人手不足の業界は未経験でも入れる? 長く働けるかの見極め方を解説

最終更新:

2026/9/16 06:46

自分に合う仕事が見つかる!適職診断はこちら▼


人手不足の業界は、求人が多いぶん応募先の候補を見つけやすくなりますが、入りやすさと長く働けるかは別の問題です。人手が足りない理由と、会社ごとの教育体制や定着の状況を確かめてから選ぶのが基本です。

人手不足の職場では、未経験者を受け入れる求人がある一方で、忙しさから教える時間が取れず、入社後に一人で抱え込んでしまうこともあります。数字で業界の状況を知り、面接で職場の実態を確かめることが大切です。

この記事では、人手不足の職種の求人倍率と、未経験でも長く働ける会社の見極め方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。

人手不足の職種を有効求人倍率の数字で確かめる

人手不足かどうかは、求職者1人に対して求人がいくつあるかを示す有効求人倍率で確かめられます。業界全体の印象ではなく、自分が応募を考えている職種の数字を見ておくと、応募先の見つけやすさを具体的に予想できます。

建設や運転、介護の求人倍率は高い

厚生労働省の一般職業紹介状況で、2026年3月のパートを含む常用の有効求人倍率を職業別に見ると、職業計1.10倍に対し、建設・採掘従事者は4.81倍、介護サービス職業従事者は3.63倍、自動車運転従事者は2.51倍、保安職業従事者は6.22倍でした。建設・採掘従事者のうち、建設躯体工事従事者は7.35倍、土木作業従事者は5.96倍と、特に高くなっています。

この数字はハローワークで扱った求人と求職者の数から計算したもので、1倍を上回ると求職者より求人が多い状態を表します。民間の求人サイトに載っている求人は含まれないため、全体の傾向をつかむ目安として使います。

求人倍率が低い職種との違いも知っておく

一方で、一般事務従事者は0.37倍と、求職者のほうが求人より多くなっています。同じ時期でも、職種によって求人の状況には大きな差があります。

倍率の高い職種は応募先の候補が多いため、条件を比べながら求人を選べます。倍率の低い職種で応募がなかなか進まない場合は、人手不足の職種に視野を広げることも選択肢になります。ただし、倍率は求人の多さを表す数字で、働きやすさや給与の高さを表すものではありません。倍率が高い職種ほど、入社後の働き方を会社ごとに確かめておく必要があります。

人手不足の業界に未経験で入るときの注意点

応募先の候補が多いと、条件が良さそうな求人にすぐ応募したくなります。入社を決める前に、人手不足の職場ならではの注意点を知っておきます。

人手が足りない理由を面接で確かめる

人手が足りない理由には、事業が伸びて人を増やしている場合と、辞める人が多く補充が追いつかない場合があります。前者なら新しく入る人を育てる余裕を持ちやすいですが、後者なら入社後も忙しさが続く可能性があります。ただし、欠員の補充でも、前の担当者が異動や家庭の事情で辞めた場合など、職場に問題があるとは限りません。

求人票に募集の理由が書かれていない場合は、面接で「今回の募集はどのような理由で行っていますか」と聞くと、増員なのか欠員の補充なのかが分かります。欠員の補充であっても、前任者が辞めた理由や、職場で改善していることを聞けると判断しやすくなります。

新卒の離職率が高い産業も知っておく

厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者の3年以内の離職率を産業別に見ると、宿泊業,飲食サービス業は高校卒64.7%、大学卒55.4%、生活関連サービス業,娯楽業は高校卒61.5%、大学卒54.7%でした。いずれも全体の高校卒37.9%、大学卒33.8%を大きく上回っています。

これらは新卒で就職した人の平均で、中途で入社した人の状況とは違う場合があり、同じ産業でも会社によって差があります。業界の数字は、会社ごとに確かめる点を洗い出す手がかりとして使います。会社のホームページや求人票に、平均勤続年数などが書かれていることもあるため、応募前に確かめておきます。

未経験でも長く働ける会社を見極める4つのポイント

人手不足の業界で長く働ける会社かどうかは、次の4つのポイントで確かめます。求人票で分かることと、面接で聞くことを分けて準備します。

未経験者向けの研修と教える担当者がいるか

未経験者の研修が何日あるのか、研修の後は誰に質問できるのかを確かめます。人手不足の職場では、研修が短く、すぐに現場に出ることもあるため、慣れるまで先輩が一緒に動いてくれる期間があるかを面接で聞きます。

残業時間と休日が求人票どおりか

月の平均残業時間、年間休日の日数、休日の決まり方を求人票で確かめ、面接で実際の状況を聞きます。忙しい時期の残業時間や、急な欠員が出たときに休日出勤があるかも聞いておくと、入社後の働き方を想像しやすくなります。

入社した人がどのくらい続いているか

過去数年に入社した人のうち、今も働いている人がどのくらいいるかを聞きます。数字で答えてもらえない場合でも、「未経験で入社して何年目の方が活躍していますか」と聞くと、定着の様子が見えてきます。

資格の取得支援や昇給の仕組みがあるか

建設や介護、運転の仕事では、資格を取ることで任される仕事や給与が変わることがあります。資格の取得費用を会社が負担してくれるか、資格を取ったときに手当がつくかを確かめると、長く働いたときの見通しを立てやすくなります。

NG例(人手不足の業界に応募するとき)

  • 「未経験歓迎で入りやすいから」と、人手が足りない理由を確かめずに応募する

  • 研修の期間や、教えてくれる人がいるかを聞かずに入社を決める

OK例(人手不足の業界に応募するとき)

