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職歴に一貫性がないときは、職種や業界の違いを一つずつ説明しようとするより、それぞれの仕事で身につけたことに共通する強みを見つけ、応募先を選んだ理由とつなげて話すのが基本です。
いくつもの仕事を経験していると、面接で「なぜ仕事を変えてきたのか」「うちでは長く続くのか」と聞かれるのではないかと不安になることがあります。ただ、経験の中身を整理すると、仕事が変わっても共通している点が見えてきます。
この記事では、企業が中途採用で重視した点のデータと、経験をつなげる話し方と例文を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
職歴に一貫性がないと、これまでの経験が評価されないのではと考えてしまうことがあります。国の調査で、企業が中途採用の選考で何を重視しているのかを見ておきます。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、若年正社員の採用選考をした事業所のうち、選考で重視した点(複数回答)を見ると、「業務に役立つ職業経験・訓練経験」は、中途採用者で42.3%、新規学卒者で14.7%でした。中途採用では、新規学卒者に比べて職業経験が重視されていることが分かります。中途採用の面接に向けて、これまでの仕事で何をしてきたのかを伝える準備をしておきます。
一方で、中途採用者の選考で最も高かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」の72.7%で、「コミュニケーション能力」が66.9%、「マナー・社会常識」が58.1%と続きました。職業経験だけでなく、働く意欲や人とのやり取りも重視されていることが分かります。職歴の数や職種の違いを気にしすぎず、意欲とやり取りの力も伝えられるように準備します。
調査の項目からは、どのような経験が「業務に役立つ」とされたのかまでは分かりません。職種が違っていても、応募先の仕事で生かせる経験を具体的に示せれば、経験として伝えることができます。たとえば、接客で身につけた相手の要望を聞き取る力は、営業や事務の問い合わせ対応でも生かせる場面があります。職歴の並びがそろっているかより、経験の中身と、これからの意欲をどう伝えるかを考えます。
面接で話す前に、これまでの仕事を振り返り、経験を整理します。整理した内容は、面接の答えだけでなく、次の仕事を選ぶ基準にもなります。
MyStyle転職の支援事例では、飲食、不動産の営業、夜勤のある土木作業と、職を転々として自信をなくしていた24歳の方が、3社それぞれのよかったことと辛かったことを担当者と一緒に言葉にしました。その中で、人と話すのは好きだが強く押す営業は向いていない、夜勤もきついといった、自分に合う条件と合わない条件が見えてきました。自分で書き出すときも、仕事の内容だけでなく、そのときの気持ちや、なぜその仕事を選んだのかを合わせて書くと、自分の選び方の傾向が見えてきます。
書き出した内容を並べ、仕事が変わっても共通していたことを探します。先ほどの事例では、人当たりの良さを自分の強みとして言葉にしました。接客で身につけた相手の話を聞く力、営業で覚えた提案の仕方など、職種の名前ではなく、していたことの中身に目を向けると、共通点を見つけやすくなります。共通点は一つ見つかれば十分で、無理に全部の仕事をつなげる必要はありません。
これまで、なんとなくや友人の紹介で仕事を選んできた場合は、その事実を認めたうえで、今は何を軸に選んでいるのかを整理します。先ほどの事例でも、以前は決まった軸がなかったことを振り返り、得意なことや好きなこと、譲れない条件を言葉にしていきました。軸は一つに絞りきれなくても構いませんが、どれを一番大切にするかは決めておきます。
経験を整理したら、面接での話し方を決めます。職歴を一つずつ説明するより、共通する強みと今の軸を中心に話します。話す内容は、職歴、仕事を変えてきた理由、応募先を選んだ理由の3つに分けて準備します。
職歴を聞かれたら、会社名と担当した仕事を短く順番に伝え、そのあとに共通して身につけた強みを話します。一社ごとに辞めた理由まで詳しく話すと、話が長くなり、辞めた経緯ばかりが印象に残ることがあります。「飲食店で2年、不動産の営業で1年、建設現場で1年働きました」のように、期間と仕事を短く伝えてから強みを話します。
なぜ仕事を変えてきたのかを聞かれたら、当時は仕事を選ぶ軸が決まっていなかったことを正直に伝え、経験を振り返って今の軸が見えたことを話します。過去の選び方を認めたうえで、今は何を大切に選んでいるのかを伝えると、同じことを繰り返さないための考えを示せます。仕事を変えた理由を一つずつ弁解するように話すと、話が後ろ向きになりやすいため、共通する振り返りとしてまとめて伝えます。
最後に、共通する強みと今の軸が、応募先の仕事のどこに合うのかを伝えます。先ほどの事例では、人と話す力と、音楽が好きという気持ちを掛け合わせ、楽器の買取を行う営業の仕事で内定を得て、長く働いています。応募先の仕事内容は求人票や会社のホームページで確かめ、自分の強みが生かせる場面を一つ具体的に挙げられるようにしておきます。強みと軸の両方が応募先に合っていることを示せると、なぜこの会社なのかが伝わりやすくなります。
