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家族の介護や看病のために、働く時間を減らしてアルバイトで暮らしてきた。その期間は、面接では事情を短く伝え、今は働ける状態であることを先に示すのが基本です。詳しい病名や家族の事情まで話す必要はありません。
総務省の令和4年就業構造基本調査では、ふだん家族の介護をしている30歳未満の人は20.5万人いました。若いうちに家族を支える側に回る人は、決して少なくありません。
この記事では、面接で話す範囲、「また休むことはありますか」への備え、介護が続く場合の仕事の選び方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
まず、同じ立場の人がどのくらいいるかを確かめます。
総務省の令和4年就業構造基本調査は、2022年10月に全国の約54万世帯を対象に行われました。ふだん家族の介護をしている人は全体で628.8万人、そのうち30歳未満は20.5万人でした。
30歳未満で介護をしている人のうち、仕事をしている人は13.1万人で、割合は63.6%です。介護をしながら働いている人が多数を占めています。
また、介護や看護のために過去1年間に前の仕事を辞めた人は、年齢を問わず10.6万人でした。家族の事情で働き方を変えることは、特別なことではありません。
この調査でいう介護は、入浴、着替え、トイレ、移動、食事などの際に何らかの手助けをすることです。要介護認定を受けていない家族や、離れて暮らす家族の介護も含まれます。
一方で、病気などで一時的に寝ている人の世話は含まれません。看病の期間が短かった方は、この数字の外にいる場合もあります。どちらであっても、面接での伝え方の基本は変わりません。
NG例(介護や看病の期間を聞かれたとき)
「家の事情で」とだけ言って黙ってしまう
家族の病状や介護の大変さを長く話す
OK例(介護や看病の期間を聞かれたとき)
誰の介護で、どのくらいの期間かを一言で伝える
今は働ける状態であることを続けて伝える
話しすぎても、話さなすぎても、面接官は判断に困ります。
伝えるのは三つです。一つ目は、誰の介護や看病で、どのくらいの期間だったかという事情です。二つ目は、今の状況です。介護が終わったのか、続いているのか、続いているならどんな体制かを伝えます。
三つ目は、これからの働き方です。フルタイムで働けるのか、月に何回か通院の付き添いがあるのかなど、応募先が知りたいのはここです。
家族の病名や、介護が必要になった経緯の細かい事情まで話す必要はありません。面接官が知りたいのは、入社後にどう働けるかです。
聞かれて答えにくいことがあれば、「家族の体調のことなので詳しくは控えさせてください。仕事への影響は、先ほどお伝えしたとおりです」と返して構いません。事情を隠すのではなく、話す範囲を自分で決めるということです。
介護の経歴を伝えると、この質問はかなりの確率で続きます。
家族が施設に入った、回復した、ほかの家族に引き継いだなど、介護が終わったか落ち着いた場合は、その事実を具体的に伝えます。「今は介護の必要がなくなり、フルタイムで働けます」と言い切れると、面接官の不安は解けます。
言い切れるだけの根拠を、自分の中で確認しておくことが大切です。
介護が続いている場合は、隠さずに、体制と頻度を具体的に伝えます。例えば、介護サービスを使っている、きょうだいと分担している、付き添いは月に2回程度、といった形です。
「急な対応がゼロとは言えないが、事前に相談して調整できる」と、起きたときの動き方まで話せると、面接官は働く姿を思い浮かべやすくなります。入社後に分かるより、選考の段階で伝えておいたほうが、お互いに無理のない形を探せます。
介護の期間も、仕事につながる経験があります。
病院の予約、介護事業所との連絡、家族内の分担の調整など、介護には段取りの仕事が多くあります。複数の相手と日程を合わせ、記録を残し、変更に対応してきたことは、事務や接客の仕事でも生きる経験です。
「通院や介護サービスの予定を、家族のカレンダーで管理していた」のように、実際にしていたことを一つ挙げると伝わりやすくなります。
介護をしながらアルバイトを続けていたなら、限られた時間の中で働く工夫をしてきたはずです。シフトの組み方を職場と相談していた、決まった時間に確実に出勤していた、といった事実は、そのまま働く姿勢の証明になります。
ただし、介護の大変さを強調しすぎると、面接官は「入社後も大変なのでは」と受け取ります。経験として淡々と伝えるのがコツです。
介護を続けながら正社員になるなら、応募する前の絞り込みが大切です。
自宅や家族の家から通いやすい勤務地か、転勤がないか、始業と終業の時刻が決まっているか、休みの曜日が固定かどうかを先に確かめます。
通院の付き添いが平日にあるなら、平日に休みがある仕事や、時間単位で休みを取れる会社のほうが両立しやすくなります。求人票で分からない点は、応募の前に確かめておきましょう。
育児・介護休業法は、要介護状態の家族を介護する労働者に、介護休業と介護休暇を認めています。介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。介護休暇は、1年度に5労働日(対象家族が2人以上なら10労働日)までです。
ただし、介護休業は、労使協定で、雇われた期間が1年に満たない労働者を対象外にできると定められています。入社1年目から使えるかは会社によって違うため、内定後に就業規則で確かめてください。
ここからは、実際に口に出せる形で見ていきます。
「祖母の介護のため、2年間はアルバイトの時間を調整しながら、通院の付き添いや身の回りの手助けをしていました。昨年、祖母が施設に入所し、今はフルタイムで働ける状況です。介護の中で病院や介護事業所との日程調整を続けてきた経験を、御社の事務の仕事で生かしたいと考えています。」
事情、今の状況、これからの働き方を順に伝え、経験を応募先の仕事につなげています。病名や介護の大変さには触れていません。
「現在も母の通院の付き添いがあり、月に2回ほど平日の午前中に対応しています。昨年から介護サービスを使い始め、兄とも分担できるようになったため、日中は安定して働けます。急な対応が必要な場合も、事前にご相談したうえで調整できる体制を整えています。」
頻度と体制を具体的に伝え、起きたときの動き方まで話しています。隠さずに伝えることで、入社後の無理を防げます。
介護をしている30歳未満は20.5万人で、そのうち63.6%が仕事をしている
面接では、事情、今の状況、これからの働き方の三つに絞って話す
病名や家族の詳しい事情は、話さなくていい
介護が続いているなら、体制と頻度を具体的に伝える
介護休業は労使協定で入社1年未満を対象外にできるため、就業規則で確かめる
まずは、今の介護の状況と、月に何回くらい対応が必要かを書き出してみてください。
Q. 介護の期間は履歴書に書いたほうがいいですか。
職歴欄はアルバイトの経歴を書き、介護のことは面接で聞かれたときに話す形で構いません。本人希望欄に「家族の介護のため通院付き添いあり(月2回程度)」のように、働き方への影響だけを書く方法もあります。
Q. 看病の期間が数か月だけでも、同じように話していいですか。
話して構いません。期間の長さに関わらず、事情、今の状況、これからの働き方の三つを短く伝えるのが基本です。
Q. 介護が続いていることを伝えると、不利になりませんか。
体制と頻度を具体的に伝えれば、面接官は働く姿を判断できます。入社後に分かるより、選考の段階で伝えたほうが、無理のない働き方を相談しやすくなります。
Q. 家族の病名を聞かれたら答える必要がありますか。
仕事への影響を伝えていれば、病名まで話す必要はありません。答えにくい場合は、詳しくは控えたいと丁寧に伝えて構いません。
Q. 入社してすぐ介護休業は取れますか。
介護休業は、労使協定で雇われた期間が1年に満たない労働者を対象外にできると定められています。会社によって違うため、就業規則で確かめてください。
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