この記事を書いた人 - 池田 康希
この記事を書いた人
池田 康希 / Koki Ikeda
国家資格キャリアコンサルタント/転職支援事業責任者
全国約 3万社 の中から
「信頼できるエージェント14社」へ選出
日本最大手通信キャリアでの就業を経てAITAIDに参画。
転職支援サービス『MyStyle転職』の立ち上げを行い、事業推進に加えて自身もキャリアコンサルタントとして累計 1,000名以上 のキャリア支援に従事。
主に「未経験者」や「短期離職経験者」の支援を得意としている。
保有資格
- 国家資格キャリアコンサルタント
- メンタルヘルスマネジメントⅡ種
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未経験からのIT転職を考え始めると、「本当に20代の自分でも入れるのだろうか」「ITはやはり理系の世界ではないか」と立ち止まる方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、厚生労働省の最新の有効求人倍率を見るかぎり、IT職種は全職種平均を上回る人手不足にあり、未経験から入職できる入り口は確かに存在します。
この記事では、転職支援実績を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、未経験から20代でIT転職を実現するための現実的な3つのルートと、最初に取り組むべきステップを解説します。
この記事でわかること
- ✓IT転職市場の実態を示す公的統計データ
- ✓未経験から入職しやすいIT職種3つのルート
- ✓ルートを絞り込むための5つのステップ
- ✓資格・事務経験・年収に関するよくある疑問への回答
こんな人に読んでほしい
- ✓ITに興味はあるが未経験で転職できるか不安な20代の方
- ✓事務職など非IT職からIT職へのキャリアチェンジを考えている方
- ✓どのIT職種から始めるべきか迷っている方
データで見る「IT転職市場」の現在地
IT人材の需要は旺盛で、未経験者でも入れる職種が確かに存在します。「今の自分では難しいのでは」と感じる前に、まずは実態をデータで確認しておきましょう。
情報処理系技術者の有効求人倍率は全職種を上回る
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」によると、情報処理系技術者の有効求人倍率は1.59倍で、全職種平均の1.18倍を上回っています。
新規求人倍率に至っては4.0倍と、全職種平均の2.4倍を大きく超えており、新たに開かれた求人の多さが際立っています。
つまり「IT業界に仕事がない」のではなく、業界全体で人を探している状況だと言えるはずです。
2030年に最大80万人規模のIT人材不足が見込まれる
経済産業省の推計では、2030年にIT人材が不足する規模は中位シナリオで約45万人、高位シナリオで約80万人に達するとされています(経済産業省「IT人材需給に関する調査」より)。
背景にあるのは、企業のDX推進やデジタル化の加速です。
人材不足が深刻な状況は、未経験でも採用されやすい環境がしばらく続くことを意味します。
ただし重要なのは、IT全般が一律に不足しているのではなく、特定の職種・スキルにこそ強いニーズがあるという点です。
未経験者の採用は増加傾向にある
民間調査では約7割の企業が「デジタル人材が不足している」と回答しており、なかでもエンジニア職へのニーズが最も高いとされています(ウォンテッドリー独自調査)。
この傾向は、未経験者でも採用対象に入りやすい職種が増えていることを示しているはずです。
とはいえ「入れる」かどうかは職種・企業規模によって差が大きく、一律には語れません。
そのため、応募先をどう選ぶかが採用の可否を左右する大きな要素になります。
未経験から入職しやすいIT職種3つのルート
IT職種への入り口はひとつではなく、職種ごとに求められるものが異なります。
そのため「今の自分にとって最も現実的なルート」は人によって変わります。
ここでは代表的な3つのルートを比較しながら整理しましょう。
ルート①ITサポート・ヘルプデスク
ITサポート・ヘルプデスクは、未経験から入職しやすいIT職種の代表格です。
主な仕事は社内外のユーザーからのIT機器・システムに関する問い合わせ対応で、パソコンの操作や社内システムへの基本的な理解があれば始めやすく、入社後にスキルを積み上げていく前提の職種です。
事務職で培ったコミュニケーション力や、問い合わせ対応の経験を直接活かせる場面も多くあります。
将来的にはエンジニアへのキャリアパスにつながる職場も存在するため、IT業界の入り口として選びやすい選択肢のひとつです。
ルート②社内SE・IT総合職
社内SEは会社の情報システムを管理・運用する職種で、業務プロセスへの理解が求められるため、業務経験のある事務職などからの転職に向いている面があります。
専門的な技術スキルよりも「業務をITで改善する視点」が重視される職場もあり、未経験でも採用している中小企業や成長企業が一定数存在します。
入社後に技術を身につけていくことを前提とした求人も多く、業務知識を武器にしたい方には有力なルートになりやすいはずです。
ルート③Webディレクター・DTPオペレーター
WebディレクターやDTPオペレーターは、制作進行やコンテンツ管理を担う職種です。
プログラミング知識よりも、文書スキルや進行管理力が活かしやすい点が特徴になります。
