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人間関係はいいけど転職したいと感じたら、職場の人の良さと、休日や通勤などの働く条件を分けて考え、条件の負担が今の会社で変えられるかを確かめてから判断するのが基本です。
職場の人に恵まれていると、辞めることに申し訳なさを感じたり、次の職場で同じ関係を築けるか不安になったりします。ただ、休日の少なさや長い通勤は毎日の生活に関わるため、我慢を続けると負担が積み重なることもあります。
この記事では、人間関係がいい職場から転職するかの判断基準と、条件を理由にした転職の伝え方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
人間関係がいいのに辞めたいと感じるのは、わがままではありません。国の調査で、働く条件を理由に仕事を辞めた人がどのくらいいるかを確かめます。数字を知っておくと、自分の悩みを落ち着いて見直せます。
厚生労働省の令和2年転職者実態調査で、自己都合で前の勤め先を辞めた転職者の離職理由(3つまで回答)を見ると、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が28.2%で最も高く、「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.0%、「賃金が低かったから」が23.8%と続きます。男女別に見ると、男性は「満足のいく仕事内容でなかったから」が28.4%、女性は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が28.1%で、それぞれ最も高くなっています。
賃金以外の労働条件には、休日や労働時間なども含まれます。働く条件は、転職を考える理由として珍しいものではありません。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、初めて勤務した会社を辞めた若年労働者の理由(3つまで回答)を見ると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%で最も高く、「人間関係がよくなかった」の26.4%を上回っています。勤続期間が1年~2年未満で辞めた人でも、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が29.1%で最も高くなっています。
働く条件は、人間関係と同じくらい、仕事を続けるかどうかに関わる理由になっています。人間関係がいい職場でも、条件の負担を理由に転職を考えることは、自然な判断の一つです。
人間関係の良さは、辞めない理由として大きなものです。そのうえで、次の3つの点から転職するかを判断します。
休日や勤務時間、通勤の負担が、部署の異動や勤務地の変更、シフトの調整などで変えられる可能性があるかを確かめます。人間関係がいい職場なら、上司に相談しやすいこともあります。相談するときは、「休日を増やしてほしい」だけでなく、「月に何日休めると、どのように働けるか」まで具体的に伝えると、会社も検討しやすくなります。
相談しても変えられない場合や、会社全体の決まりで変えにくい場合は、転職で解決する方法を考えます。相談した結果は、後で転職するかを決めるときの材料になります。
MyStyle転職の支援事例では、製造業で夜勤のある不規則なシフトに限界を感じていた28歳の方が、面談で今の仕事の何がつらくて何なら耐えられるのかを一つずつ切り分けました。すると、夜勤の負担そのものより、この働き方がいつまで続くのか分からない先の見えなさが一番つらかったことが分かりました。
負担が一時的なものか、この先も続くものかを見通せるかどうかは、転職を考えるうえで大きな判断材料になります。
今の職場の人間関係の良さは、転職すると手放すことになります。次の職場でも同じような関係を築けるかは、入社してみないと分からない部分があります。
そのため、人間関係の良さと、休日や通勤の条件のどちらをより大切にしたいかを、自分で順番をつけておきます。条件を優先すると決めた場合は、次の職場の人間関係に何を求めるかも書き出しておきます。
転職するかを判断するときは、「なんとなくつらい」ではなく、負担を数字で書き出すと、次の職場と比べやすくなります。数字にしておくと、求人票の条件と同じ物差しで比べられます。
今の会社の年間休日の日数、出勤時刻と退勤時刻、残業時間を書き出します。朝早い出勤がつらい場合は、起きる時刻から帰宅する時刻までを書くと、一日のうち仕事に使っている時間が見えてきます。残業時間が月によって違う場合は、忙しい月と落ち着いた月の両方を書きます。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営法人が対象)では、令和6年1年間の年間休日総数の1企業平均は112.4日、労働者1人平均は116.6日でした。年間休日が120~129日の企業は37.3%、100~109日の企業は27.9%です。また、「完全週休2日制」を採用している企業の割合は65.5%でした。今の会社の年間休日と比べる目安にします。
片道の通勤時間を往復にし、1か月の出勤日数をかけると、1か月に通勤に使っている時間が分かります。たとえば片道1時間半で月20日出勤なら、1か月で60時間になります。この時間を休息や自分のための時間に使えるとしたら、生活がどう変わるかを考えます。睡眠や家事、資格の勉強などにどれだけ回せるかを書き出すと、負担の大きさを具体的につかめます。あわせて、片道何分までなら負担にならないかという上限を決めておくと、求人を探すときの条件にできます。
