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結婚前に転職すべきか迷ったら、今の職場で出産後も働き続けられるかと、育児休業などの制度を使える時期から逆算して判断するのが基本です。
転職した直後は、会社の労使協定によって育児休業の対象から外れる場合や、育児休業給付金の要件を満たさない場合があります。一方で、今の職場が出産後に働き続けにくい環境なら、早めに移るほうが、制度を使うための準備期間を確保しやすくなります。
この記事では、結婚前後の転職のタイミングの考え方と、出産後も長く働ける職場の見分け方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
出産後も働き続けられるかは、職場の環境や雇用形態によって大きく変わります。国の調査で、出産前後に仕事を続けている人の割合を確かめます。世の中の傾向を知っておくと、自分の職場の状況と比べやすくなります。
国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査では、第1子の妊娠が分かったときに働いていた妻のうち、子どもが1歳のときも働いていた人の割合(就業継続率)は、第1子が2010〜14年生まれでは57.7%、2015〜19年生まれでは69.5%でした。この就業継続率は、第1子の妊娠が分かったときに働いていた人の中での割合です。
出産後も仕事を続ける人は増えています。ただし、この割合は働き方によって大きく違うため、自分がどのような雇用形態で、どのような職場で働いているかを踏まえて考える必要があります。
同じ調査で、2015〜19年に第1子が生まれた妻の就業継続率を従業上の地位別に見ると、正規の職員では83.4%でしたが、パート・派遣などの非正規雇用では40.3%でした。非正規雇用でも2010〜14年の27.9%からは上がっていますが、正規の職員との差は依然として大きいままです。
出産後も長く働きたいと考えているなら、結婚前後の転職では、雇用形態と職場の制度の両方を確かめておくことが大切です。今の働き方が非正規雇用なら、正社員として働ける職場に移ることも選択肢に入れて考えます。出産後にどのくらいの期間、どのような働き方で続けたいかを想像しながら数字を見ると、転職先に求める条件が具体的になります。
結婚前と結婚後、どちらで転職するのがよいかは、今の職場で出産後も働き続けられるかによって変わります。結婚の時期だけを基準にするのではなく、自分が出産後にどう働きたいかと、今の職場の実態を並べて考えます。
今の職場で、育児休業を取って復帰した人がいるか、子育て中の人が時短勤務などを使いながら働いているかを確かめます。実際に制度を使って働いている人がいる職場なら、結婚前に急いで転職する必要はありません。制度があるかどうかだけでなく、実際に使った人が職場にいるかを見ることが大切です。
反対に、長時間の残業や夜勤が当たり前で、子育てをしながら働いている人が見当たらない職場なら、出産後に働き続けるのは難しくなりやすいです。この場合は、結婚前に、長く働ける職場へ移ることを考えます。判断に迷うときは、職場で子育てをしながら働いている先輩に、働き方の工夫や大変なことを聞いてみると、実態が見えやすくなります。
結婚前に転職する利点は、新しい職場に慣れる時間を確保しやすいことです。結婚や引っ越しの準備と重ならない時期に入社できれば、仕事を覚えることに集中できます。
また、結婚後に住む場所が決まっているなら、通勤しやすい勤務地を選べます。今の職場の働き方では出産後に続けにくいと分かっていて、転職の準備に使える時間があるなら、結婚前に動くほうが選択肢を広く持てます。入社してから制度を使えるようになるまでの期間も、あわせて考えておきます。結婚後に転職する場合は、住む場所が決まってから勤務地を選べる一方で、新しい生活に慣れる時期と転職活動が重なる点に注意します。
転職した後すぐに妊娠が分かった場合でも、使える制度と、使えない可能性がある制度があります。入社の時期を決める前に、次の点を確かめます。制度の扱いは会社や本人の状況によって違うため、自分の場合にどうなるかを具体的に確かめることが大切です。
育児・介護休業法では、事業主が労働者の過半数で組織する労働組合などと書面で協定を結んだ場合、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者を、育児休業の対象から除くことができると定めています。
つまり、入社して1年未満だと、会社によっては育児休業を取れない場合があります。自分の会社がこの協定を結んでいるかは、就業規則を見るか、人事の担当者に確認します。内定の段階で、入社1年未満の人の育児休業の扱いを聞いておくと安心です。協定で対象外と定められていなければ、事業主は育児休業の申出を拒むことができないとされています。
雇用保険の育児休業給付金は、雇用保険法で、育児休業を始めた日の前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上あることが支給の要件と定められています。
転職した場合に、前の職場で雇用保険に入っていた期間がどのように数えられるかは、状況によって違います。転職の間に働いていない期間がある人は、要件を満たすかをハローワークで確認しておきます。給付金を受け取れるかどうかで、育児休業中の生活の見通しは大きく変わります。転職の時期を決めるときは、入社から育児休業を始めるまでにどのくらいの期間があるかを、この要件と照らし合わせて考えます。
