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20代の中途採用で、学歴が合否を大きく左右する場面は思っているより限られています。企業が中途採用で重視しているのは、学歴よりも働く意欲や人との関わり方だからです。
一方で、「大卒以上」という応募条件や賃金には、はっきりした差があります。差が出る場面と出にくい場面を分けて知っておくと、学歴への不安を具体的な行動に変えられます。
この記事では、学歴が不利になる場面と対策、今から大学に行くべきかの考え方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
学歴が気になると、どの会社でも学歴で判断されているように感じてしまいます。まずは、企業が若い人の中途採用で実際に何を見ているのかを、国の調査で確かめます。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、若年正社員の中途採用の選考で重視した点(複数回答)を多い順に並べると、次のようになります。
重視した点 | 事業所の割合 |
|---|---|
職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神 | 72.7% |
コミュニケーション能力 | 66.9% |
マナー・社会常識 | 58.1% |
組織への適応性 | 51.8% |
業務に役立つ職業経験・訓練経験 | 42.3% |
業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力) | 34.8% |
体力・ストレス耐性 | 31.4% |
学歴・経歴 | 23.1% |
学歴・経歴を重視した事業所は23.1%で、働く意欲やコミュニケーション能力と比べると、ずっと少ない割合です。
同じ調査で新規学卒者の採用と比べると、学歴・経歴を重視した割合は新卒22.4%、中途23.1%とほぼ同じでした。大きく違うのは「業務に役立つ職業経験・訓練経験」で、新卒の14.7%に対し、中途では42.3%に上がります。
つまり中途採用では、学歴の比重はそのままに、働いてきた経験が見られる割合が高くなるということです。高卒で早くから働いてきた人にとって、経験の年数や任されてきた仕事は、学歴の差を補う材料になります。面接では、働いた年数と任された仕事を具体的に伝える準備をしておきます。
とはいえ、学歴の差がまったく出ないわけではありません。差が出やすいのは、応募の入口と賃金の2つの場面です。
求人票の応募資格に「大卒以上」と書かれている場合、高卒では応募できないことがほとんどです。こうした条件は、総合職の求人などで見られることがあります。どれほど経験や意欲があっても、書類の段階で対象外になってしまうのが、学歴が最もはっきり影響する場面です。
一方で、「学歴不問」「高卒以上」と書かれた求人も数多くあります。応募資格の欄を最初に確認し、応募できる求人に時間を使うことが大切です。気になる会社があれば、同じ会社の中に学歴を問わない職種の求人がないかも探してみます。同じ会社でも、職種によって応募資格が違うことは珍しくありません。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、学歴別の賃金(男女計)は次のとおりでした。
年齢 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
20〜24歳 | 225.2千円 | 263.9千円 |
25〜29歳 | 251.7千円 | 296.4千円 |
40〜44歳 | 309.0千円 | 425.3千円 |
50〜54歳 | 335.1千円 | 494.9千円 |
20代前半では月4万円ほどの差ですが、50代前半では16万円ほどに広がります。ただし、これは働く業種や会社の規模の違いも含んだ平均です。同じ学歴の中でも、選ぶ職種や会社によって賃金には大きな幅があります。平均の差だけを見て悲観するより、自分が選べる職種と会社の中で、どこまで賃金を上げていけるかを考えるほうが現実的です。
学歴そのものは変えられませんが、応募先の選び方と、これから積む経験は変えられます。差を縮めるために、今からできることを整理します。
学歴を問わない求人の中から、経験や成果が評価に結びつきやすい職種を選ぶと、学歴の差が給与に表れにくくなります。たとえば営業職は、成果が数字で見えるため、学歴より実績で評価されやすい職種の一つです。製造や施工管理のように、現場の経験と資格が評価につながる職種もあります。
応募先を選ぶときは、入社後の昇給や昇格が何によって決まるのかを確認します。評価の基準が実績や資格に置かれている会社なら、学歴にかかわらず、働きながら収入を上げていく道を描きやすくなります。面接で「昇格の基準は何ですか」「資格を取ると手当はつきますか」と聞くと、評価の仕組みが見えてきます。
先ほどの調査で、業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力)を重視した事業所は34.8%で、学歴・経歴の23.1%を上回っていました。仕事に直結する資格を取ることは、学歴の代わりに自分の力を示す分かりやすい方法です。
資格は、応募したい職種が決まってから、その職種の求人で歓迎されているものを選びます。そのうえで、今の職場や次の職場で3年ほど実務経験を積むと、次の転職では経験者として応募できる求人が増え、学歴よりも経験で見られる場面が多くなります。資格の勉強を始めたことは取得前でも面接で伝えられるため、動き出すのは早いほど役に立ちます。
