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就職するなら地元か都会かで迷ったら、賃金の高さだけで比べず、物価や通勤、やりたい仕事の求人があるかを並べたうえで、自分が大切にしたい条件で決めるのが基本です。
都会は賃金の水準が高い一方で、生活費も高くなります。地元は家族や友人が近くにいる安心感がありますが、希望する仕事の求人が少ない場合もあります。どちらが正解かは人によって違うため、比べる項目を先に決めておくことが大切です。
この記事では、地元と都会の賃金と物価の差、働く場所の判断基準と面接での伝え方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
地元か都会かを考えるとき、最初に気になるのが給料と生活費の違いです。国の調査で、地域による差を確かめます。数字で比べておくと、「都会のほうが稼げる」「地元のほうが暮らしやすい」といった印象だけで決めずに済みます。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で、都道府県別の賃金(男女計)を見ると、全国計の340.6千円を上回ったのは、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の4都府県でした。最も高い東京都は418.3千円で、全国計より約8万円高くなっています。
つまり、ほかの道府県では、賃金は全国計を下回っています。ただし、この数字はさまざまな年齢や職種の平均なので、20代の賃金や、自分が目指す職種の賃金とは違う点に注意します。求人を比べるときは、同じ職種で月給の下限と賞与の有無を並べて見ると、地域による違いが分かりやすくなります。
総務省の小売物価統計調査(構造編)で、2024年の消費者物価地域差指数(全国平均を100とした物価水準)を見ると、最も高いのは東京都の104.0、最も低いのは群馬県の96.2で、その差は1.08倍でした。この「総合」の指数には、持ち家に住む場合の家賃に当たる分は含まれていません。
東京都の賃金は全国計より2割以上高い一方で、物価の差は1割に満たない水準です。ただ、実際に借りる部屋の家賃や通勤にかかる費用は、住む場所によって変わります。候補の地域で、家賃の相場も調べておきます。賃金と物価の両方を並べて見ることで、地域ごとの暮らしの違いを数字でつかめます。
賃金と物価の差を知ったうえで、自分にとって何が大切かを基準に選びます。判断の基準は、やりたい仕事の求人、生活の条件、人との距離の3つです。
最初に確かめるのは、自分がやりたい仕事の求人が、その地域にどのくらいあるかです。求人サイトで勤務地を地元と都会のそれぞれに設定し、同じ職種で検索して、求人の数や仕事内容、給与を比べます。
やりたい仕事が都会にしかない場合は、都会で経験を積んでから地元に戻るという選び方もあります。反対に、地元にも同じ仕事の求人があるなら、生活の条件を優先して選びやすくなります。
次に、給料から家賃や通勤費、食費などを引いた後に、どのくらいお金が残るかを比べます。都会で家賃の高い部屋を借りる場合と、地元で家賃を抑えて暮らす場合とでは、手元に残る額の差が給料の差より小さくなることもあります。
通勤時間も大切な条件です。満員電車での長い通勤が負担になるのか、車での移動が苦にならないのかなど、自分の生活のしやすさも比べる項目に入れます。
家族や友人が近くにいることを大切にしたいかどうかも、人によって違います。困ったときに頼れる人が近くにいる安心感を優先するのか、新しい環境で一人で暮らしてみたいのかを、自分の気持ちで決めます。
周りから「地元に残ってほしい」「都会に出たほうがいい」と言われることもありますが、毎日働いて生活するのは自分です。周りの意見は参考にしつつ、最後は自分が大切にしたい条件で判断します。
どちらを選んでも、決め方によっては後悔につながります。後悔につながりやすい選び方を知っておくと、同じ選び方を避けられます。どちらを選ぶかより、何を確かめずに決めたかが後悔につながります。
求人の月給が地元より高いことだけを理由に都会を選ぶと、家賃や生活費が思ったより高く、手元に残るお金が地元とあまり変わらないことがあります。仕事に慣れないうちに生活の負担が重なると、働き続けるのがつらくなります。
都会を選ぶときは、月給だけでなく、家賃を払った後にいくら残るかまで計算してから決めます。住み始めるまでにかかる引っ越しの費用も、あわせて見積もっておきます。
反対に、やりたい仕事が都会にしかないのに、なんとなく地元に残ると、「本当は挑戦したかった」という気持ちが残り続けることがあります。
地元に残る場合は、やりたい仕事と地元で働くことのどちらを優先したのかを、自分で言葉にしておきます。理由がはっきりしていれば、迷ったときに選んだ理由に立ち返れます。地元に残ったあとで挑戦したい気持ちが強くなった場合は、経験を積んでから都会の求人に応募する道も残っています。
NG例(地元か都会かを決めるとき)
「都会のほうが給料が高いから」と、家賃や生活費を計算せずに決める
「なんとなく地元が楽そう」と、やりたい仕事の求人を調べずに決める
OK例(地元か都会かを決めるとき)
地元と都会で同じ職種の求人を検索し、仕事内容と給与を比べる
給料から家賃や通勤費を引いた、手元に残る額で比べる
