。「チームで成果を出したい」→「御社のプロジェクト制で幅広い職種の方と協力しながら働きたい」のように、志望先の特徴と自分の願望を結びつけてください。こうすることで、退職理由がそのまま志望動機の入口になります。
退職理由の言い換えビフォーアフター例文7選
ここからは、20代の転職面接で特に多い退職理由7パターンについて、NG例とOK例を紹介します。OK例はそのまま使うのではなく、ステップ1〜3を踏まえて自分の経験に合わせてアレンジしてください。
給与が低い・昇給が見込めない
NG例 「給料が低く、何年働いても昇給がなかったので辞めました。」
OK例 「前職では3年間、売上目標を毎期達成していましたが、評価制度の関係で業務の成果が処遇に反映されにくい仕組みでした。成果に対して正当に評価される環境で、より高い目標に挑戦したいと考え、転職を決意しました。」
NG例は不満だけで終わっていますが、OK例は「成果を出した事実」と「評価される環境で挑戦したい」という前向きな意欲を組み合わせています。
人間関係がうまくいかなかった
NG例 「職場の人間関係が悪く、上司とも合わなかったので辞めました。」
OK例 「前職では個人単位の業務が中心で、チームで連携して取り組む機会が限られていました。周囲に相談して業務改善の提案もしましたが、組織構造上の制約がありました。今後はチームで目標を共有しながら成果を出せる環境で働きたいと考えています。」
「人間関係が悪かった」という表現は、面接官に「この人にも原因があるのでは」と思われるリスクがあります。OK例では業務体制の話に置き換え、自分から行動した事実を添えています。
残業が多くプライベートの時間がなかった
NG例 「毎日終電まで残業していて体力的に限界だったので辞めました。」
OK例 「前職では月平均60時間の残業が常態化しており、業務効率化の提案や分担の見直しにも取り組みましたが、改善が難しい状況でした。限られた時間の中で成果を最大化する働き方を実現したいと考え、転職を決めました。」
数字を使って状況を客観的に説明し、改善のために動いた事実を添えることで主体性が伝わります。
仕事内容が合わなかった・やりがいを感じなかった
NG例 「やりたい仕事ができず、やりがいがなかったので辞めました。」
OK例 「前職では事務処理が業務の大半を占めており、お客様と直接関わる機会がほとんどありませんでした。業務を通じて、人と接する仕事にやりがいを感じると気づき、接客や提案を中心とした職種に挑戦したいと考えるようになりました。」
「やりがいがなかった」で終わると受け身に聞こえます。OK例では、実務経験から自分の適性を発見した流れにすることで、前向きな転職理由になっています。
短期間で退職してしまった
NG例 「入社してみたら聞いていた仕事内容と違ったので辞めました。」
OK例 「入社後、想定していた業務内容と実際の業務に差がありました。その中でも担当した業務に全力で取り組み、〇〇の成果を出すことができました。この経験を通じて、自分が本当にやりたい仕事の方向性が明確になり、今回の転職を決意しました。」
短期離職の場合、面接官は「またすぐ辞めるのでは」と特に心配します。短い期間でも得た経験や成果に触れたうえで、次はどうしたいかを具体的に伝えることが大切です。
正社員経験がなくアルバイトからの転職
NG例 「アルバイトのままでは将来が不安なので正社員になりたいです。」
OK例 「飲食店のアルバイトを3年間続ける中で、新人スタッフの教育やシフト管理を任されるようになりました。チームをまとめて売上に貢献する経験を通じて、組織の一員としてより大きな裁量を持って働きたいと考え、正社員としての転職を決意しました。」
「不安だから」は動機としては弱く、面接官にも刺さりません。OK例ではアルバイトで得た経験を具体的に語り、正社員を目指す理由に説得力を持たせています。
体調を崩して退職した
NG例 「体調を崩してしまい、働けなくなったので辞めました。」
