やめとけと言われる業界に行きたい 入る前に確かめる5つのことを解説

最終更新:

2026/9/15 06:26

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「やめとけ」と言われる業界でも、やりたい気持ちがあるなら挑戦する価値はあります。ただし、業界の厳しさを数字で確かめ、会社ごとの差と自分が続けられる条件を、入る前に照らし合わせておくことが前提です。

やめとけという言葉だけで諦めるのも、勢いで飛び込むのも、後悔につながりやすい選び方です。確かめる順番を決めておけば、挑戦するかどうかを落ち着いて判断できます。

この記事では、業界の厳しさの確かめ方と入る前に確かめる5つのことを、国家資格キャリアコンサルタントが解説します。

やめとけと言われる業界の厳しさを数字で見る

周りの「やめとけ」は、実際の数字に基づいていないこともあります。公的なデータで、業界ごとの定着のしやすさを確かめてみます。

新卒の3年以内離職率が高い産業

厚生労働省が公表した、令和4年3月に卒業して就職した人の3年以内の離職率は、高校卒37.9%、大学卒33.8%でした。産業別に見ると、離職率が高い上位3つは次のとおりです。

産業

高校卒

大学卒

宿泊業、飲食サービス業

64.7%

55.4%

生活関連サービス業、娯楽業

61.5%

54.7%

教育、学習支援業

53.6%

44.2%

高校卒と大学卒のどちらでも、同じ3つの産業が上位に並んでいます。いずれも人と直接接するサービスが中心の産業で、就職した人の半数前後が3年以内に辞めていることが分かります。この数字は辞めた人の割合で、辞めた理由までは分かりません。理由を知るには、会社ごとの話を聞く必要があります。

数字は新卒の平均で会社ごとに差がある

この数字は、新卒で就職した人全体の平均です。中途で入社した人の定着の状況とは異なる場合があり、同じ産業の中でも、会社によって働き方や定着のしやすさには大きな差があります。たとえば同じ飲食業界でも、店舗の数や休日の決め方、教育の仕組みは会社ごとに違います。

つまり、離職率が高い業界だから一律に避けるのではなく、「厳しくなりやすい業界だからこそ会社選びが大事になる」と受け止めるのが現実的です。業界の数字は、会社ごとに確かめるべき点を洗い出すための入り口として使います。

やりたい気持ちが本物かを入る前に確かめる

厳しさを知ったうえで挑戦するなら、自分が何に惹かれているのかをはっきりさせておきます。ここがあいまいなままだと、つらい場面で踏ん張る理由が見つからなくなります。

憧れているのは仕事内容か業界のイメージか

MyStyle転職の支援事例に、在宅でできそう、キラキラしていそうというイメージでSNSマーケティングの求人に応募した28歳の方がいます。入社後はコールセンターに配属され、毎日のクレーム対応で心身ともに疲れ切ってしまいました。

業界のイメージに惹かれているのか、その業界で行う具体的な仕事に惹かれているのかを分けて考えます。惹かれている理由を「その業界でなければできないこと」と「その業界でなくてもできること」に分けて書き出すと、見分けやすくなります。華やかさや世間の評判に惹かれているだけなら、入社後に想像とのずれが大きくなります。惹かれている理由が仕事内容にあるなら、それが厳しさを乗り越える支えになります。

職種の具体的な一日の業務を調べる

やりたい仕事の一日の流れを、できるだけ具体的に調べます。求人票の仕事内容、会社のホームページの社員紹介、その業界で働く人の話などから、朝から夜までに何をしているのかを書き出してみます。求人票の説明が短く一日の流れが想像できない場合は、面接で質問する項目として控えておきます。

そのうえで、「その業務を毎日続けたいか」を自分に問いかけます。好きな業界でも、実際の業務の多くが接客や電話対応、事務作業ということもあります。好きな部分と、毎日の大半を占める業務の両方を知ってから決めることが大切です。

業界に入る前に確かめる5つのチェック項目

業界の傾向と自分の気持ちを確かめたら、応募先の会社について具体的な条件を確認します。確かめるのは次の5つで、求人票で分かるものと、面接で聞かないと分からないものがあります。

労働時間・休日・給与の条件を確かめる

1つ目は労働時間です。所定の勤務時間に加えて、固定残業代が給与に含まれているか、含まれているなら何時間分かを求人票で確認します。2つ目は休日で、年間休日の日数と、土日や祝日に休めるのか、シフト制なのかを見ます。年間休日の日数は、今働いている職場の休日数と比べると、変化を具体的にイメージできます。

3つ目は給与です。月給の下限だけでなく、賞与や昇給の有無、手当の内訳まで確認します。厳しいと言われる業界では、忙しさに見合う給与かどうかが、続けられるかどうかを大きく左右します。求人票に書かれていない手当や賞与の実績は、面接で確認します。

配属先と教育体制を面接で確かめる

4つ目は配属先です。求人の職種で入社しても、最初は別の部署や業務に配属されることがあります。先ほどの事例のように、希望と違う業務が続くとつらさが増すため、入社後の配属先と、希望の業務に就けるまでの流れを面接で確かめます。

5つ目は教育体制です。支援事例では、入社前に聞いていた話と実際の教育体制に差があり、入社半年で退職した22歳の方が、次の会社選びでは「入社後にどう育ててもらえるか」を最初に確認し、研修が充実した会社に移りました。研修の期間だけでなく、研修が終わった後に分からないことを誰に聞けるのかまで確かめておくと安心です。

