「まず休みましょう」と言われた ── 退職代行で会社を辞めた28歳が、エンジニアになるまで

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利用者インタビュー 2026年8月18日

「まず、休みましょう」と言われた ── 退職代行で会社を辞めた28歳が、エンジニアになるまで

自分で退職を伝えることができず、退職代行を使って会社を離れた。心も体も疲れ切って次に何がしたいのかも浮かばなかったA.Yさん(28)。早く動かなければと焦って相談した初回の面談で、返ってきたのは想定と正反対の言葉だった。

A.Yさん(28歳・女性)
前職を退職代行で退職 → 休養期間 → エンジニア職(未経験入社)

退職代行を使った日のこと

—— 前の会社は、退職代行を使って辞められたそうですね。

はい。自分で「辞めます」と言うことが、どうしてもできなくて。上司の席まで行こうとすると、途中で足が止まるんです。何回かやって、結局そのまま戻ってきて。引き止められたら断れないだろうな、という気持ちもありました。

—— 使うことに、抵抗はありましたか。

ありました。「そんな辞め方をするのは自分だけじゃないか」と思っていましたし、逃げているという感覚もありました。申し込んだのは日曜の夜です。ただそのときはもう、それ以外に会社を離れる方法が思いつかなかったんです。

「次に何がしたいか」が何も浮かばなかった

—— 辞めた直後は、どんな状態でしたか。

心も体も疲れ切っていました。解放されたはずなのに、なぜか気持ちが晴れなくて。一日中家にいるのに、夕方になると疲れているんです。そして次に何がしたいかが、本当に何も浮かばなかったんです。

やりたいことどころか、やりたくないことすらうまく言葉にできませんでした。前の職場で何が苦しかったのかを説明しようとしても、全部が混ざって順番に話せないんです。

—— それでも、転職活動は始めようとしていた。

焦りはありました。空白期間が延びるのが怖かったので。でもこの状態で焦って始めても、また同じことになる気がして。それで求人を探す前に、まず誰かに話を聞いてほしいと思ったんです。

初回の面談で言われたのは、「まず休みましょう」

—— 初回の面談は、どうでしたか。

転職を急かされると思っていました。「早く動いたほうがいいですよ」「空白は短いほうがいいので」と言われる覚悟をして行ったんです。

でも最初に言われたのが「まず、休みましょう」でした。「いまの状態で受けても、A.Yさんの良いところが出ません。焦って決めた会社で、また同じことになるほうが怖いです」と。

「いまの状態で受けても、A.Yさんの良いところが出ません。焦って決めた会社で、また同じことになるほうが怖いです」

── 初回の面談で

驚きましたし、すごく嬉しかったです。早く決めさせたほうが、本来なら向こうにとっては都合がいいはずですよね。それを言わずに「休みましょう」と言ってくれたので、この人は自分の側に立ってくれているんだなと思えました。その日は結局、求人の話を一度もしませんでした。

動き出すまでのしばらくの時間

—— その後は、どう過ごしていましたか。

しばらくは、本当に何もしませんでした。求人も見ませんでしたし、職務経歴書も開きませんでした。昼まで寝て、洗濯をして、また横になる。そんな日が続きました。罪悪感はありましたが「いまはそれでいい」と言われていたので、許可をもらったような気持ちで休めたのが大きかったです。

不思議なもので、休んでいるうちに前の職場の何が苦しかったのかを順番に話せるようになってきたんです。最初の面談では途中で言葉に詰まって話にならなかったんですけど、何回か経つと、いつ何があったかを時期で言えるようになって。疲れているときはそれすらできない状態だったんだなと、後から分かりました。

自己分析で出てきた「ものづくり」

—— 落ち着いてから、自己分析をされたそうですね。

はい。じっくり時間をかけました。これまでの仕事で、どういうときに時間を忘れていたか。逆にどういうときに消耗していたか。それをひとつずつ整理していきました。

そこで出てきたのが「ものづくり」でした。前の会社で、誰も作っていなかった手順書を自分で作ったことがあって。その話をしているときだけ、こちらが勝手に喋っていたそうです。形になるものを手順を追って組み立てていく作業をしているときは、自分は疲れにくいらしいと。言われてみれば、思い当たることがいくつもありました。

未経験でエンジニアを選ぶ怖さ

—— エンジニア職は、すぐ受け入れられましたか。

いえ、怖かったです。未経験ですし、「そういうのは理系の人がやる仕事」というイメージもありました。私は文系なので。いまから始めて間に合うのか、という不安もありました。

ただこれも一度に決めたわけではなくて、向いていそうな理由としんどそうな理由を両方並べて何度か話しました。紙の真ん中に線を引いて、左と右に書いていくんです。「自分ひとりだったら選択肢にすら入れていなかった」という意味では、いちばん相談してよかった部分かもしれません。

内定

—— 結果はどうなりましたか。

未経験からエンジニア職に内定をいただきました。決まったときは、嬉しさより先にほっとした気持ちのほうが強かったです。退職代行を使って辞めた自分でも、ちゃんと次に進めたんだと思えて。

振り返って

—— いま振り返って、どこが分かれ目だったと思いますか。

間違いなく、最初に「休みましょう」と言われたところです。あそこで求人を出されていたら、私はたぶん早く決めたい一心で条件だけ見て応募していたと思います。そして、また同じ理由で辞めていたはずです。

最後に ── いま、動けない人へ

—— 同じような状況の方へ、何か伝えるとしたら。

疲れ切っているときは、無理に動かなくていいと思います。その状態で決めたことは、たいてい自分に合っていないので。

退職代行を使ったことを引け目に感じている方も多いと思いますが、それを理由に責められることはありませんでした。面接でも一度も聞かれませんでした。焦らず自分を見つめ直せる場所があるので、一人で抱え込まないでほしいです。

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