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転職の希望職種がわからないときは、知っている仕事の中から無理に選ぶのではなく、過去の経験から得意なことや好きなことを言葉にし、それを生かせる職種を知らない仕事まで広げて探すのが基本です。
希望職種が決まらないのは、やりたいことがないからではなく、仕事の種類をまだ十分に知らないことが原因になっている場合もあります。職種の名前から考えるのをやめ、仕事の中身から探すと、候補は見つかりやすくなります。
この記事では、希望職種がわからなくなる原因と、知らない仕事を候補に入れる探し方を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
希望職種がわからない状態には、主に2つの原因があります。どちらが当てはまるかによって、次にやることが変わります。両方が重なっている場合もあるため、1つずつ確かめます。
普段の生活で目にする仕事は、販売や飲食、事務など、ごく一部です。企業同士で取引をする仕事や、工場や倉庫の中で行われる仕事は、働いたことがなければ内容を想像しにくく、そもそも候補に入りません。
知っている仕事が少ないまま「どれがやりたいか」を考えると、どれも決め手に欠けて見えます。この場合は、自分に合う仕事を考える前に、仕事の種類を知ることから始めます。仕事の種類を知るだけでも、「こんな仕事があるなら興味がある」と感じる候補が見つかり、希望職種を考える手がかりになります。
もう1つの原因は、自分が何を得意とし、どんな場面で楽しさを感じるのかが言葉になっていないことです。仕事の種類を知っても、自分の軸がないと、どれを選べばいいのか判断できません。得意なことや好きなことが言葉になると、知らない仕事を見つけたときにも、自分に合うかどうかを判断できるようになります。
MyStyle転職の支援事例に、飲食、不動産営業、夜勤のある土木作業員と職を転々とし、自信をなくしていた24歳の方がいます。仕事を選ぶ軸がなく、なんとなくや友達の紹介で決めてきましたが、3社のよかったことと辛かったことを一緒に言葉にしたことで、次に選ぶ仕事の条件が見えてきました。この段階では、職種名を決めることより、自分が何を大切にしたいのかを言葉にすることを優先します。
自分の軸を言葉にするには、これまでの仕事やアルバイトを振り返り、職種の名前ではなく「何をしていたときに手応えがあったか」を書き出します。職種名から考えると、知っている仕事の範囲から出られないためです。
これまでの仕事を一つずつ取り上げ、よかったことと辛かったことを、具体的な場面とあわせて書き出します。「お客さんと雑談するのが楽しかった」「数字のノルマに追われるのがつらかった」のように、感じたことをそのまま書きます。書き出した内容の中で、何度も出てくる言葉や場面があれば、それが希望職種を探すときの手がかりになります。
支援事例の24歳の方は、書き出していくうちに、人と話すのは好きでも強引な営業は向いていないこと、夜勤はきついこと、趣味の音楽に関わる仕事に興味があることが見えてきました。そこから、人と話せて音楽にも関われる楽器の買取営業職を知り、内定を得ています。
仕事の経験だけでは手がかりが少ない場合は、子どもの頃や学生時代に夢中になっていたことも振り返ります。支援事例では、コールセンターでのクレーム対応で疲れ切って退職した28歳の方が、時間をかけて自己分析をした結果、工作や家が建っていく過程、パソコンを自分で組み立てることなど、ものづくりに共通する好きなことに気づきました。
この方は最初、在宅でできそうというイメージでSNSマーケティングの求人を選んでいました。自己分析で見えた方向で職種を探し直し、未経験からエンジニアとして内定を得ています。
手がかりが見えたら、それを生かせる職種を、知らない仕事まで広げて探します。知らない仕事を探すときは、職種名ではなく、自分が書き出した行動や好きなことを入り口にします。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、さまざまな職業の仕事の内容を解説や数値情報で調べられます。職業興味検査や仕事価値観検査などの自己診断ツールもあり、自分の興味や価値観から職業を探すこともできます。
知っている職種名で検索するだけでなく、自分が書き出した「人と話す」「ものを組み立てる」といった行動に近い仕事を探すと、名前を聞いたことのない職業が候補に入ってきます。気になった職業は、仕事の内容と必要な知識を読み、自分の手がかりと重なる点を書き出しておきます。自己診断ツールの結果は、そのまま職種を決めるためではなく、候補を広げるきっかけとして使います。
求人サイトでは、職種名ではなく「人と話す」「接客経験を生かせる」といった言葉でも検索し、出てきた求人の仕事内容の欄を読みます。同じ営業でも、問い合わせのあったお客さまに対応する反響営業と、決まった取引先を回るルート営業では、仕事の中身が大きく違います。
仕事内容の欄に書かれた一日の流れや扱う商品を読み、自分が書き出した手がかりと重なる求人の職種名を控えておきます。そうして集めた職種名が、希望職種の候補になります。候補の職種名が5つほど集まったら、それぞれの求人を数件ずつ読み比べ、自分の手がかりと重なる点が多い職種から応募を考えます。