自分が続けられる条件と照らし合わせる方法

5つの条件を確かめたら、自分がどこまでなら続けられるかと照らし合わせます。厳しさそのものより、自分にとって何が限界になるのかを知っておくことが大切です。

つらさに耐えられることと耐えられないことを分ける

支援事例では、製造業で夜勤のある不規則なシフトに限界を感じていた28歳の方が、今の仕事の何がつらくて何なら耐えられるのかを一つずつ切り分けました。すると、夜勤の負担そのものより「この働き方がいつまで続くのか分からない」ことが一番つらかったと分かりました。

同じように、長時間労働、休日の少なさ、数字のプレッシャー、人間関係など、厳しいと言われる要素を並べて、耐えられるものと耐えられないものに分けます。耐えられない要素が応募先の条件に含まれていないかを確かめてから応募します。

挑戦する期間と撤退ラインを先に決める

入社する前に、どのくらいの期間挑戦するのかと、どうなったら見直すのかを決めておきます。たとえば「1年は続けて、担当業務を一人でこなせるようになるかを見る」「休みの日も仕事のことが頭から離れない状態が続いたら、信頼できる人に相談する」といった形です。

決めておけば、つらい場面で我慢し続けるのか辞めるのかを、その場の感情だけで決めずに済みます。撤退ラインを持つことは、逃げ道を作ることではなく、長く働くための備えです。

NG例(やめとけと言われる業界に挑戦するとき)

  • 「好きな業界だから、どんなにきつくても耐えます」と条件を確かめずに入る

  • 「みんながやめとけと言うから」と、会社を調べずに諦める

OK例(やめとけと言われる業界に挑戦するとき)

  • 5つの条件を確かめ、耐えられない要素がない会社を選ぶ

  • 挑戦する期間と、見直す基準を決めてから入社する

やめとけと言われる業界に応募するときの例文

厳しさを知ったうえで応募していることが伝わると、面接官は「すぐに辞めてしまうのでは」という不安を持ちにくくなります。志望理由と、面接で働き方を確かめる質問の例文を紹介します。応募先の業界や自分の経験に合わせて、言葉を入れ替えて使ってください。

厳しさを理解したうえで志望理由を伝える例文

「飲食業界は離職率が高く、休日も不規則になりやすいと知ったうえで応募しました。アルバイトで店舗に立ち、忙しい時間帯にお客さまを待たせない段取りを考えるのが好きでした。御社は店舗ごとに教育担当がいると伺い、基礎から学びながら長く働き、将来は店長を目指したいと考えています。」

業界の厳しさを自分から口にし、それでも選ぶ理由を経験と結びつけています。厳しさに触れるときは、ネガティブな話で終わらせず、それでも選ぶ理由に必ずつなげます。応募先を選んだ理由まで具体的に話すことで、勢いではない応募だと伝わります。

面接で働き方の実態を質問する例文

「入社後の働き方を具体的に知りたく、質問させてください。配属後の最初の3か月は、どのような業務をどなたに教わりながら進めますか。また、繁忙期の勤務時間の目安と、休日の取り方についても具体的に教えていただけると、入社後に長く働くイメージが持てます。」

聞きにくい労働時間や休日の質問も、「長く働くために知りたい」という目的を添えると、前向きな質問として受け取ってもらいやすくなります。質問は一度に詰め込まず、面接の最後の質問の時間などに2つ程度に絞ると自然です。答えがあいまいな場合は、内定後にもう一度確認します。

まとめ

  • 業界の離職率は、会社ごとに確かめる点を洗い出す入り口として使う

  • 惹かれているのが業界のイメージか、具体的な仕事内容かを分ける

  • 労働時間、休日、給与、配属先、教育体制の5つを入る前に確かめる

  • 耐えられない要素を書き出し、応募先の条件と照らし合わせる

  • 挑戦する期間と見直す基準を、入社前に決めておく

まずは、行きたい業界の求人を1件選び、5つの条件を書き出してみてください。

よくある質問

Q. やめとけと言われる業界は、未経験でも入りやすいですか。

人手が足りない職種は求人が多く、応募しやすい傾向があります。厚生労働省の一般職業紹介状況では、2026年3月の介護サービスの仕事の有効求人倍率(常用・パートを除く)は3.31倍で、職業全体の1.17倍を大きく上回っていました。ただし入りやすさと続けやすさは別です。

Q. 離職率が高い業界でも、長く働いている人はいますか。

3年以内の離職率が64.7%の産業でも、裏返せば3割以上の人は3年を過ぎても同じ会社で働いています。長く働く人が多い会社かどうかは、面接で配属先の先輩の勤続年数や、同じ時期に入社した人の状況を聞くと見えてきます。

Q. 業界の口コミサイトはどこまで参考にしていいですか。

口コミは、投稿した人の職種や時期によって内容が大きく変わります。数年前の投稿や、自分と違う職種の投稿は割り引いて読み、気になった点は面接で直接質問して確かめます。一つの口コミだけで判断せず、複数の情報を突き合わせることが大切です。

Q. 周りにやめとけと言われたら、どう受け止めればいいですか。

何を心配しているのかを具体的に聞くと、休日の少なさなのか給与なのかが分かります。心配の中身が分かれば、5つの条件のどこを重点的に確かめればよいかがはっきりします。反対の言葉は、確認すべき点のヒントとして使うのがおすすめです。

Q. 入ってみて合わなかったら、次の転職で不利になりますか。

短い期間で辞めると、次の面接で理由を聞かれます。何が合わなかったのかと、次は何を確かめて選ぶのかを具体的に説明できれば、挑戦した経験として受け止めてもらえる可能性があります。撤退ラインを決めておくと、その説明もしやすくなります。