借金があることは転職エージェントに言うべき?判断基準と例文を解説

最終更新:

2026/9/8 04:48

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借金の有無は、伝えなければならない情報ではありません。ただし、入社日までに生活費がもたない、返済との往復で面接の日程を組めないといった、進め方に直接関わる場合は伝えたほうが進みます。

伝えた情報の扱いは、職業安定法で範囲が限られています。相談した内容が、本人の同意なく応募先の企業へ渡ることは想定されていません。

この記事では、伝えるかどうかの判断基準、情報の扱いを定めた法令、伝えるときの例文までを、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。

伝えるかどうかを分ける3つの判断基準

すべてを話す必要はありません。進め方に影響するかどうかで分けます。

1. 就職活動の進め方に影響するか

返済のためにアルバイトを減らせない、面接の日に休むと収入が足りなくなる。こうした制約がある場合は、伝えたほうが日程の組み方が変わります。

逆に、返済を続けながら普通に動けているのであれば、伝える必然性はありません。判断の軸は、金額の大きさではなく、動き方に制約が出ているかどうかです。

2. 入社日までの生活が持つか

見落とされやすいのがここです。内定が出てから最初の給料日までは、ひと月以上空くことがあります。返済がある場合、この期間をどうつなぐかは先に考えておく必要があります。

入社日をいつにするかは、会社との調整事項です。事情を伝えていれば、そこを含めて提案してもらえます。

3. 応募できない職種があるか

一部の職種では、採用の過程で身元に関する確認が行われることがあります。この確認の内容は会社ごとに違い、全ての求人で行われるものではありません。

気になる業界を候補にしている場合、先に確かめておくと無駄な応募を避けられます。確かめないままでは、候補を広げることも狭めることもできません。

NG例(伝えるかの判断)

  • 金額が大きいからという理由だけで黙っておく

  • 聞かれてもいない段階で詳細を全て話す

OK例(伝えるかの判断)

  • 日程や入社日に影響する部分だけ伝える

  • 候補にしている職種の確認の有無を聞いておく

職業安定法が定める情報の取扱いの範囲

伝えることに怖さがあるのは、どこまで使われるか見えないからです。ここは法令で範囲が定められています。

目的の範囲内に限るという定め

職業安定法の第5条の5は「求職者等の個人情報の取扱い」という見出しで、職業紹介事業者などが求職者の個人情報を扱う際のルールを定めています。

条文は、「その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」としています。その上で「ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」と定められています。

つまり、相談した内容を別の目的で使うには、原則として本人の同意が必要になるということです。

収集してはならないとされている事項

厚生労働省の指針では、職業紹介事業者などが収集してはならない事項として、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況が挙げられています。

借入の状況はこの一覧には含まれていませんが、収集するなら業務の目的の達成に必要な範囲内であることが前提になります。

会社に自動で伝わる仕組みではない

面談で話した内容が、そのまま応募先の企業へ送られる仕組みにはなっていません。伝える必要があると判断される場合でも、事前に確認を受けるのが本来の進め方です。

不安がある場合は、相談の冒頭で「この話は応募先には伝えないでほしい」と伝えておけば十分です。

伝えることで提案が変わる4つの場面

伝える利点は、同情されることではなく、提案の中身が変わることです。

面接の日程の組み方

アルバイトを減らせない事情があれば、面接の候補日を寄せて提示したり、オンラインで可能かを先に確かめたりといった進め方ができます。

入社日の調整

最初の給料日までの期間を短くしたい場合、入社日を給与締日との関係で調整できることがあります。ここは会社との交渉事項になります。

給与の内訳の見方

月給の総額だけでなく、固定残業代が含まれていないか、手当の条件は何かといった点を、手取りの見通しとして一緒に見られます。

候補にする職種の範囲

確認が行われることがある職種を先に把握できれば、無駄な応募を避けられます。逆に、心配いらない職種が分かれば、候補を広げられます。

面談で伝えるときの例文

ここからは、実際に口に出せる形で見ていきます。いずれも30秒前後で話せる長さです。

日程の制約を伝える場合の例文

「毎月の返済があるため、今のアルバイトのシフトを大きく減らせない状況です。面接の日程は、週に一日程度なら調整できます。可能であれば、一日にまとめて入れていただくか、オンラインで可能な企業を優先していただけると助かります。」

金額や経緯を詳しく話す必要はありません。制約と、こうしてほしいという依頼をセットで伝えます。

入社日までの生活を相談する場合の例文

「内定が出てから最初の給料日まで、収入が空く期間が不安です。返済を止められないため、入社日の決め方で調整できる余地があれば知りたいです。今のアルバイトをいつまで続けるかも、あわせて考えたいです。」

ここは進め方に直接関わる部分なので、伝える利点が大きい場面です。

会社に伝えないでほしいと頼む場合の例文

「今お伝えした内容は、応募先には伝えないでいただけますでしょうか。日程の調整に必要な範囲だけで、会社には伝えていただいて構いません。」

伝える範囲をこちらから指定すると、やり取りが明確になります。遠慮して何も言わないより、範囲を決めて伝えるほうが安全です。

相談で避けたい伝え方3つと言い換え例

同じ事情でも、伝え方で提案の中身が変わります。

金額だけを伝える

「借金がいくらあります」とだけ伝えても、提案は変わりません。金額は、求人を選ぶ際の情報になりにくいからです。

言い換えるなら、「毎月この金額を回す必要があるため、手取りの下限をこの線で考えています」と、条件の形に直して伝えることになります。

収入の高さだけを条件にする

手取りの額だけで求人を絞ると、昇給の仕組みがない仕事や、固定残業代で額を大きく見せている求人に寄ってしまいます。

言い換えるなら、「初年度の手取りと、数年後の見通しの両方で見たい」と伝えることになります。

事情を伏せて日程を断り続ける

理由を言わずに面接の日程を断り続けると、意欲がないと受け取られ、紹介自体が減っていきます。

言い換えるなら、「シフトの関係でこの曜日は難しいですが、この曜日なら調整できます」と、動ける範囲を先に示すことになります。

まとめ

  • 伝えるかどうかは、金額ではなく進め方への影響で判断する

  • 職業安定法第5条の5により、情報の保管・使用は収集の目的の範囲内に限られる

  • 面談で話した内容が自動で応募先へ渡る仕組みではない

  • 伝える利点は、日程・入社日・給与の見方・職種の範囲に出る

  • 金額ではなく、手取りの下限という条件の形で伝える

遠慮して黙っていると、合わない提案ばかりが続きます。伝える範囲を決めて、進めやすい状態を作っていきましょう。

よくある質問

Q. 借金があると紹介してもらえなくなりますか。

借入の有無で紹介の可否が決まるものではありません。伝えることで変わるのは、日程や入社日の組み方といった提案の中身です。

Q. 話した内容は応募先に伝わりますか。

自動で伝わる仕組みではありません。職業安定法第5条の5は、収集の目的の範囲内で保管・使用することを定めており、別の目的で使うには原則として本人の同意が必要です。

Q. 伝えないでほしいと頼めますか。

頼めます。相談の冒頭で伝えないでほしい範囲を示しておくと、やり取りが明確になります。

Q. 収集してはならない情報には何がありますか。

厚生労働省の指針では、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況が挙げられています。

Q. 入社後に会社に知られることはありますか。

給与の差押えの手続きが取られた場合、会社に通知が届きます。支払いが滞る見込みがある場合は、先に債権者や公的な相談窓口へ連絡しておくことが大切です。