いくつもの仕事を経験している場合、長く働けるかを聞かれることがあります。責められていると受け取らず、長く働くための考えを伝える機会と考えて、落ち着いて答えられるよう準備しておきます。
長く続くかを聞かれたら、前の仕事を辞めた原因を振り返り、今回はその点を応募前にどう確かめたのかを話します。たとえば、夜勤が続かなかった経験から日中の勤務を選んだ、強く押す営業が合わなかった経験から、お客様からの問い合わせに対応する形の営業を選んだといった説明です。応募前にどのような点を確かめたかを具体的に話せるよう、求人票で見た項目や、面接で質問した内容をメモしておきます。応募先の選び方と入社後の行動の両方で工夫を話せると、説得力が増します。
入社後に身につけたいことや、数年後にどうなっていたいかを具体的に伝えます。先の予定を話せると、その会社で働き続けるつもりがあることが伝わりやすくなります。たとえば「3年後には担当のお客様を持ち、後輩に仕事を教えられるようになりたい」のように、期間と内容を合わせて伝えます。応募先の仕事内容を調べたうえで話すと、入社後の姿が具体的になります。
在籍期間が短い仕事がある場合も、職歴から省かず、事実として伝えます。短い期間でも、その仕事で気づいたことや、次の選び方に生かしたことを添えると、経験の一つとして話せます。在籍期間が短かった理由を話すときも、前の職場への不満ではなく、自分がどう考えて次を選んだのかを中心にします。
例文は、自分の職歴や応募先に合わせて置き換えて使います。事実と違う内容にならないように注意します。どちらの例文も、職種の違いを弁解するのではなく、共通する強みと今の軸を中心にしています。
「これまで、飲食店の接客、不動産の営業、建設現場の作業と、3つの仕事を経験してきました。業界はそれぞれ違いますが、どの仕事でもお客様や現場の方と話しながら仕事を進めてきました。その中で、相手の話をよく聞き、話しやすい雰囲気を作ることが自分の強みだと気づきました。」
職歴は短く並べ、そのあとに共通していた点と強みを伝えています。職種の違いを一つずつ説明するより、共通点を先に示すことで、経験がつながって聞こえます。職歴を並べるときは、応募先の仕事に近い経験を最後に話すと、そのまま強みの話につなげやすくなります。
「以前は仕事を選ぶ軸が決まっておらず、なんとなく職を決めていました。これまでの仕事を振り返り、人と話す仕事は好きな一方で、強く勧める営業は自分に合わないと分かりました。御社の営業はお問い合わせをいただいたお客様に対応する形で、相手の話を聞く強みを生かせると考え、応募いたしました。」
過去の選び方を正直に認め、振り返りで分かった自分の軸を示したうえで、応募先を選んだ理由につなげています。応募先の営業の進め方は、求人票や面接で確かめた内容を使います。「なんとなく職を決めていました」のように過去を認める言葉は、長く話しすぎず、一言にとどめます。
令和5年若年者雇用実態調査では、中途採用で「業務に役立つ職業経験・訓練経験」を重視した事業所は42.3%
仕事ごとのよかったことと辛かったことを書き出し、共通する強みを探す
職歴は短く伝え、共通する強みと今の軸を中心に話す
長く続くかを聞かれたら、同じことを繰り返さないための選び方と入社後の目標を伝える
まずは、これまでの仕事ごとに、よかったことと辛かったことを書き出してみてください。
Q. 転職回数が多いと、書類で落とされますか。
書類の結果は、転職回数だけで決まるとは限りません。職務経歴書では、仕事ごとの担当業務に加えて、共通して身につけた強みを冒頭にまとめておくと、経験のつながりが伝わりやすくなります。応募先の仕事に近い経験を先に書くのも一つの方法です。
Q. 職務経歴書は、どの形式で書けばいいですか。
時期の順に書く方法のほか、仕事の内容ごとにまとめて書く方法もあります。職種が大きく違う場合は、接客、営業など身につけた経験ごとにまとめると、共通する強みが伝わりやすくなることがあります。応募先から形式の指定がある場合は、それに従います。
Q. アルバイトの経験も、職歴として話していいですか。
正社員以外の経験でも、仕事の中で身につけたことがあれば、面接で経験として話せます。履歴書の職歴欄に書くかどうかは、応募先の指示や書式に合わせて決めます。面接では、雇用形態より、どのような仕事を担当し、何を身につけたのかを中心に伝えます。
Q. 一貫性がない職歴を、どう前向きに言えばいいですか。
無理に前向きな言葉に置き換えるより、実際に経験したことと、そこから分かったことを事実として伝えます。いろいろな仕事をしたからこそ、自分に合う働き方が分かったという流れで話すと、経験を次の選択に生かしていることが伝わります。
Q. 次の仕事も合わなかったらと不安です。
不安を減らすために、応募する前に、これまで合わなかった点が応募先にないかを確かめます。仕事内容や働き方について分からない点は、面接の逆質問で聞きます。入社後に困ったときに相談できる相手がいるかも、あわせて確かめておきます。
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