【利用者インタビュー】面談は、14回になった ── 3社を短期で辞めた28歳が、「自分はこういう人間だ」と言えるようになるまで

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販売・事務・携帯販売。3社をどれも短期で退職し、「自分に向いている仕事が分からない」まま次を探していたS.Kさん(28)。相談先で始まったのは求人紹介ではなく、ひたすら過去を振り返る面談だった。数えてみると14回。その先で選んだのは、それまで一度も考えたことのない職種だった。

S.Kさん(28歳・女性)
販売 → 事務職 → 携帯販売 → メーカー製造職(正社員)

3社とも、長くは続かなかった

—— まず、これまでの経歴から教えてください。

販売・事務・携帯販売の3社です。いちばん長くて1年ちょっと、短いところは3か月でした。辞めた理由は全部バラバラなんですけど、共通していたのは、入って2〜3か月したあたりで「あ、これ無理かも」と思う瞬間が来ることでした。

—— 3回目のときは、どんな気持ちでしたか。

さすがにこたえました。1回目は「合わなかっただけ」で済ませられるんです。2回目もまだ会社のせいにできる。でも3回目で、あ、これ自分だな、と。友達は「業界が悪かったんだよ」と言ってくれたんですけど、自分では全然そう思えませんでした。かといって、じゃあ何がダメなのと聞かれたら答えられないんですよ。そこがいちばんしんどかったです。

「また同じことを繰り返す」という予感

—— 次の転職活動を始めるとき、不安はありましたか。

不安しかなかったです。求人サイトは開くんですよ。開いて、給料と休みのところだけ見て、そのまま閉じる。それを何日も繰り返していました。応募ボタンまで行かないんです。どうせこれを選んでもまた辞めるよな、と先に頭に浮かんでしまって。履歴書の職歴欄がもう1行増えるところまで見えるんですよね。

—— それで、相談することにした。

はい。ただ「求人を紹介してください」ではなくて、「自分がなぜ辞めるのかを一緒に考えてほしい」と書いて送りました。たぶん普通の問い合わせではなかったと思います。

求人の話がなかなか出てこない

—— 最初の面談はどうでしたか。

求人の話が一回も出てきませんでした。1回目も2回目もです。ずっと前の3社の話でした。なんでその会社を選んだのか。入って最初の1週間はどうだったか。いつ「違うな」と思ったか。時期まで聞かれます。

途中で「これ、いつ求人の話になるんですか」と聞いたんですよ。ちょっと失礼だったと思うんですけど。そうしたら「3回同じことが起きているなら、必ず理由がありますよ」と。真顔で言われて、あ、そうか、と。そこからは黙って付き合うことにしました。

14回の面談で何を話していたのか

—— 結果的に、面談は14回になったそうですね。

あとで予定表を数えたら14回でした。我ながら多いです。やっていることはほぼ同じで、3社それぞれについて「何が嫌だったか」と「何は平気だったか」を、ひたすら細かく分けて書き出していく。私が話したことが、その場でどんどん紙に書かれていくんです。

—— 細かいですね。

細かいです。たとえば販売なら、接客そのものが嫌だったのか。売上目標か。立ちっぱなしか。シフトか。ここまで割ります。私は「販売が合わなかった」の一言で片づけていたんですけど、割ってみたら、接客はむしろ好きだったんですよ。嫌だったのは日曜に休めないことでした。

そこまで分けると、3社に共通しているものと、その会社だけの話が分かれてくるんです。それまでは全部まとめて「向いてなかった」で終わらせていました。

「そこまでやる意味あるのかな」と思っていた

—— 途中で心が折れませんでしたか。

正直、5回目くらいで「これ意味あるのかな」と思いました。貯金も減っていくので、早く決めたかったんです。同じ話を何回もしている感覚もありました。

実際に「もう求人を見ませんか」と言ったこともあります。そうしたら「まだ整理できていないので、もう一回だけやりましょう」と。それを何度か言われました。こっちが焦っているときほど、向こうが落ち着いているんですよね。あれで助かったと思います。

10回目に、紙を全部並べた

—— 途中で、感覚が変わった瞬間はありましたか。

ありました。10回目くらいだったと思います。その日は、それまで書き出した紙を全部並べて見ていたんです。そうしたら、3社とも辞める直前に共通していることが1つあって。自分で段取りを決められない状態が続くと駄目になる、ということでした。販売のシフトも、事務の指示待ちも、携帯販売のノルマも、全部それだったんです。

3社とも、辞める直前は同じ状態でした。それが分かったのが10回目です。

── 書き出した紙を全部並べた日

それまでは面接で「強みは」と聞かれても、前の日に考えた答えを読んでいるだけでした。自分でも信じていない言葉を。そこからは、聞かれたことにその場で答えられるようになりました。

軸が決まると、求人は自然に絞れた

—— そこから、転職活動はどう進みましたか。

早かったです。求人を開いて10秒くらいで「これは違う」「これは見たい」が分かるようになりました。前は給料の高い求人が出てくるたびに揺れていたんですけど、それがなくなって。

書類は一緒に作りました。面接で3社のことをどう話すかも決めました。ここで、14回分の紙がそのまま材料になったんです。あれをやっていなかったら、たぶん何も言えていないです。

製造職という、考えたこともなかった選択

—— 最終的に、メーカーの製造職に決められたそうですね。

はい。最初に出されたときは「製造ですか」と言いました。ずっと人と話す仕事だったので。ただ、実際に見に行ったら、1日の流れが全部決まっているんですよ。何時に何をするかが。それが自分にはすごく楽で。面談で出した「消耗する条件」に、ひとつも当たらなかったんです。

—— 年収も上がったと伺いました。

100万円ほど上がりました。ただ正直なところ、金額よりも「もう4社目を探さなくていい」ほうが嬉しいです。内定が出た日に、転職サイトのアプリを消しました。

振り返って

—— 14回の面談を、いまはどう思っていますか。

あれがなかったら4社目も同じでした。求人だけ出してもらっていたら、転職自体はできたと思うんです。ただ選び方が変わっていないので、また1年くらいで同じことになっていました。

時間はかかりました。全部で半年ちょっとです。ただ3回繰り返したことを考えたら、14回で止まったなら安いほうだったなと。

最後に ── 同じことを繰り返している人へ

—— 同じように悩んでいる方へ、何か伝えるとしたら。

短期離職が続くと「自分がダメなんだ」と思います。私もそうでした。でも私の場合は、自分のことを知らないまま選んでいたのが原因でした。能力とか根性の話ではなかったです。

一人で考えていても同じところを回るだけでした。誰かに聞かれて初めて言葉になるので、まず話してみてほしいです。うまく説明できなくて大丈夫です。私も最初の面談は、ほとんど「分からないです」しか言っていないので。

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