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転職で職種に迷い、バラバラに応募してしまっているときは、いったん応募を増やすのを止め、これまでの仕事で何がつらく何が楽しかったのかを振り返って自分の軸を言葉にし、その軸に合う職種に応募先を絞り直すのが基本です。
職種がバラバラなまま応募を続けると、書類や面接で志望理由に一貫性を持たせにくくなります。結果が出ないことで焦り、さらに応募先が広がって迷いが大きくなることもあります。
この記事では、職種に迷ってしまう理由の整理の仕方と、軸を立て直して応募先を選び直す手順を、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。
職種に迷っているときは、ほかの転職者が何を決め手に会社を選び、どのくらいの期間をかけて動いているのかを知っておくと、自分の進め方を見直す手がかりになります。自分の状況と比べながら見ていきます。
厚生労働省の令和2年転職者実態調査で、転職者が今の勤め先を選んだ理由(3つまで回答)を見ると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が41.0%で最も高く、「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)がよいから」が26.0%で続きます。選んだ理由のうち一番の理由でも、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が18.8%で最も高くなっています。条件だけでなく、どのような仕事をするのかを決め手にしている人が多いことが分かります。
同じ調査で、転職活動を始めてから前の勤め先を辞めるまでの期間を見ると、「1か月以上3か月未満」が28.8%、「転職活動期間なし」が23.6%、「1か月未満」が18.3%でした。年齢別では、20~24歳で「1か月以上3か月未満」が37.4%、25~29歳で29.6%です。
この期間は、転職活動を始めてから前の勤め先を辞めるまでのもので、辞めた後に活動を続けた期間は含まれません。短い期間で決めた人もいますが、職種に迷っている場合は、期間の短さを目指すより、軸を決めてから応募することを優先します。軸が決まってから動いたほうが、結果として迷う時間を減らせることもあります。
バラバラに応募してしまう背景には、いくつかの理由があります。自分に当てはまるものを確かめると、軸を立て直すときに何から見直せばよいかが分かります。一つだけでなく、いくつかが重なっていることもあります。
家族や友人の意見、求人サイトのおすすめなど、いろいろな声を聞くうちに、それぞれに合わせて応募先が増えることがあります。意見を聞くこと自体は悪くありませんが、自分の基準がないまま取り入れると、応募先に共通点がなくなります。誰の意見で応募した求人なのかを書き出してみると、基準が増えた理由が見えてきます。意見をくれた人が、自分の経験や価値観をどのくらい知っているかも考えます。
選考に落ちることが続くと、自分に合うかどうかより、受かりそうかどうかで応募先を選ぶようになることがあります。未経験可の求人に手当たり次第に応募していると、内定が出ても、その仕事を続けたいのかを判断しにくくなります。応募した理由が受かりそうだからだけになっていないかを振り返ります。
MyStyle転職の支援事例では、販売、事務、携帯電話の販売と、短い期間での転職を繰り返してきた28歳の方が、向いている仕事が分からない不安を抱えていました。自己分析の面談で自分史を作り、過去の出来事と当時の感情まで振り返ると、それまでの仕事選びが、周りからどう見られるか、親が喜ぶかという他人の目を基準にしていたことに気づきました。他人の基準で選んだ仕事は、入社してから思っていた仕事内容と違うと感じることもあります。
軸を立て直すときは、応募先を探す前に、自分の経験と気持ちを振り返るところから始めます。次の3つを順番に進めます。一度にすべてを進めず、1日1つずつ取り組んでも構いません。
これまでの仕事やアルバイトを時期ごとに並べ、何をしていたか、そのときどう感じていたかを書き出します。うれしかった場面、つらかった場面、時間を忘れて取り組めた場面など、出来事だけでなく気持ちまで書くと、自分が大切にしていることが見えてきます。学生時代の部活動や、家族や友人との出来事で印象に残っていることも、あわせて書いて構いません。
今まで応募した求人を並べ、それぞれ応募した理由を書き出します。そのうえで、自分がやりたいと思ったのか、周りに勧められたのか、受かりそうだと思ったのかを分けます。他人の基準で選んだものが多い場合は、軸がぶれている原因がそこにあります。自分の基準で選んだ求人に共通する点も書き出しておきます。
書き出した気持ちと、自分の基準で選んだ理由の共通点から、仕事で大切にしたいことを2つか3つの言葉にまとめます。たとえば、人の役に立っている実感がある、決まった手順を丁寧に進められる、土日に休めるといった形です。仕事の中身に関する軸と、働き方の条件に関する軸を両方入れておくと、応募先を選びやすくなります。支援事例の28歳の方も、価値観や強み、動機が言葉になったことで、次の仕事や環境選びがぶれなくなり、自分の基準で仕事を探し直しています。