OK例 「前職で体調を崩し、退職を選択しました。療養期間中に生活習慣を見直し、現在は完全に回復しています。この経験から、自己管理の重要性を強く認識するようになりました。今後は健康面を維持しながら、長期的に御社に貢献していきたいと考えています。」
体調不良による退職を正直に伝えることは必ずしもダメではありません。重要なのは「現在は回復していること」と「再発防止に向けた行動」を明確に伝え、面接官の不安を解消することです。
面接官が深掘りしてくるパターンと切り返し方
退職理由を伝えた後、面接官はさらに踏み込んだ質問をしてくることがあります。ここでは代表的な2つの深掘り質問と、その切り返し方を紹介します。
「それは会社に相談しましたか」への答え方
この質問は主体性を確認するためのものです。相談した場合はその事実と結果を伝え、「できる限りの行動を取った上での判断」であることを示してください。相談できなかった場合は、「当時は経験が浅く相談するという発想に至りませんでしたが、振り返ると周囲に相談すべきだったと感じています。この経験があったからこそ、困ったときに早めに周囲と共有する大切さを学びました」のように、そこから得た学びを伝える形にすると効果的です。
「次の職場でも同じことが起きたらどうしますか」への答え方
この質問は定着性を確かめるための質問です。「同じことは起きないと思います」と否定するのではなく、「もし同様の状況になった場合は、まず上司やチームメンバーに相談し、自分にできる改善策を考えて行動します。前職での経験から、一人で抱え込まないことが大切だと実感しています」のように、具体的な行動方針を示すのが効果的です。面接官は「完璧な職場」を約束できないことを理解しているため、困難に対処する姿勢があるかどうかを見ています。
退職理由・志望動機・逆質問を一本のストーリーにする方法
面接では退職理由、志望動機、逆質問がそれぞれ別々に聞かれますが、この3つを一貫したストーリーとしてつなげると、面接官に強い説得力を与えることができます。
考え方はシンプルです。まず退職理由で「前職ではかなわなかったこと」を伝え、次に志望動機で「それが御社なら実現できると考えた根拠」を語り、最後に逆質問で「実現に向けて確認しておきたいこと」を聞く、という流れです。
たとえば「前職ではチームで取り組む業務が少なかった(退職理由)→御社はプロジェクトチーム制を採用しており、チームで成果を出す環境に魅力を感じた(志望動機)→入社後のプロジェクトの進め方やチーム構成について教えていただけますか(逆質問)」のようにつなげると、3つの回答がひとつの物語として機能します。
このストーリーが一本の線でつながっていると、面接官は「転職の目的が明確で、うちの会社を選ぶ理由にも納得できる」と感じやすくなります。逆に退職理由と志望動機がちぐはぐだと、どれだけ個々の回答が上手でも説得力は下がってしまいます。
まとめ
面接で退職理由を伝えるとき、面接官は「定着性」「主体性」「一貫性」の3つの視点で評価しています。過去の不満を隠す必要はありませんが、不満を「これからどうしたいか」に変換して伝えることが重要です。
言い換えの手順は、本音の退職理由を書き出し、裏側にある「本当はこうしたかった」を言語化し、志望動機につながる表現に変換する、という3ステップで組み立てられます。さらに退職理由・志望動機・逆質問を一本のストーリーでつなげれば、面接全体を通して一貫した印象を残すことができます。
例文をそのまま暗記するのではなく、自分の経験にもとづいた言葉で語れるよう準備しておくことが、面接突破への近道です。
例文はあくまで「型」です。面接官が本当に知りたいのは、あなた自身のエピソードです。MyStyleの面接対策では、退職理由の深掘りに対応できるよう、キャリアコンサルタントとの模擬面接を20回以上繰り返します。最初はうまく話せなくても、回数を重ねるうちに自分の言葉で伝えられるようになる方がほとんどです。「事実→行動→学び→意欲」の順番を意識して、自分だけのストーリーを組み立ててみてください。