20代で決める働く場所は、一生変えられないものではありません。今の結論を固定しすぎず、見直す時期も決めておくと、選ぶときの不安が小さくなります。働く場所は、仕事の経験を積んだり、生活の状況が変わったりすることで、見直すタイミングが訪れます。
都会で数年働いて経験を積み、その経験を持って地元の会社に転職するという選び方もあります。都会でしか経験できない仕事を身につけてから戻れば、地元の求人でも経験者として応募できる可能性があります。
戻る時期の目安を決めておくと、都会での仕事にも目的を持って取り組めます。その間に、地元の求人の状況も時々確かめておきます。戻るかどうかを決める時期を、たとえば入社から3年後などと先に決めておくと、迷い続けずに済みます。都会で身につけた経験は、地元の会社に応募するときの志望動機や自己PRの材料にもなります。
働く場所を長く固定したい場合は、転勤のない会社や、勤務地を限定して働ける求人を選ぶ方法があります。全国に拠点がある会社では、求人票に転勤の有無が書かれていることがあるため、勤務地の欄を確かめます。
MyStyle転職の支援事例では、今の仕事の何がつらくて何なら耐えられるのかを一つずつ切り分けたことで、自分に合う働き方の条件が見えた28歳の方がいます。働く場所についても、譲れない条件と調整できる条件を分けておくと、地元と都会のどちらを選んでも納得しやすくなります。転勤の有無が求人票に書かれていない場合もあるため、面接で勤務地が変わる可能性や範囲を聞いておきます。
面接では、なぜその地域で働きたいのかを聞かれることがあります。地域を選んだ理由を、仕事への意欲と結びつけて伝えます。その地域を選んだ理由に加えて、応募先の会社を選んだ理由も話せるように準備します。
「生まれ育った地域で、長く腰を据えて働きたいと考え、地元の会社を中心に応募しています。御社は地域のお客さまとの長い付き合いを大切にしていると伺い、これまでの接客の経験を生かしながら、顔の見える関係を築く仕事がしたいと考えました。地域の暮らしを支える一員として、長く経験を積みたいです。」
地元を選んだ理由を「長く働きたい」という意欲に結びつけ、応募先の特徴と自分の経験を重ねています。「実家から通えるから」だけを理由にすると、条件で選んだ印象になりやすいため、その会社で働きたい理由まで話すことが大切です。
「地元では同じ職種の求人が少なく、より多くのお客さまと関わりながら提案の経験を積みたいと考え、こちらで働くことを決めました。一人暮らしを始める準備も進めており、生活の面でも仕事に集中できる環境を整えています。御社で経験を重ね、将来は後輩に教えられる立場になりたいです。」
都会を選んだ理由を、やりたい仕事の経験を積むためと具体的に伝えています。生活の準備を進めていることを添えると、慣れない土地ですぐに辞めてしまうのではという心配を和らげられます。地元を離れる理由は、地元への不満ではなく、やりたい仕事に近づくための選択として話すと、前向きに受け取ってもらえます。
地元と都会で同じ職種の求人を検索し、仕事内容と給与を比べる
給料から家賃や通勤費を引いた、手元に残る額で比べる
家族や友人との距離を条件に入れるかを、自分の気持ちで決める
今の結論を固定せず、見直す時期や戻る道も考えておく
まずは、地元と都会のそれぞれで、やりたい職種の求人を5件ずつ探し、給与と家賃の相場を書き出してみてください。
Q. 地元と都会で迷ったまま、両方の求人に応募してもいいですか。
応募して構いません。面接で仕事の話を聞くと、それぞれの地域で働く姿を具体的に想像しやすくなります。ただし、面接で勤務地の希望を聞かれたときに答えがぶれないよう、どちらを優先するかの考えは整理しておきます。遠方の会社の面接は、オンラインで受けられるかも確認します。
Q. 都会に出るとき、引っ越しにかかるお金はどう考えればいいですか。
敷金や礼金、家具や家電の購入、引っ越し業者の費用など、住み始めるまでにまとまったお金がかかります。候補の地域で部屋を探し、実際の見積もりを取って金額を確かめます。入社してから最初の給料日までの生活費も含めて、準備しておくお金を計算します。
Q. 地元に戻るなら、何歳までに戻るのがいいですか。
決まった年齢はありません。戻る時期は、地元で就きたい仕事の求人で、どのくらいの経験が求められているかから考えます。求人の応募資格に「経験3年以上」などと書かれていれば、それを目安に都会で経験を積む期間を決めると、戻ったときに応募できる求人が増えます。
Q. 地方の求人は少ないのではないかと不安です。
地域や職種によって求人の状況は違います。まずは求人サイトで地元を勤務地に設定し、希望する職種の求人を実際に検索して確かめます。ハローワークで地域の求人の状況を聞くこともできます。求人が少ない職種でも、近い職種まで広げると選択肢が見つかる場合があります。
Q. 地元で就職すると、キャリアの選択肢は狭まりますか。
職種によっては、都会に比べて求人の数や種類が少ない場合があります。ただ、地元の会社で長く働き、任される仕事の幅を広げていく道もあります。自分が目指す仕事の求人が地元にどのくらいあるかを確かめ、足りない場合は、近隣の都市まで通勤できる範囲を広げて考えます。
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