税金や年金を滞納していても就職できる?免除申請と伝え方を解説

最終更新:

2026/9/8 04:40

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税金や年金の滞納があること自体は、応募や採用の判断に使われません。ただし放置したまま就職すると、給与の差押えという形で勤務先に知られる可能性があります。順番として正しいのは、応募より先に免除や猶予を申請しておくことです。

国民年金には所得に応じた免除・納付猶予の仕組みがあり、住民税にも一年以内の徴収猶予が法律で定められています。どちらも滞納してからではなく、払えないと分かった時点で使える制度です。

この記事では、就職への実際の影響、2つの制度の申請手順、面接で聞かれたときの答え方までを、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。

滞納があること自体は選考の対象にならない

まず、就職への実際の影響を切り分けておきましょう。

応募の段階で調べられることはない

中途採用の選考で提出するのは、履歴書と職務経歴書が中心です。住民税の納付状況や年金の納付記録を、応募の段階で会社が取り寄せる仕組みはありません。滞納があるという理由で書類が落ちることは、まず起こりません。

入社時には年金手帳や基礎年金番号の確認を求められますが、これは厚生年金の加入手続きに必要な番号を確認するためのものです。過去に未納があったかどうかを見るための書類ではありません。

勤務先に知られる可能性がある唯一の経路

一方で、放置し続けた場合には経路があります。滞納処分として給与が差し押さえられると、会社に差押えの通知が届きます。この場合、会社は手続きに応じる立場になるため、事情を知ることになります。

つまり、知られるかどうかを分けているのは滞納の有無ではなく、手続きを取ったかどうかです。督促の段階で相談していれば、この経路には進みません。就職してから差押えが起きるほうが、はるかに困った状況になります。

国民年金の免除と納付猶予は所得で判定される

年金のほうは、収入が少ない人が使うことを前提にした制度が用意されています。日本年金機構の制度です。

全額免除は所得の計算式で決まる

免除される額について、機構は「全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります」と説明しています。このうち全額免除の所得基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」という計算式で示されています。

扶養している家族がいない一人暮らしの場合、この式に当てはめると67万円になります。所得が基準を下回っていれば、申請によって全額免除の対象になり得るということです。

注意したいのは、本人の所得だけで決まらない点です。機構は「本人、配偶者、世帯主それぞれの前年所得が一定額以下であれば」と説明しています。実家で暮らしている場合、世帯主である親の所得も判定に入ります。

50歳未満なら納付猶予という選択肢がある

世帯主の所得が基準を超えて免除にならない場合でも、納付猶予という別の仕組みがあります。対象は「20歳以上50歳未満の方」で、所得基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」と免除と同じ式です。

納付猶予の判定に入るのは本人と配偶者の所得のみで、世帯主は含まれません。実家暮らしで親の所得が高い方にとっては、こちらが現実的な選択肢になります。

2年1カ月前までさかのぼれる

過去の未納分についても、機構は「保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)が申請できます」としています。すでに払えていない月があっても、この範囲であれば申請できます。

NG例(年金の未納への対応)

  • 督促が来ても開封せずに放置する

  • 払えるようになってから手続きしようと考える

OK例(年金の未納への対応)

  • 所得の計算式に自分の数字を当てはめて確認する

  • 2年1カ月前までの分をまとめて申請する

住民税は一年以内の徴収猶予を申請できる

住民税は年金と仕組みが違い、市区町村が窓口になります。

法律に定められた猶予の仕組み

地方税法の第15条は「徴収猶予の要件等」という見出しで、一定の事実がある場合に納税者の申請に基づき「一年以内の期間を限り、その徴収を猶予することができる」と定めています。払えないときに相談する窓口があるということが、法律の側で用意されているということです。

猶予が認められると、その期間は差押えなどの手続きが進みません。分割での納付を認められる場合もあります。手続きの詳細と必要書類は市区町村によって異なるため、住んでいる自治体の納税相談窓口で確認しましょう。

前年の所得で決まるという時期のずれ

住民税でつまずきやすいのは、前年の所得をもとに翌年課税される点です。アルバイトをよく入れていた年の翌年に、収入が減っているのに高い額の通知が届くことがあります。

このずれは、正社員になった直後にも起こります。入社した年の住民税は、フリーターだった前年の所得にもとづいて計算されるためです。この時期に未納を重ねないよう、就職の前に一度整理しておくと安心です。

