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既卒で正社員か派遣かを迷ったら、「正社員の経歴をつけること」と「無理なく続けられること」を分けて考え、両方を満たせる入口を探すのが基本です。
就職活動がうまくいかない期間が続くと、早く決めなければという焦りが強くなります。ただ、焦って決めた仕事を短期間で辞めると、次の就職活動がさらに難しくなります。最初の一社は、応募できる枠と続けられる条件を確かめてから選ぶことが大切です。
この記事では、既卒が正社員か派遣かを決める判断基準と、面接での伝え方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
既卒の就職活動では、応募できる枠が一つではありません。どの枠に応募できるのかを知っておくと、正社員の選択肢が思っていたより広いことに気づけます。
厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針」は、学校卒業見込みの人を対象にした採用枠について、既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることを事業主に求めています。義務ではなく努めるよう求める内容のため、すべての企業が受け付けているわけではありません。
それでも、新卒向けの求人の応募資格に「既卒可」「卒業後3年以内の方も応募可」と書かれていることがあります。新卒枠で入社すると、同期と一緒に研修を受けられる会社が多く、社会人経験がない人でも仕事を基礎から覚えやすいのが利点です。求人の応募資格の欄を必ず確認します。
新卒枠とは別に、中途採用の求人にも「未経験可」「第二新卒・既卒歓迎」と書かれたものがあります。中途採用は入社の時期が決まっておらず、内定が出れば数か月以内に働き始められることが多いのが特徴です。
新卒枠は入社が翌年の春になる場合があるため、それまでの期間をどう過ごすかも考えておく必要があります。一方で中途採用は早く働き始められる反面、研修が新卒ほど整っていないこともあります。どちらにも応募しながら、入社の時期と教育の体制を比べて決めるのが現実的です。応募する前に、新卒枠と中途採用のどちらの求人に応募しているのかを自分で整理しておくと、面接での受け答えも迷いにくくなります。
応募できる枠が分かったら、正社員と派遣のどちらを選ぶかを考えます。判断の基準は、経歴として残るもの、続けられる負担かどうか、焦りで決めていないかの3つです。
正社員として働いた期間は、その後の転職で職務経験として評価されやすくなります。既卒の期間が長くなるほど、「なぜ正社員として働いてこなかったのか」を面接で聞かれやすくなるため、早めに正社員の経歴をつけておく価値はあります。
賃金にも差があります。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、20〜24歳の賃金(男女計)は、正社員・正職員が247.5千円、派遣社員や契約社員などを含む正社員・正職員以外が203.5千円でした。月4万円以上の差は、1年間で見ると大きな違いになります。ただし、この数字は職種や会社の規模の違いを含む平均で、同じ正社員でも会社によって差があります。
一方で、正社員であっても、体力的・精神的に続けられない仕事を選べば、短い期間で辞めることになりかねません。接客の経験を生かせる仕事でも、立ち仕事の長さ、シフトの組み方、夜勤の有無によって負担は大きく変わります。
MyStyle転職の支援事例では、夜勤のある不規則なシフトに限界を感じていた28歳の方が、今の仕事の何がつらくて何なら耐えられるのかを一つずつ切り分けてから求人を選び、土日祝休みの営業職に転職しました。応募の前に、自分が耐えられない条件を書き出しておくと、正社員か派遣かを決める基準がはっきりします。
既卒の期間が延びると、「どこでもいいから早く決めたい」という気持ちが強くなります。焦りを否定する必要はありませんが、焦ったまま決めると同じことを繰り返しやすくなります。
支援事例に、入社前に聞いていた話と実際の業務や教育体制に大きな差があり、入社から半年で退職した22歳の方がいます。次の会社選びでは、条件より先に「入社後にどう育ててもらえるか」を確認する軸を作り、研修体制の整った事務職に転職しました。
早く決めたい気持ちが強いと、仕事内容や教育の体制を確かめる手間を省きがちです。その結果、入社してから「思っていた仕事と違う」と感じて辞め、また焦って次を探すという悪循環になります。応募の前に、仕事内容と教育体制の2点だけは必ず確かめます。
焦りを小さくするには、就職活動の期限と見直しの時期を先に決めておくことが効果的です。「3か月は正社員に絞って応募し、それで決まらなければ応募する職種を広げる」のように決めておけば、毎日の不安に振り回されにくくなります。
就職活動に専念するためにアルバイトを辞めると、収入がなくなり、かえって焦りが強くなることもあります。アルバイトや派遣で働きながら活動すれば、生活のリズムを保ったまま、落ち着いて応募先を選べます。働いている期間は、面接で空白期間として扱われにくいという利点もあります。
NG例(既卒で就職先を決めるとき)
「どこでもいいから早く決めたい」と、仕事内容を確かめずに応募する
