試用期間で本採用されないことはある? 法律上の扱いと備え方を解説

最終更新:

2026/9/9 07:58

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試用期間中であっても、会社が自由に打ち切れるわけではありません。法律上は解雇として扱われ、合理的な理由がなければ無効とされます。

さらに、14日を超えて働いている場合は、30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いが必要になります。この日数の区切りは、知られていません。

この記事では、法律上の扱い、実際に問題になるケース、そして入社前に確かめておくことを、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。

試用期間中でも自由に切れるわけではない

まず、法律上の位置づけを確かめます。

本採用されないことは解雇に当たる

労働基準法第21条は、解雇予告の規定を適用しない対象の一つとして「試の使用期間中の者」を挙げています。逆にいえば、試用期間中の打ち切りを、法律は解雇として扱っているということです。

試用期間だから別ルール、ということはありません。手続きの一部が異なるだけで、解雇の枠組みの中にあります。

労働契約法16条が定めるもの

その解雇について、労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。

つまり、なんとなく合わない、印象が悪いといった理由だけでは通りません。会社側にも、説明できる理由が求められます。

NG例(試用期間のとらえ方)

  • いつでも切られる期間だと思い込む

  • 不安から質問を控えてしまう

OK例(試用期間のとらえ方)

  • 解雇のルールが適用されると知っておく

  • 分からないことをその日のうちに聞く

14日と30日で手続きが変わる仕組み

日数によって、会社がやるべきことが変わります。

14日を超えると予告が必要

労働基準法第21条の但書きは、試の使用期間中の者が「十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合」については、適用除外としないと定めています。

つまり、14日以内であれば予告なしでも可能ですが、14日を超えて働いた後は、通常の解雇と同じ手続きが必要になります。ここが一つ目の区切りです。

30日前の予告か手当の支払い

その通常の手続きが、労働基準法第20条です。「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定めています。

つまり、14日を超えて働いている場合、明日から来なくてよいと言われたなら、30日分以上の平均賃金が支払われるはずです。この点を知っておくだけで、万が一のときの手元のお金が変わります。

実際に本採用されないのはどんな場合か

法律上の話とは別に、実際に問題になる場面を見ておきます。

経歴に事実と違うことがあった

一番重いのがここです。履歴書に書いた在籍期間や資格が事実と違っていた場合、採用の前提が崩れます。

能力不足よりも、申告の内容が違っていたことのほうが問題になります。面接で伝えずにいたことがあれば、入社前に伝え直すほうが安全です。

勤怠が安定しない

次に大きいのが遅刻と欠勤です。未経験での採用では、仕事のできは最初から期待されていません。見られているのは、毎日来られるかという点です。

体調不良なら早めに連絡すれば問題になりにくくなります。連絡なしの欠勤が重なることが、最も避けたい形です。

指示された業務ができない

三つ目は、教わったことが定着しないケースです。ただしここは、一度でできないことが問題になるのではありません。

問題になるのは、同じことを何度も聞き直すことです。メモを取っているかどうかで、見られ方が大きく変わります。

試用期間を無事に過ぎるための3つの行動

やることは多くありません。

遅刻と欠勤を出さない

最も効くのがこれです。未経験採用では、技能よりも継続できるかが見られます。

入社直後は生活リズムが変わり、体がついてこないことがあります。最初の1か月は予定を入れすぎないことで、ここは守りやすくなります。

分からないことを溜めない

聞きにくいからと後回しにすると、後から大きなミスになります。その日のうちに聞くのが一番安全です。

聞くこと自体は、マイナスにはなりません。未経験で入っている以上、聞かないほうが不自然です。

教わったことを記録する

メモを取っていると、同じ質問を繰り返さずに済みます。それ以上に、取ろうとしている姿勢が伝わります。

手元にノートがあるだけで、見られ方は変わります。初日からやっておきたいことです。

入社前に確かめておく試用期間の条件

入社を決める前に、見ておくべき点があります。

期間と条件の違いを確かめる

試用期間の長さは、会社ごとに違います。労働条件通知書や求人票に記載があるため、書面で確認できます。

合わせて、試用期間中と本採用後で条件が違うかを見ます。違うのであれば、どこがどう違うのかを確かめておきましょう。

給与が下がる場合がある

試用期間中の給与が、本採用後より低く設定されている場合があります。求人票に提示された額が、本採用後の額であることもあります。

入社直後の生活費に直接影響する部分です。最初の数か月の手取りを把握してから入社を決めましょう。

面談や入社前に確認するときの例文

ここからは、実際に口に出せる形で見ていきます。いずれも30秒前後で話せる長さです。

入社前に条件を確かめる例文

「入社にあたって確認させてください。試用期間は何か月でしょうか。また、試用期間中と本採用後で給与や条件に違いがある場合は、合わせて教えていただけますでしょうか。」

聞くことで不利にはなりません。条件の確認は、入社前にすることが前提になっています。

面談で評価を聞く例文

「入社から1か月が経ちました。現時点で、優先して直したほうがよい点があれば教えていただけますでしょうか。残りの期間で埋めていきたいと考えております。」

自分から聞くことで、問題があったときに早く分かります。黙っていて最後に告げられるのが、一番手の打ちようがありません。

まとめ

  • 試用期間中の打ち切りも、法律上は解雇として扱われる

  • 労働契約法16条により、合理的な理由がなければ無効とされる

  • 14日を超えて働いた後は、解雇予告の規定が適用される

  • 30日前の予告がなければ、30日分以上の平均賃金が必要

  • 試用期間中の給与が低い場合があるので、入社前に確かめる

不安で手が止まっているのであれば、まず労働条件通知書を見て、試用期間の長さと条件を確かめてみましょう。

よくある質問

Q. 試用期間中はいつでも辞めさせられますか。

試用期間中の打ち切りも法律上は解雇として扱われ、労働契約法16条の制限を受けます。合理的な理由を欠く場合は無効とされます。

Q. 14日という日数は何の区切りですか。

労働基準法21条により、試の使用期間中の者が14日を超えて引き続き使用された場合は、解雇予告の規定が適用されます。

Q. 明日から来なくてよいと言われたらどうなりますか。

14日を超えて働いている場合は、30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いが必要とされています。

Q. 未経験だと仕事ができないと切られますか。

未経験採用では、最初からできることは期待されていません。問題になりやすいのは、連絡なしの欠勤が重なることのほうです。

Q. 試用期間中は給与が低いのですか。

低く設定されている場合があります。労働条件通知書で、試用期間中と本採用後の違いを確かめましょう。