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会社の方針についていけないと感じたら、合わないのが会社全体の方針なのか、上司や部署のやり方なのかを分け、今の会社で変えられるかを確かめてから、様子を見るか転職するかを決めるのが基本です。
方針が変わった直後は、やり方が変わる戸惑いから反発を感じることもあります。一方で、自分が大切にしたい働き方と会社の向かう方向が根本から違う場合は、我慢を続けてもつらさが残ります。
この記事では、合わない方針の見分け方と、様子を見る場合と転職する場合の判断基準を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
方針についていけないと感じる背景には、会社がこの先どこへ向かうのかへの不安が含まれていることがあります。国の調査で、会社の将来への不安を理由に転職した人がどのくらいいるかを見ておきます。
厚生労働省の令和2年転職者実態調査で、自己都合で前の会社を辞めた転職者の離職理由(3つまで回答)を見ると、「会社の将来に不安を感じたから」は23.3%でした。最も高い「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」の28.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」の26.0%、「賃金が低かったから」の23.8%に近い割合です。年齢別では、20~24歳が22.5%、25~29歳が25.4%でした。
同じ調査では、「能力・実績が正当に評価されないから」が15.3%、「人間関係がうまくいかなかったから」が23.0%でした。3つまで回答する形式のため、会社の将来への不安だけでなく、評価や仕事内容、人間関係への不満が重なって辞めていることもあります。調査の選択肢に会社の方針という項目はないため、方針についていけないという気持ちも、どの不満と結びついているかを分けて考えます。
この調査の数字は、実際に転職した人が前の会社を辞めた理由です。会社の将来に不安を感じながらも、辞めずに働き続けている人の考えは含まれていません。数字は、同じような理由で転職した人がどのくらいいるかを知る手がかりとして使い、自分が辞めるかどうかは、この後の手順で方針の中身を分けてから考えます。
一口に会社の方針といっても、会社全体が目指す方向から、上司や部署の仕事の進め方までさまざまです。どのレベルの方針が合わないかによって、今の会社でできることが変わります。合わないと感じている方針を一つずつ書き出し、次の3つのどれに当てはまるかを見ていきます。
会社が大切にする考え方や、力を入れる事業の方向が、自分の大切にしたいことと合わない場合です。たとえば、お客様とじっくり向き合う仕事がしたいのに、会社が新しいお客様の件数を増やす方向に大きく変わった場合などが当てはまります。会社全体の方針は、一人の社員の意見で変えることが難しいため、合わない状態が続くなら、転職を考える理由になります。ただし、方針の一部だけが合わない場合は、納得できる部分と納得できない部分を書き出してから判断します。
会社全体の方針には納得できても、上司の指示の出し方や、部署の決まりごとが合わないこともあります。この場合は、上司が替わったり、部署を異動したりすることで状況が変わる可能性があります。上司の指示の背景を聞いてみると、上司自身も上の立場からの指示を受けて動いていることが分かり、受け止め方が変わることもあります。
新しい方針が出た直後は、やり方が変わることへの戸惑いから、ついていけないと感じることがあります。数か月たって新しいやり方に慣れると、つらさが小さくなる場合もあります。方針が出てからどのくらいたったか、変わった内容のうち何が一番負担なのかを書き出し、慣れの問題なのか、考え方の違いなのかを分けます。
方針の中身を分けたら、様子を見るか転職するかを判断します。自分の大切にしたいことと根本から違うか、変えられる余地があるか、様子を見るならいつ見直すかの3つを順に確かめます。
MyStyle転職の支援事例では、人間関係や思っていた仕事内容との違いが重なり、転職を繰り返していた28歳の方が、自分史を作り、過去の出来事と当時の気持ちを振り返りました。それまでの仕事選びが、周りからどう見られるか、親が喜ぶかという他人の目を基準にしていたと気づき、自分の価値観を基準に探し直して転職しています。方針が合わないと感じるときも、自分が仕事で何を大切にしたいのかが分かっていないと、合わないのが根本的な違いなのかを判断しにくくなります。
上司や部署のやり方が理由なら、上司に困っている点を具体的に伝えたり、異動の希望を出したりして、変えられる余地があるかを確かめます。相談するときは、方針への不満をぶつけるのではなく、新しいやり方で困っている場面と、こうすれば進めやすいという案をあわせて伝えます。相談しても変わらない場合は、転職を考える材料になります。
様子を見ると決めた場合は、3か月後や半年後など、見直す時期を自分で決めておきます。その時期に、方針への戸惑いが小さくなったか、相談で状況が変わったかを振り返り、変わっていなければ転職の準備を始めます。期限を決めずに我慢を続けると、不満が積み重なり、仕事への意欲を保ちにくくなります。