焦りからアルバイトを辞めて、収入がない状態で活動を続ける
OK例(既卒で就職先を決めるとき)
耐えられない条件と、確かめる2点(仕事内容・教育体制)を決めてから応募する
応募する期限と、見直す時期を先に決めておく
正社員か派遣かで迷うとき、実際には「経験を生かせるが負担が大きそうな正社員」と「負担は少ないが経歴として残りにくい派遣」のように、条件がぶつかっていることがよくあります。ケースごとに考え方を整理します。
アルバイトで接客を続けてきたなら、ホテルや販売などの接客の正社員は、経験が評価されやすい選択肢です。仕事の流れを知っているぶん、入社後に慣れるまでの負担も小さくなります。
選ぶ前に、勤務の形を必ず確かめます。同じ接客の仕事でも、夜勤があるか、シフトは月ごとに決まるのか、連休は取れるのかによって、体への負担は大きく変わります。求人票で分からない点は面接で質問し、自分が決めた耐えられない条件に当てはまらないかを確認してから応募を決めます。
心身の負担を優先して派遣から始めるなら、目的と期限を決めておくことが前提です。「半年で事務の仕事に慣れ、その後に事務職の正社員に応募する」のように決めておけば、派遣の期間が次のステップの準備になります。派遣期間の後に直接雇用を前提にした紹介予定派遣を選ぶ方法もあります。
事務職の正社員は、最初から応募しても可能性がある選択肢です。支援事例では、接客を長く続けてパソコンに自信がなく事務職を諦めていた26歳の方が、担当者と一緒にExcelの基本操作を練習し、土日祝休みの事務職の正社員に転職しました。派遣を選ぶ前に、正社員として応募できないかを一度確かめる価値はあります。
既卒の面接では、卒業後に就職しなかった期間と、今回その働き方を選んだ理由を聞かれやすくなります。事実を短く伝え、その期間に考えたことを今の志望につなげます。
「大学卒業後の1年間は、接客のアルバイトを続けながら就職活動をしていましたが、応募先を絞りきれずに内定には至りませんでした。その後の3か月で、接客で自分が得意だったことを振り返り、お客さまの要望を聞いて提案する仕事に絞りました。今は正社員として長く経験を積みたいと考えています。」
就職できなかった事実を隠さずに伝え、その期間に何を考えて方向を決めたのかを話しています。空白期間を反省だけで終わらせず、方向を定めた期間として説明しているのがポイントです。期間の長さに関わらず、何を考えてどう行動したかを具体的に話すことが大切です。
「派遣で働く選択肢も考えましたが、同じ職場で責任のある仕事を任されながら経験を積みたいと考え、正社員を選びました。アルバイトでは新人スタッフに接客の手順を教えることもあり、長く働くほど任される仕事が広がることにやりがいを感じていました。御社でも一つずつ仕事を覚えていきたいです。」
派遣と比べたうえで正社員を選んだことを伝え、その理由をアルバイトでの経験と結びつけています。比べて選んだことが伝わると、考えたうえでの応募だと受け取ってもらえます。派遣を否定する言い方は避け、自分が大事にしたい働き方との違いで説明すると、面接官に悪い印象を与えずに済みます。
新卒向け求人の応募資格で「既卒可」「卒業後3年以内」を確認する
自分が耐えられない条件を書き出してから、正社員か派遣かを決める
応募の前に、仕事内容と教育体制の2点を必ず確かめる
就職活動の期限と見直しの時期を決め、働きながら活動する
まずは、気になっている正社員と派遣の求人を1件ずつ選び、耐えられない条件に当てはまらないかを比べてみてください。
Q. 既卒の履歴書は、学歴と職歴をどう書けばいいですか。
学歴欄には卒業した年月まで書き、職歴欄には卒業後に続けたアルバイトを、勤務先と期間、担当した仕事とともに書きます。アルバイトの経験がない期間は、面接で聞かれたときにその期間にしていたことを説明できるよう準備しておきます。
Q. 新卒枠と中途枠の両方に応募してもいいですか。
別々の会社であれば、新卒枠と中途枠の両方に応募して構いません。同じ会社に応募する場合は、どちらの枠で応募すべきかを採用ページや問い合わせで確認します。入社の時期が枠によって違うことがあるため、時期もあわせて比べておきます。
Q. 卒業後3年を過ぎたら、新卒枠には応募できませんか。
指針が求めているのは「少なくとも3年間」なので、3年を過ぎても新卒枠で受け付けている企業はあります。応募資格の欄に年齢や卒業年の条件が書かれているかを確認します。あわせて、中途採用の未経験可の求人も探すと、選択肢を狭めずに済みます。
Q. 紹介予定派遣は既卒でも使えますか。
使えます。派遣会社に登録し、紹介予定派遣の求人に応募する形になります。派遣期間の後、本人と派遣先の双方が合意すれば直接雇用に切り替わる仕組みなので、実際に働いてから入社を決めたい既卒の人に向いています。雇用形態が正社員かどうかは事前に確認します。
Q. 既卒の期間が長いと、正社員は難しいですか。
期間が長いほど、その間に何をしていたかを聞かれやすくなりますが、それだけで不採用が決まるわけではありません。アルバイトで続けてきたことや、方向を決めるまでに考えたことを具体的に話せるように準備すれば、評価してもらえる可能性は十分にあります。
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