出産後も長く働ける職場かどうかは、制度があるかだけでなく、実際に使われているかで判断します。制度が整っていても使いにくい雰囲気の職場もあるため、数字と実態の両方で確かめます。
厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査では、調査期間中に在職中に出産した女性のうち、育児休業を始めた人(申出をしている人を含む)の割合は86.6%、配偶者が出産した男性では40.5%でした。有期契約で働く人では、女性73.2%、男性33.2%でした。
全体としては制度の利用が進んでいますが、会社ごとの実績は求人票だけでは分からないことがあります。面接や内定後の面談で、育児休業を取った人の人数や、復帰して働いている人がいるかを聞きます。復帰した後にどのくらい働き続けているかも聞けると、長く働ける職場かどうかを判断しやすくなります。
出産後に働き続けるには、育児休業が終わった後の働き方も大切です。時短勤務を使っている人がいるか、残業がどのくらいあるか、急な休みに周りが対応できる体制かを確かめます。急な休みへの対応は、「子どもの急な用事で休む人が出たとき、仕事をどのように分担していますか」と聞くと、職場の雰囲気が分かります。
MyStyle転職の支援事例では、夜勤のある不規則なシフトに限界を感じていた28歳の方が、条件を我慢するのではなく、何がつらくて何なら耐えられるのかを先に言葉にしたことで、土日祝休みの営業職という選択肢が広がりました。出産後の生活を想像して、譲れない働き方の条件を先に決めておくと、応募先を選びやすくなります。
面接で結婚や出産の予定を話すかどうかは、自分で決めて構いません。話の中心は、長く働きたい理由と、応募先の環境を選んだ理由に置きます。
「前職ではやりがいを感じていましたが、長時間の残業が続き、この先の働き方を考えたときに長く続けるのは難しいと感じました。御社は、育児休業から復帰して活躍している社員の方が多いと伺い、ライフステージが変わっても経験を積み重ねられる環境だと考えています。これまでの接客経験を生かし、長く貢献したいです。」
前職を否定せず、長く働くために環境を選んだことを伝えています。応募先の制度や実績を具体的に挙げると、会社のことを調べたうえでの応募だと伝わります。「長く貢献したい」という言葉に、これまでの経験を添えることで、条件だけで選んだ印象を避けられます。
「入社後に長く働くイメージを持ちたいので、一つ質問させてください。こちらの部署で、育児休業を取得して復帰された方はいらっしゃいますか。また、復帰後に時短勤務などを使いながら働いている方がいれば、どのような働き方をされているのか教えていただけるとうれしいです。」
「長く働くイメージを持ちたい」という目的を先に伝えると、制度についての質問も前向きに受け取ってもらいやすくなります。面接で聞きにくい場合は、内定後の面談で聞いても構いません。答えがあいまいなときは、実際に制度を使った人の人数など、具体的な事実を聞くと判断しやすくなります。
今の職場で出産後も働き続けられるかを、制度を使っている人がいるかで確かめる
入社1年未満の育休の扱いと育児休業給付金の要件を、入社の時期を決める前に確かめる
育休の取得実績、復帰した人、時短勤務や残業の実態を面接や内定後に聞く
出産後の生活を想像して、譲れない働き方の条件を先に決める
まずは、今の職場で育児休業を取って復帰した人がいるかを確かめるところから始めてみてください。
Q. 入社してすぐに妊娠が分かったら、産前産後休業は取れますか。
労働基準法では、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求したときは就業させてはならず、産後8週間を経過しない女性も原則として就業させてはならないと定めています。勤続期間の条件は定められていないため、入社したばかりでも請求できます。
Q. 転職先の制度は、入社前にどこで確かめられますか。
求人票の福利厚生の欄に、育児休業や時短勤務の制度が書かれていることがあります。会社のホームページで取得実績を紹介している場合もあるため、あわせて確認します。書かれていない点は、内定後に就業規則の内容や実際の運用を、人事の担当者に聞いて確かめます。
Q. 年収が下がっても、長く働ける職場を選ぶべきですか。
どちらを優先するかは、出産後の生活をどう送りたいかで決まります。今の年収と、出産後に時短勤務などで働いた場合の収入を比べ、生活に必要な額を下回らないかを確かめます。そのうえで、年収が少し下がっても続けられる職場のほうが、長い目で見て収入を得やすいかを考えます。
Q. 結婚の予定が決まっていなくても、制度で転職先を選んでいいですか。
予定が決まっていなくても、育児休業や時短勤務が実際に使われている職場かどうかは、長く働けるかを判断する材料になります。制度の使いやすさは、誰かが休んだときの仕事の分担の仕方にも表れるため、急な休みへの対応もあわせて確かめ、ほかの条件と並べて優先順位をつけます。
Q. 今の会社で育休を取ってから転職するのはどうですか。
今の会社で育児休業を取って復帰し、その後に転職する方法もあります。勤続期間の条件を満たしやすい一方で、子育てをしながら転職活動を進めることになるため、応募や面接の時間をどう確保するかが課題になります。復帰後にどのような働き方をしたいかを考えて、転職の時期を決めます。
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