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取った資格だけで仕事を決める必要はありません。資格は「その資格を使う仕事があるか」と「その仕事が自分に合うか」を確かめる材料として使うのが基本です。
危険物取扱者の乙種第4類(乙4)や消防設備士のように、使う場面がはっきりしている資格は、職種の候補を絞る手がかりになります。一方で、とりあえず取った資格なら、適性から考え直したほうが長く続けやすくなります。
この記事では、資格を仕事選びに使う手順と面接での伝え方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
中途採用では、資格は評価の材料の一つにとどまります。採用する側が何を重視しているのかを先に知っておくと、手元の資格をどう生かせばよいかが見えてきます。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、若年正社員の中途採用で重視した点(複数回答)は、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」が72.7%で最も多く、「コミュニケーション能力」が66.9%、「マナー・社会常識」が58.1%と続いていました。「業務に役立つ職業経験・訓練経験」は42.3%、資格や免許、語学力を含む「業務に役立つ専門知識や技能」は34.8%でした。
採用する側がまず見ているのは、働く意欲や人との関わり方だということです。資格を持っていることは、それ自体よりも「この仕事をしたい理由」や「勉強を続けた姿勢」と結びついたときに、はじめて評価につながります。資格欄を埋めることより、資格を取った経緯を自分の言葉で説明できるように準備しておくほうが、選考では役に立ちます。
資格が評価に直結しやすいのは、その資格がないとできない業務がある仕事です。危険物を扱う作業や、消防用設備の点検がこれにあたります。求人票の応募条件や歓迎条件に資格名が書かれていることがあり、持っていれば入社後すぐに任せられる業務が増えます。
一方で、事務や営業のように資格と業務の関係が薄い仕事では、資格名だけを伝えても評価は大きく変わりません。取った資格が、資格そのものを使う仕事に向いているのか、勉強した経験として伝える仕事に向いているのかを、先に分けておくことが大切です。求人票の応募条件に資格名が出てくるかどうかを見れば、どちらに当たるかはおおよそ判断できます。
資格を生かす仕事が見つかっても、その仕事が自分に合うとは限りません。どちらを優先するかは、資格を取った理由によって変わります。
設備や安全の仕事に興味があって資格を取ったのなら、資格を生かせる仕事から探すのが自然です。勉強の中で面白いと感じた内容があれば、それが志望動機の土台になります。
反対に、「就職に有利そうだから」ととりあえず取った資格なら、資格は候補の一つにとどめます。資格に合わせて仕事を決めても、仕事内容に興味が持てなければ続けるのは難しくなります。
適性を考えるときは、これまでの仕事で楽しかった場面を一つずつ書き出します。MyStyle転職の支援事例では、お酒の配達のアルバイトをしていた23歳の方が、配達先の飲食店の店長と雑談を重ねて仲良くなるのが楽しかったことに気づき、配送と営業を兼ねる正社員の仕事に就いて年収が200万円上がりました。本人は当たり前にしていたことが、人と関係を築く強みだったのです。
資格を生かす仕事の中身が、自分の楽しかった場面と重なるかを照らし合わせます。重なる部分があれば資格を優先し、重ならなければ適性に合う職種を先に探すと、選んだ後に迷いにくくなります。
NG例(資格を理由に仕事を決めるとき)
「資格を持っているので、この仕事にしました」とだけ話す
使い道を調べずに、資格の数を増やし続ける
OK例(資格を理由に仕事を決めるとき)
「資格の勉強で設備の仕組みに興味を持ち、点検の仕事を選びました」と理由まで話す
応募したい職種を決めてから、必要な資格を足していく
資格を生かす方向に決めたら、応募する前に求人の中身を確かめます。確認するのは、応募条件、入社後の仕事内容、資格を増やすための支援の3つです。条件が合っていても仕事内容が想像と違えば続かないため、応募前の確認は省かないようにします。