  • 増員か欠員の補充かを面接で聞き、職場で改善していることも確かめる

  • 研修の内容と、慣れるまで先輩が一緒に動く期間を確かめてから決める

人手不足の業界で自分に合う仕事を選ぶ考え方

求人が多い業界だからといって、自分に合うとは限りません。入りやすさだけで選ばず、自分が続けられるかを先に考えます。

入りやすさだけで選ぶと続かないことがある

MyStyle転職の支援事例に、在宅でできそう、キラキラしていそうというイメージでSNSマーケティングの求人に応募し、入社後にコールセンターに配属された28歳の方がいます。毎日のクレーム対応で心身ともに疲れ切り、退職しました。

この方は、焦らず時間をかけて自己分析をしました。幼い頃の工作や、家が建っていく過程を見るのが好きだったこと、自分でパソコンを組み立てていたことなど、共通する好きなことを拾い上げ、ものづくりの方向で活動して、未経験からエンジニアとして内定を得ています。求人の多さやイメージだけで選ばず、自分が好きなことや続けられる条件から選ぶことが、長く働くためには大切です。

つらいことと耐えられることを先に分けておく

人手不足の業界には、体力を使う仕事や、夜勤や早朝勤務のある仕事も含まれます。支援事例では、製造業で夜勤のある不規則なシフトに限界を感じていた28歳の方が、何がつらくて何なら耐えられるのかを一つずつ切り分けました。夜勤の負担そのものより、この働き方がいつまで続くのか分からない先の見えなさが一番つらかったと分かり、人と話す仕事への興味も見えたことで、土日祝休みの営業職を選んでいます。

応募する前に、体力、勤務時間、人と接する量など、自分が耐えられることと耐えられないことを書き出しておくと、人手不足の業界の中でも自分に合う仕事を選びやすくなります。

人手不足の業界に未経験で応募するときの例文

人手不足の業界に未経験で応募するときは、入りやすさではなく、その仕事を選んだ理由と長く働く意欲を伝えます。面接の最後に質問の時間があれば、職場の実態を確かめる質問も用意しておくと、入社後の働き方を判断する材料が増えます。

未経験で介護職を志望する理由を伝える例文

「祖母が通っていたデイサービスで、職員の方が一人ひとりの様子に合わせて声をかけている姿を見て、人の生活を支える仕事に関心を持ちました。飲食店のアルバイトでは、お客さまの小さな変化に気づいて対応することを大切にしてきました。未経験のため、御社の研修で基礎から学び、資格の取得にも挑戦したいです。」

その仕事に関心を持ったきっかけと、これまでの経験で生かせる点を具体的に話しています。人手不足の業界では、すぐに辞めてしまわないかを気にされることがあるため、資格の取得など長く働く意欲を示す行動を添えると伝わりやすくなります。介護以外の職種でも、きっかけ、生かせる経験、長く働く意欲の順に話す形はそのまま使えます。

面接で職場の実態を確かめるときの例文

「長く働くために、職場の状況についてお伺いしたいことがあります。今回の募集は、増員と欠員の補充のどちらになりますか。また、未経験で入社した方は、独り立ちするまでにどのくらいの期間、先輩と一緒に仕事をされていますか。入社後の働き方を具体的に思い描きたいと考えています。」

「長く働くために」と目的を先に伝えることで、職場の実態を聞く質問も前向きに受け取ってもらいやすくなります。答えの内容だけでなく、具体的に答えてもらえるかどうかも、職場の状況を判断する材料になります。

まとめ

  • 人手不足の職種は有効求人倍率で確かめ、応募先の候補を広げる

  • 人手が足りない理由を面接で聞き、増員か欠員の補充かを確かめる

  • 研修と教える担当者、残業と休日、定着の状況、資格支援の4つを見る

  • 入りやすさだけで選ばず、自分が耐えられる条件を先に書き出す

まずは、気になる人手不足の職種の求人を3件選び、研修の内容と残業時間の記載を比べてみてください。

よくある質問

Q. 人手不足の業界は、給料が高いですか。

人手不足だからといって、給料が高いとは限りません。求人票で月給の下限、賞与の有無、資格手当や夜勤手当などの内訳を確かめます。同じ職種の求人を複数並べて比べると、その会社の条件が良いのかどうかを判断しやすくなります。

Q. 未経験歓迎の求人ばかり出している会社は危ないですか。

未経験歓迎と書かれていること自体に問題があるわけではありません。気になるのは、同じ求人がずっと出続けている場合や、仕事内容や給与の説明があいまいな場合です。面接で研修の内容や、未経験で入社した人が今どうしているかを聞き、具体的に答えてもらえるかで判断します。

Q. 資格がないと、人手不足の業界でも不利ですか。

職種によっては、入社後に資格を取ることを前提に、資格がなくても応募できる求人があります。応募資格の欄を確かめ、資格が必須なのか、入社後に取得すればよいのかを見分けます。取得支援の制度がある会社なら、働きながら資格を取る道を選べます。

Q. 体力に自信がなくても、人手不足の業界で働けますか。

人手不足の業界にも、体力を使う仕事と、比較的体への負担が少ない仕事があります。同じ業界でも、現場の作業と事務や管理の仕事では働き方が違います。仕事内容の欄で一日の流れを確かめ、立ち仕事や重い物を運ぶ作業がどのくらいあるかを面接で聞いてから判断します。

Q. 人手不足の業界に入って合わなかったら、また転職できますか。

転職することはできますが、短い期間で辞めると、次の面接で理由を聞かれます。何が合わなかったのかと、次は何を確かめて選ぶのかを説明できるようにしておきます。入社前に、つらいことと耐えられることを書き出しておくと、合わなかったときの説明もしやすくなります。