軸が決まったら、応募中の求人と、これから応募する求人を軸に照らして選び直します。数を増やすより、軸に合う求人に力を注ぐことを優先します。応募先を選び直すと、一時的に応募数が減ることもありますが、焦らずに進めます。
選考が進んでいる求人も含めて、軸に合うもの、一部だけ合うもの、合わないものに分けます。合わない求人は、選考を続けるかどうかを考え直します。辞退する場合は、選考の日程が決まる前に、早めに丁寧に連絡します。一部だけ合う求人は、合わない部分が自分にとって譲れることなのかを確かめます。
軸に合う職種を1つか2つに絞り、同じ職種の求人に続けて応募します。職種が絞られると、志望動機や自己PRを職種に合わせて深められ、面接で聞かれることにも準備しやすくなります。選考の結果からも、書類や面接のどこを直せばよいかが見えやすくなります。
新しい求人を見て気持ちが揺れたときや、周りに別の職種を勧められたときは、書き出した軸に照らして判断します。軸に合わない求人に応募したくなったときは、なぜ応募したいのかを一度書き出し、自分の基準か他人の基準かを確かめます。書き出した理由が軸に合っていれば、応募先の候補に加えます。
書き出しても軸がまとまらない場合は、キャリアの相談先を使い、第三者と一緒に経験を振り返る方法もあります。支援事例の28歳の方も、面談を重ねながら自分史を作り、自分は何者なのかを言葉にしていきました。質問に答えながら話すと、一人では気づかなかった共通点が見つかることがあります。
職種を変えてきた経歴や、ほかにどのような職種を受けているかを面接で聞かれたときは、迷っていたことを隠すのではなく、振り返って決めた軸と、応募先を選んだ理由を伝えます。迷っていた時期があることは、振り返りのきっかけとして前向きに話せます。
「これまで販売や事務の仕事を経験してきましたが、振り返ると、周りの勧めや条件を優先して仕事を選んでいたことに気づきました。仕事の中で一番やりがいを感じたのは、お客様の困りごとを聞いて解決できたときです。そこで、人の役に立っている実感を持てることを軸に、お客様を長く支えられる御社の仕事を選びました。」
職種を変えてきたことを否定的に話すのではなく、振り返って気づいたことと、そこから決めた軸を伝えています。軸と応募先の仕事内容が結びついていると、今度は長く働けそうだと伝わりやすくなります。話すときは、これまでの職種を一つずつ説明するより、共通して感じたことを中心にまとめます。
「現在は、人の役に立っている実感を持てることと、決まった手順を丁寧に進められることを軸に、営業事務と一般事務を中心に応募しています。どちらもお客様や社内の方を支える立場で、これまでの接客や事務の経験を生かせると考えています。その中でも、お客様と長くお付き合いする御社の営業事務に特に魅力を感じています。」
応募している職種を正直に伝えたうえで、共通する軸を示しています。職種が絞られ、選んだ理由が一貫していると、行き当たりばったりで応募しているのではないことが伝わります。
転職者が今の会社を選んだ一番の理由は、仕事の内容・職種への満足で18.8%
バラバラに応募してしまう理由が、周りの意見や受かりやすさにないかを確かめる
これまでの経験と気持ちを書き出し、仕事で大切にしたい軸を言葉にする
軸に合わせて職種を絞り、応募中の求人も選び直す
まずは、これまでに応募した求人を並べ、応募した理由が自分の基準か他人の基準かを分けてみてください。
Q. いろいろな職種に応募するのは、悪いことですか。
複数の職種に応募すること自体が悪いわけではありません。ただ、応募先に共通点がないと、志望動機を深めにくく、面接でも一貫性を持たせにくくなります。複数の職種に応募する場合も、共通する軸を説明できるかを確かめてから応募します。
Q. 軸が決まるまで、応募を止めたほうがいいですか。
すべての応募を止める必要はありませんが、軸に合うか分からない求人への新しい応募は控え、振り返りに時間を使います。書き出しは数日から1週間ほどで区切りをつけ、まとまった軸で応募を再開すると、進め方にめりはりがつきます。
Q. やりたい仕事が見つからないときは、どう軸を決めればいいですか。
やりたい仕事が見つからなくても、避けたいことや、苦にならなかったことから軸を決められます。これまでの仕事で続けられた理由や、辞めた理由を書き出し、その裏返しを軸の言葉にします。やりたいことは、働きながら見えてくることもあります。
Q. 周りから勧められた職種は、選ばないほうがいいですか。
勧められた職種を選ぶこと自体が悪いわけではありません。勧められた理由を聞き、自分の軸に合うかを確かめます。自分でもやりたいと思える理由が見つかれば、候補に入れて構いません。反対に、断りにくいという理由だけで選ぶと、入社後に迷いが残ることがあります。
Q. 軸を決めたのに、選考に落ち続けています。
軸が決まっていても、書類の書き方や面接での伝え方によって結果が変わることがあります。落ちた選考ごとに、書類で落ちたのか、面接のどの質問で詰まったのかを振り返り、軸を変える前に伝え方を見直します。伝え方を直しても結果が変わらない場合に、軸を見直します。
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