求人票では、資格が「必須」なのか「歓迎」なのかを確認します。必須なら持っていることがそのまま強みになり、歓迎なら資格がない応募者と比べて有利になる程度です。応募条件の欄は「必須」「歓迎」「尚可」などの言葉で分かれているので、資格がどの言葉の後に書かれているかに注目します。資格手当の有無や金額が給与欄に書かれている求人もあります。
あわせて、実務経験を求めているかどうかも見ておきます。資格があっても「実務経験3年以上」などの条件がある求人は、未経験では応募が難しくなります。「未経験可」と書かれた求人の中から、資格が歓迎条件になっているものを探すと効率的です。
同じ資格を使う仕事でも、会社によって任される業務の範囲は違います。面接では、入社後の最初の数か月にどの業務から担当するのか、資格を使う作業がどのくらいあるのかを聞いておきます。「資格を使う作業は、入社後どのくらいの時期から担当しますか」のように、時期を入れて聞くと答えが具体的になります。
また、上位の資格や別の類の資格を取るための費用補助や、勉強時間への配慮があるかも確認します。設備の仕事は、扱える設備が増えるほど任される仕事の幅も広がるため、入社後に資格を増やしやすい環境かどうかは、長く働くうえでの判断材料になります。
資格は、資格名を並べるより、取った理由と勉強を通して得たものを話すと伝わります。中途採用では働く意欲が重視されるため、資格を取った行動を意欲の証拠として話すのが効果的です。応募先が資格を生かす仕事かどうかで、話し方を変えます。
「アルバイトを続けながら、危険物取扱者の乙種第4類と消防設備士の資格を取りました。建物の安全を支える仕事に関心があり、勉強の中で設備の仕組みを知るのが面白いと感じたからです。御社の設備管理の仕事では、点検の基本から身につけ、扱える設備を少しずつ増やしていきたいと考えています。」
資格を取った理由、勉強で感じた興味、入社後にやりたいことの順に話しています。資格名だけで終わらせず、仕事への関心と結びつけているのがポイントです。設備管理や点検のように、応募先の仕事の名前を具体的に入れると、仕事内容を調べたうえで応募していることも伝わります。
「消防設備士などの資格は、アルバイトと両立しながら試験日から逆算して勉強し、取得しました。資格そのものより、決めた期限までに計画を立てて続けられたことが自分の強みだと考えています。御社の営業職は未経験ですが、商品知識を覚えるときにもこの続ける力を生かしたいです。」
資格の内容ではなく、勉強を続けた姿勢を強みとして伝えています。資格と応募先の仕事が離れていても、話し方次第で評価の材料になります。勉強した期間や、一日に勉強した時間を数字で添えると、続けた力がより具体的に伝わります。
取った資格ごとに、取った理由と使える仕事を書き出す
資格を使う仕事と、バイトで楽しかった場面の両方に当てはまる職種を選ぶ
求人票で必須か歓迎か、実務経験の条件、資格手当を確認する
面接では資格名より、取った理由と勉強を続けた力を話す
まずは手元の資格を並べて、それぞれ何のために取ったのかを一行ずつ書いてみてください。
Q. 資格は履歴書にどう書けばいいですか。
取得した年月と、「危険物取扱者乙種第4類」「消防設備士乙種第6類」のように種類と類まで正確に書きます。類を省くと、どの危険物や設備を扱えるのかが伝わりません。勉強中の資格は、受験予定の時期を添えて書く方法もあります。
Q. 今の資格とは別の資格を取るべきですか。
応募したい職種が決まる前に資格を増やすと、方向が決まらないまま時間が過ぎやすくなります。先に職種を決め、その職種の求人で必須や歓迎とされている資格を調べてから取るほうが、勉強した時間をそのまま選考で生かせます。
Q. 普通免許は仕事選びに役立ちますか。
設備の点検や営業のように、車で現場や取引先を回る仕事では、普通免許が応募条件になっている求人があります。AT限定でよいかどうかも求人ごとに違うため、求人票の応募条件を確認してください。運転する機会の多さも面接で聞いておくと安心です。
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