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持病を面接で伝えるかどうかは、働くうえで配慮が必要な点があるかで考えます。配慮が必要な場合は、今の状態、配慮してほしい点、その中でできることを合わせて伝え、通院や勤務の条件が合う会社を選ぶのが基本です。
持病があると、伝えたら不利になるのではないか、伝えなかったら入社後に困るのではないかと迷うことがあります。先に自分の状況を整理しておくと、伝えるかどうか、どこまで伝えるかを決めやすくなります。
この記事では、健康上の理由で仕事を辞めた人のデータと、持病を伝えるときの考え方と例文を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
体調に関わる理由で仕事を辞めたり、働き方を見直したりすることは、特別なことではありません。国の調査で、健康上の理由で仕事を辞めた人の割合と、採用選考についての国の考え方を見ておきます。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、在学していない若年労働者が初めて勤務した会社を辞めた理由(3つまでの複数回答)を見ると、「健康上の理由」は9.4%でした。年齢別では、20~24歳で10.0%、25~29歳で10.6%で、20代の前半と後半でほぼ同じ割合です。同じ調査で最も高かったのは「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」の28.5%でした。
調査の項目は「健康上の理由」で、持病かどうかを分けた数字ではありません。それでも、体調に関わる理由で仕事を辞めた人が一定の割合でいることは、数字から分かります。体調に合う働き方を考えることは、次の職場で長く働くための準備の一つです。持病があることを理由に、転職をあきらめる必要はありません。
厚生労働省は、公正な採用選考のために配慮すべき事項の一つとして、「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」を挙げています。応募する側としては、仕事に関係する範囲で、自分の状態をどう伝えるかを考えておくことが大切です。伝える内容を自分で整理しておくと、面接で健康について聞かれたときにも落ち着いて答えやすくなります。どこまで答えるかをあらかじめ決めておくと、その場で必要以上に話してしまうことも防げます。
伝えるかどうかは、持病があるかどうかだけで決めるものではありません。次の3つの点から考えます。考えた内容を紙に書き出しておくと、面接で話す内容をまとめるときにも使えます。
通院のために定期的に休みや早退が必要か、避けたほうがよい作業や勤務時間があるか、急に体調が変わることがあるかなど、仕事や勤務に影響がある点を書き出します。これまでの仕事で体調によって困った場面と、困らなかった場面を分けて振り返ると、影響がある点を見つけやすくなります。影響が小さい場合は、伝える範囲を自分で考えて決めます。影響がある場合は、次の手順で配慮してほしい点を具体的にしていきます。
影響がある場合は、会社に配慮してほしい点を具体的にします。「月に1回、平日の午前に通院のため休みがほしい」「夜間の勤務がない仕事がよい」のように、何をどのくらい配慮してほしいのかが分かると、会社も働き方を考えやすくなります。配慮してほしい点については、主治医に意見を聞いておくと、説明するときのよりどころになります。
配慮が必要なのに伝えずに入社すると、通院の休みが取りにくい、体調に合わない勤務を任されるなど、入社後に困ることがあります。伝えるかどうか迷うときは、伝えた場合と伝えなかった場合で、入社後にどのようなことが起こりそうかを書き出して比べます。伝えた場合に選考でどう受け取られるかは会社によって違いますが、入社後の働きやすさまで含めて考えると、判断しやすくなります。
持病を伝えると決めたら、伝える順番を整えておきます。症状を詳しく話すことより、働くうえで必要な情報を伝えることを意識します。伝える場面は、健康状態を聞かれたときのほか、逆質問や面接の最後に自分から伝える方法もあります。
最初に、今は仕事ができる状態であることや、これまでどのように働いてきたかを伝えます。持病があることだけを先に伝えると、働けるかどうかを判断する材料が少なくなるため、今の状態とできることを合わせて話します。これまでの働き方を、期間や担当した仕事と合わせて具体的に伝えると、今の状態が伝わりやすくなります。
次に、配慮してほしい点を短く伝えます。通院の頻度や、避けたい勤務などを具体的に伝え、それ以外は問題なく働けることを添えます。配慮してほしい点が複数ある場合は、優先したいものから順に伝えます。「できれば」「可能であれば」と遠回しにしすぎると、何を配慮してほしいのかが伝わりにくくなるため、必要なことははっきり伝えます。伝える内容は、面接の前に声に出して練習しておきます。
体調を保つために自分で気をつけていること、たとえば生活のリズムを整えている、通院の予定を早めに共有するようにしているといったことを伝えます。自分で工夫していることを伝えると、配慮をお願いするだけでなく、自分でも働き続けるための準備をしていることを示せます。工夫していることが思いつかない場合は、体調を崩さないために普段の生活で続けていることを書き出してみます。