転職する場合は、次の会社でも同じように方針が合わないことにならないよう、入社前に会社の方針を確かめます。入社前に分かることには限りがありますが、確かめる点を決めておくと、入社後の違いを減らせます。
会社の方針が自分に合うかを確かめるには、先に自分が仕事で大切にしたいことを言葉にしておきます。お客様と長く関わりたい、決められた手順を丁寧に進めたい、成果に応じて評価されたいなど、今の会社の方針に合わないと感じた場面の裏返しを書き出すと、見つけやすくなります。すべての希望を満たす会社を探すのではなく、譲れないことを2つか3つに絞ります。絞った内容は、面接の前に紙にまとめておきます。
会社のホームページの経営理念や社長のメッセージ、採用ページの社員インタビューを読むと、会社が大切にしている考え方の手がかりになります。面接では、最近力を入れている取り組みや、方針が変わったときに社員にどのように伝えているかを聞きます。転職エージェントを使っている場合は、担当者に会社の雰囲気や方針について知っていることを聞く方法もあります。
会社が何を大切にしているかは、社員をどのように評価しているかにも表れます。面接で、評価の基準や、評価が決まるまでの流れを聞いておくと、会社の方針と日々の仕事がどうつながっているかが見えてきます。件数や売上だけで評価されるのか、仕事の進め方やチームへの貢献も見られるのかを確かめます。評価の基準が今の会社と同じ考え方なら、入社後に同じ不満を感じないかもあわせて考えます。
面接で方針が合わないことを転職理由にするときは、前の会社の方針を批判するのではなく、自分が大切にしたいことと、応募先でそれをどう実現したいかを伝えます。
「前職では、お客様一人ひとりと長くお付き合いする営業を担当していました。会社が新規のお客様の件数を増やす方針に変わる中で、既存のお客様との関係を深める仕事にやりがいを感じていたことに改めて気づきました。御社のお客様と長く関わる営業のもとで、前職で築いた関係づくりの経験を生かしたいと考えています。」
方針が変わったことを事実として短く伝え、そこで気づいた自分の大切にしたいことを、応募先を選んだ理由につなげています。前の会社の方針が間違っていたという言い方を避けると、方針が変わるたびに辞める人ではないかという心配を持たれにくくなります。
「前職では、担当ごとに仕事を分けて進める中で、ほかの担当の状況が見えにくく、お客様への対応が遅れる場面がありました。上司に相談して情報を共有する場を提案しましたが、部署の決まりもあり、大きくは変えられませんでした。御社の情報を共有しながらチームで進める環境で、お客様への対応の早さにつなげたいと考えています。」
合わなかったやり方を具体的な場面で伝え、自分から相談や提案をしたことも話しています。行動したうえでの転職であることが伝わると、不満だけで辞めた印象になりにくくなります。相談や提案の内容は、応募先でも同じように動けることを示す材料にもなります。
会社の将来への不安は、自己都合で辞めた転職者の23.3%があげた理由の一つ
合わないのが会社全体の方針か、上司や部署のやり方かを分ける
根本から違うか、変えられる余地があるかを確かめ、様子を見るなら期限を決める
転職するなら、大切にしたいことを言葉にして、次の会社の方針を確かめる
まずは、ついていけないと感じた方針を書き出し、会社全体の方針か、上司や部署のやり方かに分けてみてください。
Q. 会社の方針についていけないのは、自分のわがままですか。
方針に戸惑うことを、わがままと決めつける必要はありません。大切なのは、何が合わないのかを具体的にすることです。慣れの問題なのか、自分が大切にしたいことと違うのかを分けると、わがままかどうかではなく、今の会社で続けられるかどうかで考えられます。
Q. 会社の方針が合わないことを、同僚に相談してもいいですか。
同じ部署の同僚に話すと、ほかの人が方針をどう受け止めているかを知る手がかりになります。ただし、不満を言い合うだけになると、気持ちが整理されないまま不満が大きくなることがあります。社外の人に話すと、会社の事情にとらわれずに考えを整理しやすくなります。
Q. 経営者が替わって方針が変わりました。すぐに辞めたほうがいいですか。
経営者が替わった直後は、方針が具体的になるまで時間がかかることがあります。新しい方針で自分の仕事がどう変わるのかが分かるまでは、情報を集めながら、転職の準備を並行して進める方法もあります。準備をしておくと、辞めると決めたときに慌てずに動けます。
Q. 方針が合わない会社でも、経験を積むために続けたほうがいいですか。
今の会社で身につけたい経験がはっきりしている場合は、それを身につけることを目標に続ける選択もあります。たとえば、担当している仕事の一通りの流れを覚えるまで、というように区切りを決めます。続ける目的が見つからない場合は、転職を考える材料にします。
Q. 今の会社で、方針の説明を求めるにはどうすればいいですか。
朝礼や会議で方針の説明があった場合は、その後の面談や一対一で話せる場で、方針によって自分の仕事がどう変わるのかを上司に質問します。方針の目的や背景が分かると、納得できる部分と納得できない部分を分けやすくなります。
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