事務職での文書作成やスケジュール管理の経験は、転職後のベースになりやすい素材です。
エンジニアほどの技術習得を必要とせず、比較的短い準備期間で応募できる求人も存在するため、技術一本では不安という方にも検討しやすいルートと言えます。
ルートを絞り込む5つのステップ
3つのルートから「自分に合うもの」を選ぶには、いくつかの確認作業が役立ちます。
ここで紹介する5ステップは、現在の仕事を続けながら進められるものです。
順番に取り組むことで、ルートが自然に絞られていくはずです。
ステップ1.「やりたいこと」と「できそうなこと」を書き出す
転職先でやりたいことと、現時点でできそうなことをそれぞれ書き出しましょう。
「やりたいこと」だけでは求人が絞りにくく、「できそうなこと」だけでは動機がはっきりしません。
2つを並べることで、3つのルートのどれに近いかが見えてくるはずです。
事務職などで積み上げてきた経験を具体的な言葉で書き出しておくと、後のステップで役立ちます。
ステップ2. 3つのルートの求人票をそれぞれ5件読む
ルート①②③それぞれについて、求人票を最低5件ずつ読んでみましょう。
「必要なスキル」「仕事の内容」「給与水準」を比較することで、各ルートのリアルな要件が見えてきます。
読み進めるうちに「これは自分に合いそう」「これは難しそう」という感覚が自然に生まれるはずです。
その感覚を書き留めておくことが、次のステップへの準備になります。
ステップ3. 現職のスキルを「IT職場でどう使えるか」に変換する
これまでの経験を、IT職場の視点から整理し直しましょう。
たとえば「Excelでデータ整理をしていた」という経験は、データ管理やシステム入力作業への適性として捉え直せます。
「顧客対応をしていた」という経験は、ヘルプデスクやサポート業務への志望動機として言語化できるはずです。
スキルそのものを変えるのではなく、見せ方を変えるという発想が重要です。
ステップ4. IT転職に強いキャリアアドバイザーに相談する
IT転職の経験が豊富なエージェントや、キャリア相談サービスを利用しましょう。
「どのルートが自分に現実的か」を自分だけで判断するのは難しい場面も多くあります。
専門家に現状を話すことで、第三者の目線から優先度を整理してもらえることがあります。
相談はあくまで「情報収集のひとつ」として活用し、すぐに転職を決めなければならない場ではないと安心して使ってください。
ステップ5. 1つのルートに絞って求人に1件応募する
ここまでのステップを経て、3つのルートのうち最も現実的に感じるものをひとつ選びましょう。
「確信が持てるまで動かない」という姿勢は、結果的にそのままになりがちです。
そのため、1件の応募は「このルートで正解かどうか」を確かめる行動として位置づけてみてください。
選考の過程で得られる情報は、自分一人で考えるよりもはるかに具体的で、次の判断材料になります。
まとめ
未経験からのIT転職は、ルートを正しく選べば20代で十分に実現できます。
焦って技術習得から始めるのではなく、「どのルートで入職するか」を決めるところから取り組むのが近道です。
IT職種の有効求人倍率・人材不足の規模は、未経験でも入れる余地があることを示している
未経験から入りやすいルートはITサポート、社内SE、Webディレクター系の3方向に整理できる
5ステップで「やりたいこと」と「できそうなこと」を並べ、最終的に1件応募してみることが入り口になる
3つのルートを読み返し、直感で「これが一番入りやすそう」と思ったものを書き出すところから、今日始めてみましょう。
よくある質問
IT転職を考える際によくいただく質問に、ひとつずつお答えします。
Q. IT転職前に資格は必ず取得すべきですか?
必ずしも必要ではありません。
職種によっては資格よりも実務経験や意欲が重視される場合もあります。
ただし、基本情報技術者試験などの公的資格は、学習の証明と基礎知識の習得に役立つため、時間に余裕があれば準備しておく価値があるはずです。
「資格がないと応募できない」というケースはほとんどなく、応募後の学習計画を示すことで代替できる場合も多くあります。
Q. 事務職の経験はIT転職で活かせますか?
活かせる場面は多くあります。
特に業務理解力・コミュニケーション・文書作成スキルは、IT職場でも重宝される素材です。
社内SEやヘルプデスクでは業務フローを理解した人材が求められることもあり、システムの改善提案を担える人は技術職でなくても重宝されます。
技術知識がなくても、業務の「痛み」を知っている人はIT職場にとって貴重な存在になりえます。
Q. IT転職後の年収は必ず下がりますか?
必ずしも下がるわけではなく、職種・企業・経験値によって大きく変わります。
ただし未経験で入社した場合、最初の1〜2年は現職より低くなる可能性があることは理解しておきましょう。
中長期的な視点で見ると、IT職はスキル習得に応じた昇給が起きやすい職域でもあるため、「今の年収を維持する」ことを最初の条件にすると応募できる求人の幅が狭くなりやすい点には注意が必要です。
未経験からIT転職を目指す20代の方は、ほぼ全員「文系だから難しいですよね?」「年齢的にもう遅いですよね?」とおっしゃいます。でも実際にお話を聞いてみると、事務職や接客で培ってきた業務理解や対人スキルが、ヘルプデスクや社内SEの現場ではむしろ重宝される素材になっているケースがほとんどです。「技術が分からないから無理」と決める前に、まずは今ある経験を「ITでどう活かせるか」という視点で棚卸ししてみてくださいね。