持病があるときは、伝え方と合わせて、体調に合う働き方ができる会社を選ぶことも大切です。応募する前と面接の場で、次の点を確かめます。求人票だけでは分からないこともあるため、面接や内定後の面談も使って確かめます。
求人票で、休日の数や曜日、勤務時間、残業の有無、交替制の勤務があるかを確かめます。通院が必要な場合は、有給休暇を取りやすいか、時間単位で休めるかなども、面接で聞いておきます。通勤にかかる時間も体調への負担に関わるため、勤務地までの距離や混雑も考えておきます。
MyStyle転職の支援事例では、退職代行を使って前の会社を辞め、心身ともに疲れ切っていた28歳の方が、まず休むところから始め、時間をかけて自己分析を進めました。子どもの頃の工作や、家が建っていく過程を見るのが好きだったことなど、共通する好きなことが見え、ものづくりの方向で活動しました。その結果、既往歴にも理解のある社長と出会い、未経験からエンジニアとして就職しています。
入社後に体調のことを相談できる相手がいるか、相談の窓口があるかを、面接や内定後に確かめます。体調に合わせて勤務を調整した例があるかを聞くと、働きやすさを考える手がかりになります。休職や時短勤務などの制度があるかは、就業規則や会社の説明で確かめます。配属先の上司に体調のことをどこまで共有するかも、入社前に会社と相談しておくと、働き始めてから説明し直す手間を減らせます。
例文は、自分の状態や配慮してほしい点に合わせて言葉を置き換えて使います。事実と違う内容や、実際より軽く見せる説明にならないように注意します。どちらの例文も、今働けることと配慮してほしい点を合わせて伝えています。
「持病があり、月に1回、平日に通院しています。主治医からは、通院を続けながら通常の勤務をしてよいと言われており、前職でも2年間、通院と両立しながら働いてきました。通院の日は事前にお伝えし、業務に支障が出ないよう、周りと調整したいと考えています。」
最初に通院の頻度を伝え、そのうえで今は働ける状態であることと、これまでの働き方を話しています。通院の予定を早めに伝える工夫を添えることで、配慮をお願いするだけの話になっていません。主治医の意見を伝える場合は、実際に言われた内容の範囲で話します。
「体調を保つために、夜間の勤務は避けたいと考えています。日中の勤務であれば問題なく働けており、生活のリズムを整えることも心がけています。前職でも日勤の仕事では休まずに勤務してきました。御社の事務職は日中の勤務と伺い、長く安定して働ける環境だと考えて応募いたしました。」
避けたい勤務を一つに絞って伝え、それ以外は問題なく働けることを示しています。応募先の勤務時間が自分の条件に合っていることを確かめたうえで、志望理由とつなげています。避けたい勤務がある場合は、応募する前に求人票で勤務時間を確かめておくと、面接で初めて条件が合わないと分かることを防げます。
令和5年若年者雇用実態調査では、初めて勤務した会社を辞めた理由で「健康上の理由」は9.4%
仕事や勤務への影響と、配慮してほしい点を書き出してから、伝えるかどうかを決める
伝えるときは、今の状態とできること、配慮してほしい点、自分の工夫の順に話す
休みの取りやすさ、勤務時間、相談できる相手を確かめて、体調に合う会社を選ぶ
まずは、通院や勤務について会社に配慮してほしい点があるかを書き出してみてください。
Q. 持病があることを伝えないまま入社してもいいですか。
伝えるかどうかは、仕事や勤務への影響の大きさによって考えます。配慮が必要な点がある場合は、入社後に働きにくくならないよう、どこかの段階で伝えることを考えます。伝える時期は、面接のほか、内定後や入社前の面談などもあります。一人で判断しにくい場合は、相談先の担当者に相談します。
Q. 面接で健康状態を聞かれたら、どう答えればいいですか。
聞かれたことに合わせて、今の仕事への影響を中心に答えます。影響がない場合は「現在は問題なく働けています」と短く答えます。答え方に迷わないよう、健康について聞かれたときの答えも、ほかの質問と同じように原稿にしておきます。
Q. 病名は伝えなければいけませんか。
病名をどこまで伝えるかは、自分で考えて決めます。病名よりも、仕事や勤務にどのような影響があり、何を配慮してほしいのかを伝えるほうが、会社も働き方を考えやすくなります。伝えるときは、自分が伝えてよいと思える範囲にとどめます。
Q. 持病があっても、転職エージェントに相談できますか。
相談先によって対応は違いますが、体調のことを伝えたうえで、働き方の条件に合う求人を一緒に探してもらえる場合があります。伝える範囲は自分で決め、配慮してほしい点を具体的に伝えておくと、求人を探すときの条件にしやすくなります。
Q. 体調が不安定な時期でも、転職活動をしていいですか。
体調が不安定な時期は、無理に活動を急がず、体調を整えることを優先します。働くことについて主治医にも相談し、体調が落ち着いてから、無理のないペースで活動を始めます。活動を始めた後も、面接の予定を詰め込みすぎないようにします。
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