正社員になると納付の形はどう変わるか

就職すると、年金と住民税の両方で仕組みが切り替わります。

国民年金から厚生年金へ切り替わる

正社員として厚生年金に加入すると、保険料は給与から天引きされ、会社が半分を負担します。自分で納付書を管理する必要がなくなり、払い忘れが起きなくなります。

ただし、過去の未納分が自動的に消えるわけではありません。免除を受けた期間について、機構は全額免除の場合「保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1」で年金額に反映されると説明しています。一方で納付猶予は「受給資格期間にカウントされますが、年金額には反映されません」とされています。将来の受取額を戻したい場合は、追納という手続きが別に必要です。

住民税は特別徴収に切り替わる

住民税も、就職すると給与からの天引きに切り替わるのが一般的です。切り替えの手続きは会社が行いますが、未納分がある場合はその分が自動的に含まれるわけではありません。滞納分は引き続き自分で納める形になります。

ここを整理しないまま入社すると、天引きが始まった後も督促が続くことになります。入社前に窓口で相談しておくほうが、結果として楽になります。

面接で未納について聞かれたときの答え方

聞かれる場面は多くありませんが、備えておくと落ち着いて話せます。いずれも30秒前後で話せる長さです。

収入が少なく手続きを取っていた場合の例文

「アルバイト中心の収入だったため、国民年金は納付猶予の手続きを取っていました。住民税についても、市の窓口で相談して分割で納めています。放置していたわけではなく、制度を使いながら整理してきました。入社後は給与からの天引きになりますので、こちらは問題なく続けられます。」

聞かれた場合に重要なのは、金額ではなく手続きを取っているという事実です。未納の詳細まで説明する必要はありません。

まだ整理の途中である場合の例文

「収入が少ない時期に納付が滞った分があり、現在は市の窓口で相談しながら分割で納めているところです。年金についても年金事務所で手続きを進めています。入社までに整理を終える見込みで動いています。」

途中であることを隠す必要はありません。動いているという事実が伝われば十分です。

未納の話で避けたい伝え方3つと言い換え例

同じ事実でも、伝え方で受け取られ方が変わります。

制度を知らずに放置していたと伝える

「払えなかったのでそのままになっています」とだけ伝えると、入社後の手続きも滞るのではという見方をされることがあります。

言い換えるなら、「収入が少ない時期に滞った分があり、今は窓口で相談しながら進めています」となります。放置ではなく対応中という事実を出すのがコツです。

自治体や制度への不満を口にする

「収入もないのに請求が来るのはおかしい」といった言い方は、入社後も不満を口にする人という印象につながります。

言い換えるなら、制度への評価は入れず、「前年の所得で計算されるため、収入が減った年に負担が重なりました」と事実の説明にとどめます。

聞かれてもいないのに先に説明する

未納の話は、こちらから切り出す必要はありません。志望動機の途中で自分から説明を始めると、話の中心が仕事から離れます。

言い換えるなら、聞かれたときだけ短く答え、それ以外の場面では触れないという形が自然です。

まとめ

  • 応募の段階で納付状況を調べられることはない

  • 勤務先に知られる経路は、放置した末の給与差押えに限られる

  • 国民年金は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」が全額免除の基準

  • 納付猶予は50歳未満が対象で、世帯主の所得は判定に入らない

  • 住民税は地方税法により一年以内の徴収猶予を申請できる

滞納を理由に応募をためらうと、収入を増やす機会そのものを失います。先に窓口で手続きを取り、探すことに集中していきましょう。

よくある質問

Q. 実家暮らしだと年金の免除は受けられませんか。

免除の判定には世帯主の所得が入るため、親の所得が基準を超えると対象外になることがあります。その場合でも、本人と配偶者の所得だけで判定される納付猶予は申請できます。

Q. 免除と納付猶予では、将来もらえる年金は同じですか。

違います。全額免除の期間は全額納付した場合の2分の1で年金額に反映されますが、納付猶予の期間は受給資格期間に数えられるだけで年金額には反映されません。

Q. 過去の未納分は、いつまでさかのぼって申請できますか。

納付期限から2年を経過していない期間、つまり申請時点から2年1カ月前までの分が対象です。それより前の期間は申請の対象になりません。

Q. 住民税の猶予はどのくらいの期間認められますか。

地方税法では一年以内の期間を限って徴収を猶予できると定められています。実際の期間や分割の回数は、自治体の判断と個別の事情によって異なります。

Q. 入社の手続きで、過去の未納は会社に伝わりますか。

入社時に確認されるのは基礎年金番号などの情報で、過去の納付状況が会社に共有される仕組みではありません。伝わるのは、差押えの通知が届いた場合に限られます。