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無断で辞めたアルバイト先があっても、それが理由で正社員になれなくなることはありません。判断の分かれ目は、雇用保険に入っていたかどうかです。入っていなければ記録は残らず、短期のアルバイトを履歴書から省くことも一般的に許容されます。
一方で、直前の職歴を隠して別の職歴を書くと、経歴詐称と受け取られることがあります。省くことと偽ることは別です。
この記事では、履歴書に書くかの判断基準、伝わる経路、未払い賃金や損害賠償の考え方、面接で聞かれたときの例文までを、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
まず、一番迷うところから整理します。
一番の分かれ目はここです。雇用保険に加入していた場合、加入と喪失の記録が残ります。入っていなければ、その職場で働いていたことを示す公的な記録は残りません。
週の勤務時間が短いアルバイトや、働いた期間が短い場合は、雇用保険に加入していないことが多くなります。自分が対象だったかどうかは、雇用保険被保険者証を受け取っているかで判断できます。
数日から数週間で終わったアルバイトを、履歴書の職歴欄に並べないのは一般的な扱いです。職歴欄は、これまで何をしていたのかを伝えるための欄だからです。
逆に、数年続けていた職場を省くと、その期間が丸々空白に見えます。省くことでかえって説明が難しくなる場合は、辞め方に関係なく書いたほうが楽になります。
ここは慎重に扱う必要があります。短期のアルバイトを省くこと自体は許容されますが、直前の職歴を意図的に隠して別の職場を書くと、事実と違う記載になります。
省くのと、別のものに置き換えるのは別です。前者は書き方の工夫ですが、後者は事実と違う内容を書くことになります。
NG例(職歴欄の書き方)
直前の職場を隠し、別のバイト先を書く
在籍期間を実際より長く書き直す
OK例(職歴欄の書き方)
短期で終わったアルバイトは並べない
長く続けた職場は、辞め方に関係なく書く
不安の大きさは、何が伝わるのかを知らないことから来ています。
応募先の会社が、応募者の過去のアルバイト先を探し出して連絡することは、通常ありません。本人の同意なく前職へ在籍状況を照会するのは、個人情報の扱いとしても問題があるためです。
つまり、無断で辞めたという事実そのものが、選考の途中で相手に伝わることはまずありません。
雇用保険に加入していた場合、入社時に雇用保険被保険者番号を会社に伝えることになります。この手続きで、直前の勤務先の名前が分かる場合があります。
ただし、分かるのは勤務先と期間であって、辞め方の中身ではありません。無断であったか、円満であったかといった経緯が番号から読み取れるわけではありません。
雇用保険に入っていなかったアルバイトについては、この経路もありません。
結局のところ、無断で辞めたという事実が伝わるのは、本人が話した場合がほとんどです。面接で退職理由を聞かれたときに、どこまで伝えるかは自分で決められます。
隠すことを勧めているのではありません。聞かれていないことまで自分から詳しく説明する必要はない、ということです。
金銭の不安も、動けなくなる大きな理由です。
無断で辞めた場合でも、実際に働いた分の賃金は支払われるべきものです。辞め方を理由に支払いを拒むことは、本来認められません。
受け取っていない分がある場合は、シフトの記録や勤務の履歴が分かるものを揃えて、労働基準監督署に相談できます。
辞めること自体は、法律で認められた権利です。民法の第627条第1項は「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」という見出しで、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています。
問題になり得るのは、辞めたこと自体ではなく、連絡を絶ったことで具体的な損害が生じた場合です。ただし、アルバイトが一人抜けたことで損害額を特定して請求するのは容易ではなく、実際に請求に至るケースは限られます。
未払いの給料や返却していない制服がある場合、一度連絡を戻すとそこで区切りがつきます。連絡しづらい場合は、電話ではなく書面やメールでも構いません。
連絡を避けている間は、いつ連絡が来るかという不安が続きます。その状態で就職活動を進めるのは、思っている以上に負担になります。
ここからは、実際に口に出せる形で見ていきます。いずれも30秒前後で話せる長さです。
短期で終わったアルバイトを省いている場合、その期間について聞かれることがあります。
「この時期は、短期のアルバイトをいくつか経験していました。いずれも長く続かなかったため、職歴欄には主なもののみ記載しております。自分に合わない仕事を選んでいたことが原因だと考えており、今は仕事の内容を確かめてから応募するようにしています。」
省いていることを聞かれたら、短期であったことを認めたうえで、今の選び方につなげます。
「当時は体調を崩していて、連絡をしないまま行かなくなってしまいました。送らなかったことは自分の非だと考えています。その後は、続けられないと感じた時点で先に相談するようにして、同じ職場を続けられています。」
非を認めることと、その後変わったことをセットで伝えます。言い訳を長く語ると、かえって印象が悪くなります。
「当時は、つらいと感じても誰にも相談せずに抱え込んでいました。今は、困ったときに早めに伝えることを意識しています。直近の職場では、シフトの調整が必要なときに先に相談するようにして、二年続けています。」
採用する側が一番気にするのはここです。気持ちの強さではなく、行動が変わったことを示す事実を出します。
同じ事実でも、伝え方で受け取られ方が変わります。
「あの職場はひどかったので行くのをやめました」と伝えると、入社後に不満があれば同じことをすると受け取られます。
言い換えるなら、「続けられないと感じた時点で相談すればよかったと考えています」と、自分の行動について述べる形になります。
いつ辞めたのか覚えていないという説明は、経歴を把握していない人という印象につながります。
言い換えるなら、先に自分で時期を整理しておき、「何年のいつ頃から何ヶ月間です」と答えられる状態にしておくことになります。
志望動機の途中で自分から無断退職の話を始めると、話の中心が仕事から離れてしまいます。
言い換えるなら、聞かれたときだけ短く事実を伝え、すぐに今の選び方へ話を戻すという形が自然です。
履歴書に書くかは、雇用保険・期間の長さ・直前かどうかで判断する
短期のアルバイトを省くのと、別の職歴に置き換えるのは別
応募先が前のバイト先に問い合わせる仕組みはない
働いた分の賃金は、辞め方に関係なく支払われるべきもの
民法第627条により、退職の申入れはいつでもできる
連絡を避けている間は不安が続きます。一度区切りをつけてから、探すことに集中していきましょう。
Q. 無断で辞めたアルバイトは履歴書に書く必要がありますか。
短期で終わったアルバイトを省くのは一般的な扱いです。ただし、直前の職歴を隠して別の職場を書くのは、事実と違う記載になります。
Q. 雇用保険の記録から辞め方は分かりますか。
分かりません。番号から分かるのは勤務先と期間であって、無断だったか円満だったかという経緯は含まれません。
Q. 未払いの給料はもらえないのでしょうか。
働いた分の賃金は、辞め方に関係なく支払われるべきものです。受け取れていない場合は、勤務の記録を揃えて労働基準監督署に相談できます。
Q. 損害賠償を請求されることはありますか。
辞めたこと自体は民法第627条で認められた行為です。問題になり得るのは具体的な損害が生じた場合ですが、アルバイト一人分の損害額を特定するのは容易ではありません。
Q. 今から連絡を戻しても遅いですか。
遅いということはありません。未払いの給料や返却するものがある場合、一度連絡すれば区切りがつきます。電話でなく書面やメールでも構いません。
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