学歴の差が気になって、今から大学に行くことを考える人もいます。進学は大きな選択なので、目的と費用、時間の3つから判断します。
大学に行くべきかどうかは、「大学を出ないと就けない仕事に就きたいか」で大きく変わります。応募条件で大卒以上が必須の職種を目指しているなら、進学は目標に近づくための手段になります。
反対に、学歴コンプレックスを解消したいことが一番の理由なら、進学の前に一度立ち止まります。4年間の学費に加えて、その間に働いていれば得られた収入と経験も失うことになるからです。コンプレックスの正体が「給料の差」なのか「職場で肩身が狭いこと」なのかを分けて、進学以外の方法で解消できないかを考えます。
仕事を辞めずに学ぶ方法として、通信制の大学や夜間の課程があります。働きながら学位を取れば、収入と経験を保ったまま学歴を変えられますが、仕事と勉強を何年も両立する覚悟が必要です。
仕事を辞めて大学に入る場合は、卒業するときの年齢も考えておきます。20歳で入学すれば卒業は24歳前後になり、そこから新卒として就職活動をすることになります。今働いている会社での経験を途中で止めることになるため、進学で得られるものと手放すものを書き出してから決めます。
NG例(学歴が気になっているとき)
「高卒だから無理だ」と、応募資格を見ずに応募を諦める
目的を決めないまま、コンプレックスだけを理由に大学受験を始める
OK例(学歴が気になっているとき)
応募資格の欄を確認し、学歴不問・高卒以上の求人から探す
大卒が必要な仕事に就きたいのかを確かめてから、進学を検討する
面接では、学歴に触れられることがあっても、引け目を感じて小さくなる必要はありません。働いてきた経験を中心に、前向きに話す例文を紹介します。どちらも、自分の経験に合わせて職種や年数を入れ替えて使ってください。
「高校を卒業してから4年間、食品工場で製造と品質チェックを担当してきました。入社2年目からは新人の指導も任され、作業手順を写真付きのマニュアルにまとめて、教える時間を短くする工夫をしました。早くから現場で経験を積んだことを強みに、御社の生産管理の仕事に挑戦したいと考えています。」
働いた年数、任された役割、自分で工夫したことを具体的に話しています。学歴に触れずに、経験の厚みで評価してもらう形です。数字や具体的な行動を入れると、話の説得力が増します。応募先の仕事と関係のある経験を一つ選び、そこを中心に話すと、限られた時間でも強みが伝わります。
「高校時代から早く働いて自分で収入を得たいと考え、進学せずに就職しました。働く中で、段取りを考えて作業を早く正確に進めることが得意だと分かり、今は現場の経験を生かして仕事の幅を広げたいと考えています。足りない知識は、資格の勉強などで補っていくつもりです。」
進学しなかった理由を正直に短く伝え、働く中で分かった強みにつなげています。最後に知識を補う姿勢を添えることで、学歴の差を自分で埋めていく意思が伝わります。進学しなかったことを後悔している様子を見せるより、その選択の中で得たものを話すほうが、面接官の印象に残ります。
求人の応募資格を最初に確認し、学歴不問・高卒以上の求人に時間を使う
昇給や昇格が実績や資格で決まる会社を選ぶ
応募したい職種で歓迎される資格を取り、3年ほど実務経験を積む
大学に行くなら、大卒が必要な仕事に就きたいのかを先に確かめる
まずは気になる求人を5件選び、応募資格の欄に何と書かれているかを確かめてみてください。
Q. 学歴不問と書かれた求人に、高卒で応募すると不利になりますか。
学歴不問の求人は、学歴を応募の条件にしていないので、高卒であることを理由に書類で対象外になることはありません。大卒の応募者と同じ選考を受ける場合もありますが、働いてきた年数や任された役割を具体的に伝えれば、十分に比べてもらえます。
Q. 高卒で大企業に転職できますか。
大企業の中にも、学歴を問わない職種や、高卒以上を応募条件にした中途採用の求人があります。総合職などでは大卒以上を条件にした求人もありますが、現場の職種や地域を限定した職種では学歴を問わない求人も見つかります。企業名だけでなく、職種ごとに応募資格を確認します。
Q. 専門学校卒や短大卒は、高卒と比べて賃金に差がありますか。
令和7年賃金構造基本統計調査の学歴別の賃金(男女計)は、高校297.2千円、専門学校313.7千円、高専・短大321.2千円、大学396.3千円でした。平均で見ると専門学校卒や短大卒は高卒より高くなっていますが、職種や会社による違いのほうが大きい場合もあります。
Q. 大学を中退した場合、履歴書の学歴はどう書きますか。
最終学歴は高校卒業になります。履歴書の学歴欄には、大学に入学した年月と、中途退学した年月を書きます。退学した理由を面接で聞かれることがあるので、事実を短く伝えたうえで、その後に働いてきた経験につなげて話せるように準備しておきます。
Q. 学歴コンプレックスがあって、面接で自信を持てません。
学歴は変えられませんが、面接で話す内容は準備で変えられます。働いてきた年数、任された役割、自分で工夫したことを数字を入れて書き出し、声に出して練習しておくと、話すたびに自信がつきます。学歴の話題を自分から持ち出す必要はありません。
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