転職しても、次の職場で同じ負担が続いては解決になりません。今の悩みが解決する職場かどうかは、入社前に確かめられることが多くあります。求人票と面接で、条件を具体的に確かめます。
求人票では、「年間休日」の日数を確かめます。年間休日に夏季休暇や年末年始の休暇が含まれているかも確かめると、実際に休める日数を比べやすくなります。就労条件総合調査でも、月3回や隔週、月1回などの週休2日制を「完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない制度」として分けているように、「週休2日制」と書かれていても毎週2日休めるとは限りません。勤務時間は、始業時刻が決まっているか、シフト制で早番や遅番があるかを見ます。
勤務地が複数ある会社では、配属先によって通勤時間が変わります。面接で、最初の配属先がどこになるか、転勤や異動で勤務地が変わる可能性があるかを聞きます。入社後に通勤時間が延びると、今の悩みが解決しません。面接の日に、通勤する時間帯に合わせて自宅から勤務地まで移動してみると、混雑や乗り換えの負担も分かります。通勤手当の上限も、求人票の給与欄や面接で確かめておきます。
条件を優先して転職しても、次の職場の人間関係が気になる方もいます。面接の待ち時間や職場見学のときに、社員同士のあいさつや声のかけ方を見ておくと、雰囲気を知る手がかりになります。面接で「配属先は何人くらいのチームですか」「どのような年齢層の方が働いていますか」と聞くのも方法です。
休日や通勤を理由にした転職は、伝え方によっては「条件だけで選んでいる」と受け取られることがあります。前の職場への感謝を伝えたうえで、条件を整えて仕事にどう取り組みたいかまで話します。休日や通勤の条件は応募先を選んだ理由の一つとして話し、仕事内容に興味を持った理由とあわせて伝えます。
「前職では、職場の皆さんに恵まれ、仕事を丁寧に教えていただきました。一方で、休日が月に6日ほどと少なく、仕事に必要な知識を学ぶ時間を取ることが難しい状況でした。今後は、休日に学んだことを仕事に生かしながら、長く腰を据えて働きたいと考え、年間休日が安定している御社を志望しました。」
前の職場の人を悪く言わず、感謝を伝えてから理由を話すと、人間関係に問題があって辞めたのではないことが伝わります。休日を「休みたいから」ではなく、「学ぶ時間を取りたい」という前向きな理由と結びつけています。
「前職の職場は人間関係もよく、やりがいを感じていましたが、片道2時間近い通勤が続き、朝6時前に家を出る生活でした。通勤の負担を減らし、その分の時間と体力を仕事に向けたいと考えています。御社では、前職で身につけた接客の経験を生かし、長く働きながら任される仕事を広げていきたいです。」
通勤の負担を具体的な数字で伝え、減らした時間を仕事に向けたいと話しています。応募先で生かしたい経験まで話すと、条件だけで選んだのではないことが伝わります。引っ越しではなく転職を選んだ理由を聞かれることもあるため、答えを用意しておきます。
人間関係の良さと、休日や通勤の条件を分けて考える
条件の負担が今の会社で変えられるか、いつまで続くかを確かめる
年間休日や通勤時間を数字で書き出し、次の職場と比べる
面接では前の職場への感謝を伝え、条件を整えて何に取り組みたいかを話す
まずは、今の1か月の出勤日数、出勤と帰宅の時刻、通勤時間を書き出してみてください。
Q. 人間関係がいい職場を辞めて、後悔しませんか。
後悔するかどうかは、辞める前に何を確かめたかで変わります。今の会社で条件を変えられないかを相談し、次の職場の条件と雰囲気を確かめたうえで決めれば、「確かめずに辞めた」という後悔は避けやすくなります。辞めた後も、前の職場の人と連絡を取り合う方もいます。
Q. 退職を伝えて引き止められたら、どう答えればいいですか。
感謝を伝えたうえで、辞める理由が条件の負担であり、職場の人に不満があるわけではないことを伝えます。条件を変える提案があれば、それで負担が解決するかを考えます。気持ちが変わらない場合は、退職の時期と引き継ぎの進め方を相談します。
Q. 引っ越して通勤時間を短くするのと、転職するのとどちらがいいですか。
引っ越しで通勤時間が短くなり、休日や勤務時間に問題がないなら、転職せずに解決できる場合があります。家賃や引っ越しの費用と、転職で変わる給与や休日を比べて考えます。朝早い出勤や休日の少なさが悩みの中心なら、引っ越しだけでは解決しないこともあります。
Q. 在宅勤務ができる仕事なら、通勤の悩みは解決しますか。
在宅勤務の求人でも、週に何日出社するかは会社によって違います。求人票に「在宅勤務可」とあっても、入社後しばらくは出社が必要な場合もあるため、面接で出社の頻度と、在宅勤務を始められる時期を確かめます。出社する日の通勤時間も含めて、負担が減るかを考えます。
Q. 休日が多い会社は、給料が低くなりますか。
休日が多いと給料が低いとは限りません。年間休日と月給は会社ごとに決まるため、同じ職種の求人を並べて、年間休日、月給、賞与の有無をまとめて比べます。休日が増えて月給が少し下がる場合は、自分にとってどちらを優先するかを決めてから応募します。
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