希望職種を考えるときは、自分の手がかりに加えて、求人が多い職種かどうかも知っておくと、応募先を見つけやすくなります。
厚生労働省の一般職業紹介状況で、2026年3月のパートを含む常用の有効求人倍率を職業別に見ると、職業計は1.10倍でした。一般事務従事者は0.37倍と求職者に比べて求人が少ない一方で、営業職業従事者は2.14倍、接客・給仕職業従事者は2.40倍、介護サービス職業従事者は3.63倍でした。
この数字は、ハローワークで扱った求人と求職者の数から計算したものです。倍率が高い職種は、求職者1人に対して求人が多いため、応募先の候補を見つけやすくなります。
希望職種がわからないときに、なんとなく事務職を選ぶ人もいます。ただ、先ほどの数字のように一般事務は求人に比べて求職者が多く、応募しても選考が進みにくいことがあります。
事務職を希望する理由が「座ってできる」「土日休みがいい」といった条件なら、同じ条件を満たせる別の職種がないかも探します。条件と仕事内容を分けて考えると、事務職以外にも候補が見つかります。
NG例(希望職種がわからないとき)
知っている職種の中から、なんとなく事務職や販売職を選ぶ
職種名だけで求人を検索し、仕事内容の欄を読まずに判断する
OK例(希望職種がわからないとき)
過去の仕事のよかったことと辛かったことから、手がかりを書き出す
手がかりの言葉で求人や職業を調べ、知らなかった職種名を候補に加える
未経験の職種に応募すると、面接で「なぜこの職種を選んだのか」を聞かれます。職種を知ったきっかけと、自分の経験とのつながりを話します。知ったきっかけ、自分の経験とのつながり、入社後の意欲の順に話すと伝わりやすくなります。
「これまで飲食や営業の仕事を経験する中で、お客さまと会話をしながら信頼してもらうことに一番やりがいを感じてきました。一方で、数字だけを追う営業は自分に合わないと感じていました。好きな音楽に関わりながら、お客さまの話を聞いて提案できる御社の買取の仕事を知り、ぜひ挑戦したいと考えました。」
その職種を知ったきっかけを、これまでの経験で感じたことから説明しています。合わなかった仕事にも触れつつ、そこから何が分かったのかを伝えると、よく考えたうえで選んだ職種だと伝わります。「なんとなく興味があった」ではなく、具体的な経験から選んだことを示すのがポイントです。
「求人票の仕事内容に加えて、厚生労働省の職業情報提供サイトで、仕事の流れや必要な知識を調べました。一日の多くの時間をお客さまとのやり取りに使う仕事だと知り、これまでの接客の経験が生かせると考えています。入社後は商品の知識を早く身につけることが課題だと考え、今から勉強を始めています。」
調べた方法と、分かった仕事の特徴を具体的に話しています。自分の経験が生かせる点と、足りない点の両方を伝え、足りない点への準備も添えると、未経験でも本気で取り組む姿勢が伝わります。
知っている仕事の中だけで選ばず、仕事の種類を知ることから始める
これまでの仕事のよかったことと辛かったことから、得意なことや好きなことを言葉にする
job tagや求人の仕事内容の欄で、手がかりに合う職種名を集める
求人倍率も確かめ、条件と仕事内容を分けて候補を広げる
まずは、これまでの仕事やアルバイトを3つ選び、それぞれのよかったことと辛かったことを書き出してみてください。
Q. やりたいことがないまま転職活動を始めてもいいですか。
始めて構いません。応募や面接を通して仕事の話を聞くうちに、興味を持てる仕事と持てない仕事が分かってきます。ただし、手当たり次第に応募すると軸がぶれやすいため、夜勤は避けたい、土日に休みたいといった避けたい条件だけは、応募を始める前に決めておきます。
Q. 知らない職種の求人を見つけたら、応募前に何を確かめればいいですか。
仕事内容の欄にある一日の流れ、扱う商品やサービス、未経験者への研修の有無を確かめます。分からない点は、面接の最後の質問の時間に聞いても構いません。職場見学ができる会社なら、実際に働く様子を見てから判断すると、入社後のずれを減らせます。
Q. 希望職種を1つに絞らないと応募してはいけませんか。
最初から1つに絞る必要はありません。手がかりに合う職種を2〜3つ候補にして応募し、面接で仕事の話を聞きながら絞っていく方法もあります。ただ、職種ごとに志望動機を用意する必要があるため、候補が多すぎると準備が追いつかなくなります。
Q. 前職と同じ職種しか選べないと思っていました。
前職と違う職種でも、応募資格に未経験可と書かれた求人なら応募できます。前職で身につけた、人と話す力や段取りを考える力などは、職種が変わっても生かせることがあります。職種名ではなく、前職でしていた行動から候補を探すと、選べる仕事が広がります。
Q. 家族や友人に、向いている仕事を聞くのはいいですか。
周りの人は、自分では気づいていない得意なことを知っている場合があるため、聞いてみるのは良い方法です。ただし、勧められた職種をそのまま選ぶのではなく、なぜそう思ったのかを聞き、自分が書き出した手がかりと重なるかを確かめます。最後は自分の基準で決めます。
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